
日本のソト遊びを支える名車「ジムニー」の歴史
特殊用途でしかなかった四輪駆動車を、日常生活の延長で楽しめる存在に高めたのが、スズキのジムニーだ。アウトドアライフの普及に大きな役割を果たした進化の歴史を紹介。
(BE-PAL 2025年7月号より)
日本のアウトドア文化を切り拓いた名車「ジムニー」
長い戦争の時代が終わり経済復興を目指すなか、必要とされたのは道を選ばず走れ、耐久性とメンテナンス性に優れた四輪駆動車だった。ジムニーは1970年、狭く険しい山岳地域や降雪地帯にも対応する軽4WDとして発売された。
維持費の安い軽規格の「プロの道具」は、スポーティーなデザインを採用することで商用以上の魅力を放ち、自由を愛する若い世代のソト遊びグルマとしても絶大な人気を獲得。以来、ラダーフレーム(※1)や固定軸のサスペンション(※2)、パートタイム4WD(※3)という構成を継承しながら、高速道路の移動や普段使いに適した快適な乗り味に向上している。
商品としての在り方を変えることなく、時代に応じたアップデートを施していく手法は、名品と称される野外道具にも通じる。アウトドアズパーソンの心を惹きつける理由は、そこにある。たとえ険しいフィールドを目指す機会は減っても、溝の深いわだちや大雨でできたぬかるみ、大きな石が転がる川の中流域に遭遇したとき、「プロの道具」の安心感に満たされるのだ。

歴代モデルのイメージを取り入れてモダンに表現した現行型は、衝突被害軽減ブレーキをはじめ安全技術を搭載。カジュアル化が進む現代のソト遊びに対応した完成度を誇る。ボディーカラーも豊富に。
※1:梯子型のフレームで上にボディーが付く。万が一ボディーが破損してもフレームにダメージが及ぶことが少なく、走り続けられる。
※2:左右の車軸が連結されているため対荷重性能に優れるほか、不整地では片輪が凸路面で跳ね上がるともう片輪が押し下げられ、駆動力が効率よく路面に伝わる等の長所がある。
※3:2WD/4WDを手動で切り替える方式で、4WDモードでは4輪に最大限の駆動力が均等に伝わり、不整地での走破性を高める。
写真提供/スズキ
▼参考記事
キャンプの相棒に最適!ジムニーの魅力をレビュー

登場以来、高い人気を誇るスズキ/ジムニーを乗り物ライターの佐藤旅宇さんがテスト! 小回りが利いて悪路でも運転しやすいコンパクトSUV。日本の狭い田舎道でも取り回しやすいため、遊びのフィールドがぐんと広がる点で、アウトドア好きにはたまらない存在だ。
(BE-PAL 2021年12月号より)
日本の風土にぴったりなミニマムサイズのSUVで自然との一体感を楽しむ!



コンパクトSUVにはっきりとした定義はないが、おおむね全長4.4m以下で価格は200万円台というのが主流。日本の道や駐車場で取り回しやすいボディーサイズと維持費の安さに加え、未舗装路やキャンプ場の敷地などでも気を使わずに移動できる汎用性が人気の理由。また、着座位置が高いので普通のコンパクトカーやセダンなどに比べて見通しが良く、運転に不慣れな人でも運転しやすい。
悪路走破性やSUVらしいタフなイメージを重視するなら、なんといっても頑強なラダーフレームにパートタイム式の四駆システムを組み合わせるジムニー&ジムニーシエラがおすすめ。後席を倒して二人乗りとして割り切れば、荷室スペースだって必要十分。道幅の狭い林道にも無理なく入っていける。コンパクトなボディーサイズと相まって、旅好きのソロ・デュオキャンパーには最高の相棒だ。
走りを楽しむTHE・四駆なコクピット

水平基調にデザインされたインパネはタフなギア感が満点。助手席正面には乗降用の大型グリップが装備される。

ローレンジ付き副変速機は本格オフローダーの証。悪路を走行する際はレバーを操作して4WDに切り替える。
後席を倒すと充分な広さのラゲッジルームに

左右のタイヤハウスが出っ張っていた先代から大きく進化。荷室がフラットで、前席を倒せば車中泊もいけます!

後席を収納すると容量352Lの荷室に。ソロキャンプなら十分だ。意外にも後席は大人でもちゃんと座れる。
【XC】
●ボディーサイズ:全長3,395×全幅1,475×全高1,725mm
●車両重量:1,030kg
●最低地上高:205mm
●最小回転半径:4.8m
●WLTC燃費:16.2km/L
問い合わせ先:スズキ
TEL:0120-402-253
https://www.suzuki.co.jp
撮影/高柳 健
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ジムニーでのキャンプスタイルをチェック!カスタム&ギアで快適
ジムニーでアウトドアやキャンプを楽しむオーナーたちのスタイルを拝見! 車中泊やルーフトップテントなど、キャンプ仕様のカスタムやイチオシのギアを紹介する。
フルフラットで快眠!ミニマムな車中泊スタイル
日本を代表する4WD、ジムニー。アウトドア経験豊富なオーナーに車中泊スタイルを見せてもらった。

「最近は仕事の関係でアピオのジムニーで林道を走る機会が多いです。その際はあまり時間に余裕がないので、テントを張らず車中泊しますが、なるべく荷物をミニマムにしてゆったり寝れるよう心掛けてます。50~60Lのバックパッキング装備で食事もレトルト。気温が下がらない春夏はシェードも持っていきません。人けのあるところで寝る場合はレジャーシートを窓に挟みシェード代わりにします。簡素な車中泊でも、焚き火があれば楽しい時間になりますよ」

山岡さんがかつて所有していたJA11型や先代のJB23型ジムニーと比べると新型は後輪のタイヤハウスの出っ張りがなくなったことで格段に車中泊しやすくなったとか。


新型ジムニーはシートをフルフラットにすると意外と広い。身長175cmの山岡さんでも体を真っ直ぐに伸ばして寝ることができる。
撮影/山岡和正
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ルーフトップテント&マットレスで快適

栃木県にある客のほとんどが外国人のキャンプ場をのぞいてみた。幼少期から自然と共生する父が、息子と共に楽しむ日本でのキャンプスタイルを紹介!
(BE-PAL 2025年5月号より)

リックさんが乗って登場した車は、スズキのジムニー。 キャンプ場に到着後、まず、テントを立ち上げる。愛息子が車の上にあがり、慣れた手つきで設営を手伝う。
「車の大きさに合わせ、もっとも軽い、フロントランナーのテントを選びました」

四方のファスナーを開け、ケースを展開する。

テントが立ち上がり、約2倍の面積に。

専用ポールでフライを張り出せば完成。

6cm厚のマットレスも装備され、2人が余裕で寝転がれる。設営、撤収が楽で、一度使うと手放せない。
撮影/三浦孝明 協力/PICAさがみ湖
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