冒険の大地、アラスカへ ②

2019.02.04

かき集めた地図たち。2011年に”下見”と称してアラスカに行った時にも手当たり次第買い込んだ。

トレーニングとスポンサー探しの他に、情報収集や、機材と装備も少しずつ揃えた。

アラスカの原野で背負えるようなるべく軽量かつ高画質のカメラとレンズ、限界的なエリアでも燃料が手に入りやすいようレギュラーガソリンで使えるタイプのバーナーや、風速30メートルにも耐えるテント、疲れにくいインソールや曲がりにくいフライパンまでを揃えた。

私は自分の足で原野を歩き、自然に出会う光景をテーマにしているので、自分の足で入っていけそうな場所はどこだろう、とアラスカの地図とにらめっこすることにもかなり時間も割いた。アラスカの国立公園や自然保護区のルールやグリズリー対策も学ばないといけないし、アメリカのビザに、国際免許に、ああそうだ持ち前の中学英語にも磨きをかけなくては。と、ない知恵を振り絞って毎日朝から晩まで目まぐるしく動いた。今振り返ると、その目まぐるしさが、撮影に対するモチベーションと情熱にさらに火をつけたように思う。

あるとき、そうだ食料はどうすべきだったかな。と考えた。遠征は数ヶ月、1度の原野撮影は10日以上になるであろうから、数泊の冬山トレーニングでは食料の問題点を見つけられずにいたのだ。栄養面は無視できないところではあるが、ナマ物は腐ってしまうし、根菜などの重たい食材は背負えないだろう。2週間分は背負えるくらい軽くて、油を使わず調理できて(余計に野生生物を刺激しないため)、少しは栄養があって、数パターンは作れて。ん、そんな食材ってあったっけ?ええと、どうしてたっけ。と北アルプスの山小屋で働いていた時のことを思い出したが、山小屋では意外と食材は豊富にあったので参考になるような記憶は見つからない。

もう少し記憶を遡った。私は学生時分ワンゲル的なところに所属していたので、その頃の記憶にダイブしてみる。当時山で食べていたアルファ米のようなドライフードはどうだろう、ああいう乾燥しているものならカビないし軽いかな。凍らないし。野菜も肉も炭水化物も、乾燥のものを持ち歩けばある程度は自分の行動をカバーできるんじゃないか。というアイディアに辿り着いた。

2016年に入ってから、カップ麺などに”かやく”として入っている食材を作っているメーカーにフリーズドライの野菜やフルーツを提供していただくことになるのだが、そこまでは食材のことで随分と苦労することになる。というか、その食材との出会いがなければ今のスタイルの撮影は成立していない。

お湯を注ぐだけでOK!が売りの食材を10日分ほど購入し背負ってみたが、重量的には問題なさそうだった。しかしそのテの調理済のものは、その便利さ故に一食ずつが意外と高く、単純に3ヶ月×3食=90食で計算すると、コスト面で実用的ではないように見えた。スペースも取るので、ザックにどうおさめるかも考えものだ。どうするのがベストか、としばらくの間悩んだのだが、まあ食材は現地で揃えることが多い訳だし、日本にいる間に考え過ぎなくて良いよね、一旦別のこと考えよう、いったん。と、食材のことは頭から離してしまった。

そうして進んだり戻ったりしながらも、遠征の準備は少しづつ整ってきていた。光陰矢の如し、気づけば世間はゴールデンウィークに入っていた。

プロフィール
佐藤大史

東京都町田市出身。長野県安曇野市在住。日本大学芸術学部写真学科卒業。卒業後、写真家白川義員の助手を務め、2013年独立。
「地球を感じてもらう」ことをコンセプトに、アラスカなどの手つかずの大自然と、そこに生きる生き物たちを撮影している。

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