足の痛みなどが気がかりな状況でも、今日も歩を進める「アイスエイジ・トレイル」 | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

山・ハイキング・クライミング

2026.10.02

足の痛みなどが気がかりな状況でも、今日も歩を進める「アイスエイジ・トレイル」

足の痛みなどが気がかりな状況でも、今日も歩を進める「アイスエイジ・トレイル」
アメリカには連邦政府によって認定されたトレイルが複数あり、そのうち「ナショナル・シーニック・トレイル」が全11ルートあります。プロハイカーの斉藤正史さんは、総距離が約17,800マイル(約28,646km)におよぶ11ルートのシーニック・トレイル全踏破に挑戦中です。

2025年秋、斉藤さんはアメリカ東北部のウィスコンシン州にある「アイスエイジ・トレイル」に挑みました。その1,200マイル(1,900km)のアイスエイジ・トレイルに挑戦した様子を、斉藤さん自身によるレポートで紹介します。
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【プロハイカー・斉藤正史の「アイスエイジ・トレイル」レポート」vol.13】

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Ice Age Trail  DAY13

自然の中にいることを実感する早朝

アイスエイジ・トレイル13日目は、森の中のキャンプサイトにテント泊。雨がフライシートを叩く音で目覚めました。

すぐには起床せずテントの中で寝返りを打ったりしていると、悲鳴のような鳥の鳴き声が聞こえてきます。それに交ざって、興奮した動物の叫び声も響きました。どうやら、野生動物が鳥を襲ったようです。

今いるのは、完全なウィルダネス(人間の手の入っていない未開地)ではありません。トレイルのルートなどが整備されている森です。それでも、動物たちの生息域に自分がお邪魔しているのだということを実感する早朝の出来事でした。

トレイルの森には、多くの生き物たちが暮らしています。

歩き始めてしばらくすると、コミュニティパークがありました。事前に、ここにはコンセントがあって充電できるという情報を見つけていました。でも、まだ9月ながら早々にオフシーズンとなったのか、クローズしていました。

入り口が封鎖されているわけでないので、園内に歩を進めます。トイレは鍵がかけられていました。ピクニックテーブルがあったので、休憩しようと腰をおろします。すぐそばにコンセントがありましたが、電気は止まっていました。残念。

自分が向かっている先で、水を補給した充電したりできそうな公園などを事前にチェックしていました。でも、クローズしている可能性が高いので、計画を見直したほうがよさそうです。だからといって、何かあてがあるわけではないので、結局は行き当たりばったりですが…。

気の持ちようと目線の上下動

スタートから10日以上、ずっと小雨です。多少は晴れ間もありますが、基本はずっと曇天。そうなると、つい目線も下がります。地面を見つめながら黙々と歩き続け、知らず知らずのうちに「何をやってるんだろう…」などと考えてしまうのです。

ポジティブな気分のときなら、小雨にかすむ森を目にして「美しい景色だな」なんて思います。でも、下向きな気分のときは、同じ景色を目にしても何も感じず、ため息をついたりします。

とはいえ、さすがに何日も連続で小雨だと、地面を見つめることにも飽きてきます。そこで少し目線を上げると、色づき始めた木の葉が視界に入ります。本格的な紅葉が楽しみです。その分、寒さが厳しくなりますが…。

雨にかすむ森。ちょっとずつ紅葉が進んでいます。

目の前に水はあるけれど…

この日は妙に足が重く、予定のキャンプ場に落ち着くまでに思いのほか時間がかかりました。何で苦戦したかというと、水場を探していたからです。

目的のキャンプ場は湖の近くなので、水については心配していませんでした。でも、実際に湖に行ってみると、背丈の高い水草に覆われていてるし、藻が発生しています。簡単には水が汲める様子ではないし、そもそもそこの水を飲む気が起きません。だからといって、地図を見ても他に水場らしきものは見当たりません。

キョロキョロ、ウロチョロしてながら2マイル(約3.2km)ほどトレイルを戻ると、分岐がありました。分岐の片方の先には、高台に駐車場があるようです。高台ということは、藻が繁茂している湖の水源のようなものがあるかもしれません。そう期待して足を運ぶと、まさに小さいながらもキレイな水の流れがありました。一安心。

アイスエイジ・トレイルの周辺には、川や湖がたくさんあります。でも、だからといって給水ポイントも豊富なわけではありません。今後も、こまめに水の補給を心がけなければなりません。

眺める分には問題ないけど、水が汲めない湖。

スタート当初から解消されない問題

給水と同じように、気がかりなことがありました。アイスエイジ・トレイルの初日から、足にかすかな違和感というか痛みがありました。当初はブーツが合わないのかもしれないと思っていたのですが、歩き続ける中で問題点が明らかになってきました。

僕は、きちんと足型を取ってつくったインソールを使用しています。そのインソールはクッション性がほぼなく、足がしっかり固定されます。しかも、ブーツのソールも硬いので着地の際の衝撃に逃げ場がなく、いつの間にか足に痛みが蓄積され続けます。

あくまでも仮説ですが、インソールがしっかりし過ぎているがゆえの痛みなのではないか、と考えられるのです。

このまま予定通りにいけば、5、6日後にはメレルという大きな街に着く予定です。そこでは靴屋やアウトドアショップもありそうなので、新しいインソールを購入したほうがいいかもしれません。

テントの真ん前の特等席(?)に脱いだブーツとインソール。

コーネルという街の第一印象

11日目は、まだあたりが暗いうちに起床。ほぼ夜明けと同時に歩き始め、コーネルという街に着きました。前日まではTシャツでも暑いぐらいだったのに、この日は気温が急降下。

昨日までは足首近くに下げていたゲイターをヒザまで上げたり、長袖のシャツを着込んだりしましたが、それでも寒さを感じるほどでした。また暑くなるだろうけど、季節の移ろいが早すぎて戸惑います。

コーネルでは、アイスエイジのアライアンス(事務局)のビッキーというスタッフと会う約束をしていました。予定よりも早く到着したので、その旨をビッキーにメールし、まだオープンしていないトレイルのビジターセンターの前でしばし休憩します。

そのうちビジターセンターのスタッフが出勤してきて、「もうすぐビッキーも来るから待ってて」と館内で休ませてくれ、この先のアイスエイジ・トレイルに関するアドバイスもくださいました。ありがたい。まだコーネルに着いたばかりですが、早くも「良い街だな」と実感してしまいました。

コーネルの街の入口に立っていたアイスエイジ・トレイルの看板。

※アイスエイジ・トレイル6〜11日目の様子は動画でもご覧いただけます。

著者画像

斉藤正史さん

プロハイカー

2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。また、BE-PAL.netにて「TOKYO山頂ガイド」を連載。

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