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東京オリンピックで使った日本で唯一の人工コース
2021年に開催された東京2020オリンピック・パラリンピックから早いもので5年が経とうとしている。本格的な夏を前に選手たちの活躍に一喜一憂したあの日々が思い出される。今回訪れたカヌー・スラロームセンター(東京都江戸川区)は、オリンピックの際にカヌースラローム競技のために整備された場所。都立葛西臨海公園の隣接地に日本国内で初めての人工コースとして誕生した。

オリンピックのカヌー競技には、静水で行われるスプリントと、流れのある急流で行われるスラロームの2種類がある。陸上やレスリングといった花形競技に比べてしまうと、中継の機会が少ないカヌーは国内ではなかなか注目が集まりにくい競技でもある。だが、2016年のリオデジャネイロオリンピックで羽根田卓也選手がスラローム男子カナディアンシングルでアジア人初となる銅メダルを獲得したことで多くの人が「スラローム」や「カヌー」を知ることになった。

そして、過去のオリンピックを見ると、スラローム競技は1972年のミュンヘンオリンピックを皮切りにそのほとんどが人工コースで行われている。我々日本人にとって河川は比較的身近にあるので、川じゃないんだ! という驚きがある。競技という性質上、選手たちにとって同じ条件で競えるのはフェアーなのかもしれない。
「海外には人工コースがあるらしいよ」そんな話を筆者が聞いたのは25年以上も前のこと。今やこうして日本にも人工コースがあるのだ。

都会で気軽なスプラッシュ体験

カヌー・スラロームセンターで行われているラフティングツアーは、全長200mの急流を下る。下った後は、ベルトコンベアーにボートごと乗り上流地点まで運ばれ、また下るを繰り返す。「そうめん流し」のごとく、ぐるぐると周る方式だ。ツアーでは4〜5回ほど周れるらしい。

かつて、筆者が群馬県みなかみ町でラフティングガイドをしていたころのことを思い出した。ツアー中、いくつか瀬を下ったあたりで「もうすぐスタート地点に着くんですか?」と、聞いてきたお客さんがいた。一瞬、なにを聞いているのか理解できなかったが、そのお客さんはこの人工コースのように一周すると思っていたのだ。「いや、川なのでワンウェイですよ〜! そうめん流しじゃないんだから!」と、爆笑した。あのときのお客さま、ここだったら一周できますよ!

さて、ボートに乗って仲間と漕ぎ方のレクチャーを受けたら、いよいよ出発。ボートで水上に浮かびながら遠くにビル群を望むのも一興だ。ガイドの指示のもとにパドルを漕いでいき、ベルトコンベアーでスタート地点へ。スキー場のリフトのような、なんとも不思議な感覚である。

「前に漕いで〜!」ガイドの掛け声とともにパドルを漕いで瀬に突入! 落ち込みでボートに大きな水飛沫が上がり、「キャ〜〜!」(同乗者の方の声)黄色い声がこだまする。この日は梅雨の晴れ間で爽快なスプラッシュ。クルー全員がしっかりびしょ濡れとなった。瀬を乗り越えてトロ場でチームワークを讃えてハイタッチを交わし、再びスタート地点へとパドルを漕いで向かった。

大小いくつもの瀬が連続しているので、絶叫が続く。なかなかにボリュームがある瀬で8人乗りのボートが上下に大きく揺れた。落ち込みでサーフィン(流れの中でボートやカヤックを落ち込みに食い込ませて止まらせること)をして楽しむこともできるという。

岸にはスローバッグ(救助用のロープ)を手にしたガイドが待機し、クルーが落ちた時に備えていて安全面も手厚い。初心者、ファミリー、グループで楽しむのもいいかもしれない。トイレや更衣室、シャワーも完備されているので安心だ。7月からは夕暮れに行われる「ナイトラフティングツアー」もあり、これは人工コースならではの楽しみ方といえる。都心から近い場所にコンパクトに設計された激流スポット、カヌー・スラロームコースは真夏のアクティビティにもってこいだ。
久しぶりに、しかも都会で! ラフティングを体験したがやっぱり急流下りは楽しい。関東には埼玉県の長瀞や、群馬県のみなかみといった天然の激流スポットもあるが、ちょっと気軽に行きたいときにはおすすめである。


カヌー・スラロームセンター(東京都江戸川区臨海町六丁目1番1号)
https://canoe-slalom.tokyo/
カヌーやラフティング未体験の人はガイドツアーに参加してみよう。自艇を持ち込んでの練習や、カヌー艇やラフトボートの貸し出しもある。それぞれの楽しみ方が可能だ。
ツアー参考料金/ラフティングツアー(5〜10月)は所要時間約2時間。小学1年生から体験可能。ひとり¥6,500〜7,000。プラスひとり¥3,800で手ぶらBBQのプラン(準備&片付けの必要無し、隣接する葛西臨海公園にて)もあり、1日レジャーとして楽しめる。

※構成/須藤ナオミ 撮影/五十嵐美弥




