野田知佑に憧れて。折りたたみカヌー「Ally」と行く夏の川旅計画 | 海・川・カヌー 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2026.07.10

野田知佑に憧れて。折りたたみカヌー「Ally」と行く夏の川旅計画

野田知佑に憧れて。折りたたみカヌー「Ally」と行く夏の川旅計画
夏はホワイトホースのダウンタウンを流れるユーコン川を見るたび、「あー、川下りしたい。カヌー乗りたい」とわたしの心は騒ぎ出します。昨年経験した初めてのカヌー旅以降、毎日のように思い出す川の上の景色、出会った動物たち、キャンプ地の焚き火、食糧の準備が足りず腹ペコで過ごした日々。今年も、人生2回目の川旅に挑戦すべく計画を立て始めました。その第一歩は、自前のカヌーを手に入れることでした。

ユーコンでソト遊び暮らしを実現! 7年の軌跡 第9回

3世代の夢を乗せた川旅から1年

2025年夏、ユーコン川にて。当時9才の息子と行った370kmの川旅。一度漕ぎ出せば目的地に着くまで終わることのできない過酷な旅だったが、人生のハイライトに残る濃密な旅だった。

2025年8月、息子と共に8日間のカヌー旅をしました。二人にとって初めての川旅でした。テズリン川からユーコン川に合流し、トータル370kmを無事に漕ぎ切りました。ジェットコースターのようにフネを揺さぶる急流や、水を飲みにきたムースの親子との遭遇。雨のキャンプ地やかつて交易所だった場所の遺構など、記憶に残る大冒険でした。

野田知佑に憧れていた父、その影響で幼い頃から“ユーコン”や“カヌー”といった言葉を知っていた私、そしてユーコンで育つ息子……。3世代の夢を乗せた川旅だったと思います。季節が巡り、氷と雪に閉ざされていた川も再び流れを取り戻しました。

「ああ、今年も川旅したいなぁ!」

2026年の川旅計画が始まりました。

今年はソロ旅に挑戦!

2025年の川旅で友人から借りた17フィートのタンデムカヌー(ノヴァクラフト社・Prospector)。今でもその友人の家に行くたびに懐かしく感じ、挨拶を欠かさない。 

昨年の川旅は17フィート(約5.2メートル)の、こちらで一番一般的なサイズのカヌーを友人から借りました。しかしそのサイズは基本的に大人二人で漕ぐことが前提とされているため、初心者の大人と子どもではどうしても取り回しが難しく苦戦しました。特に風の吹いた日はフネが全く言うことを聞かず、後ろ向きのまま、もう流されるがまま進んでいくこともありました。また、20kgを超える重量は、陸上を運んだり車載したりするにも一苦労でした。

今年は、昨年のゴール地点カーマックスからスタートし、ドーソンまでのユーコン川約415kmを私だけで漕ぐ予定。なのでソロでも操作しやすい11フィートから15フィートほどで、軽いカヌーを探すことにしました。レンタル料金を調べてみると、想像していたよりも高くつきました。まあ今後も夏が来るたびに川旅がしたくなるだろうからと思い、この際思い切って中古のソロカヌーを買う方向で考え始めました。

折りたたみカヌー「Ally」との出会い

組み立て前のベルガンス「Ally」。鮮やかな黄緑色の船体布に一目惚れした。こういう時の第一印象、インスピレーションは大切。ちなみに購入金額は1,000カナダドル。

Facebookなどを通じて中古のカヌーを探し始めましたが、価格やサイズなど帯に短し襷(たすき)に長しで、なかなかいいものに出合えず難航しました。いいサイズだと思って詳しく見てみるとホワイトウォーター(急流)用だったり、「これだ!」と思って連絡するとすでに売れてしまっていたり。そんな時に思い出したのが、日本人の知り合いの方が持っているという折りたたみのカヌーでした。

話を聞いてみると、15フィートほどのフネで「ずっと使ってないから、売ってもいいかなぁ」とのことでした。すぐさまその方のご自宅へお邪魔し、フネを見せていただくことに。コロナ禍に日本のネットオークションで買い、結局それ以来一度も開封しなかったというそのフネ。ベルガンスというノルウェーの老舗アウトドアブランドの、Ally(アリー)というモデルでした。

ドラム缶ほどの大きさのバッグからパーツを取り出してみました。黄緑色の船体布がかっこいい! 船底にあたる部分にはいくらか擦り傷が付いていましたが、それは幾多もの日本の川を下ってきた勲章でしょう。

「これ、買わせてもらっていいですか?」

かくして、ユーコン移住8年目にしてカヌーオーナーになることができたのでした。

20分で組み立てられる!?

初めての組み立てでは近所の子が不思議そうに見守っていた。初めは和やかに会話していたものの、作業が難航するにつれて次第に返事もできなくなった。気付けばどこかに行ってしまっていた。

その夜、各パーツを布で丁寧に拭きながら考えました。

(あの野田さんも折りたたみカヌーを愛用してらっしゃった。BE-PALに関わりながら折りたたみカヌーでユーコン川を下れるなんて、夢のようやないか)。

このフネと共に行く川旅の景色を妄想して、ほくそ笑みました。とにかく一度、家の前で組み立ててみよう。翌日、アパートの芝生の上に全てのパーツを並べ、YouTubeで手順を確認しながら組み立てを始めてみました。見た感じでは、テントのように骨組みを使って船体布をパツパツに張る、非常にシンプルな作業だということがわかりました。動画の中のおじさんは「20分もあればできるよ!」と言います。ところがどうでしょう、20分経とうが30分経とうが1時間経とうがカヌーは一向に出来上がりません。作業自体は難しくなくても、船体布にテンションをかけるのに思っていた以上にコツと力が必要でした。

今後の人生の新たな相棒に

苦労の末ついに完成したマイカヌー。悪戦苦闘した割にはちゃんとしたフォルムに出来上がって一安心。一人での持ち運びも容易い重量だった。改めて各所をチェックしてみたが、損傷なし、欠損なし、問題なし!

(やっぱり大人しく折りたたみじゃない普通にカヌーにしとけばよかったかな)。

初夏の日差しの下、そう思いながらも汗だくで作業を続けていきました。アルミのバーと枠組み、そして船体布を組み合わせていくうち、芝生の上で平面だったフネが次第に形を明らかにしていきました。組み立て開始から1時間半を回った頃、ついに完成! 出来上がったいとしのAllyとの初対面でした。

(やっぱりめっちゃかっこいい。縁あってこのフネに出合えた。組み立ても慣れればすぐできるようになるはずや)。

シートに座ってパドルを握ってみると、気分はもう川の上でした。去年の夏、ユーコン川で感じたあの静けさ、風、その壮大な光景の中に自分たちだけしかいないという少しの不安と自由な気持ち。カーブを一つ越えるごとに広がる新しい景色との出会い。漕ぎ疲れて仰向けに寝そべったときに見上げたユーコンの青空と白い雲。このフネと共に、またそんな世界に飛び込んで行こう。8月に計画している人生2回目の川旅に向けて、役者は揃いました!

著者画像

すけのゆうたさん

ライター

カナダ・ユーコン準州ホワイトホース在住。大阪府豊中市出身。アウトドア初心者ながら、大自然と日常が地続きのユーコンで暮らす。ポッドキャスト「すけのゆうたのYou来ん!?ユーコン」も配信中。

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