江戸時代の川の跡をたどり、ナウマンゾウに出会う(?)緑道散策【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY FILE.22】 | アウトドア・外遊び 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.11.30

    江戸時代の川の跡をたどり、ナウマンゾウに出会う(?)緑道散策【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.22】

    江戸時代の川の跡をたどり、ナウマンゾウに出会う(?)緑道散策【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.22】
    プロハイカーの斉藤正史さんが、独自の視点で東京23区内の緑道を「GREEN WAY」として捉え直し、実際に歩いた足跡を紹介します。身近なGREEN WAYでも四季折々の見どころがあり、街の意外な歴史にふれることができる、かもしれません。

    今回は東京都中央区の小伝馬町〜浜町公園を歩く「浜町界隈GREEN WAY」です。
    Text

    22th ルート:浜町界隈GREEN WAY

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    前回はこちら↓

    神田界隈で75年前に消えた川の痕跡を訪ねるゾクゾク感を味わう散歩ルート【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.21】

    前回の「龍閑川GREEN WAY」では、かつて神田周辺に存在した川の跡である暗渠を歩きました。ただ、途中で工事中の場所があり、やや尻切れトンボンのような形で歩き終えました。

    そこで今回は、あらためて龍閑川の暗渠をめぐり、さらに以前にも歩いた別の川の跡もたどっていきたいと思います。FILE.22は「浜町界隈GREEN WAY」です。

    まずは、前回のフィニッシュ地点である小伝馬町駅近くの十思(じっし)公園を出発。十思公園から2ブロック北側の、ビルの間の細い道を進みます。

    前回も記した龍閑川の歴史をざっとおさらいすると、もともとは江戸時代に防火用の堀として造成されました。その後、一度は埋め立てられたものの、明治時代に再び開削。この際に川幅が広がったようで、八間(約14.5m)あったとする資料もありました。現在、跡地に伸びる路地の道幅はせいぜい2mなので、それなりに川幅が広かったと想像されます。

    龍閑川の跡と思われるビルの谷間の路地。

    龍閑川は、神田駅の西側にある日本橋川から開削されました。では、その終点はどこかというと、十思公園から5分ほど歩いた場所にあります。現在は龍閑児童公園となっている場所で、ここで龍閑川は浜町川と合流していました。FILE.6「末廣・笠間・暗渠GREEN WAY」で紹介しましたが、浜町川も現在は埋め立てられ、暗渠となっています。

    浜町川との合流地点である龍閑児童公園。園内には復元されたものかどうかは不明ですが、橋もありました。

    浜町川を歩いた際に、資料などで龍閑川の名前は目にしていました。今回、実際に歩いてみて、より立体的に浜町川と龍閑川の関係などが理解できた気がします。

    「すでに埋め立てられた川」と聞いて、小さな水路のようなものを想像していました。でも、浜町川は隅田川(箱崎川)と神田川を結んでいたし、龍閑川は日本橋川とつながっていました。江戸の主要河川をつないでいた浜町川と龍閑川は、想像以上に大きな役割を担っていたのかもしれません。

    こちらは浜町川の跡と思われる路地。

    FILE.6では、浜町川(跡)を北上しました。その際、暗渠めぐりに夢中になるあまり、気になる場所もスルーしてしまいました。そこで、今回は龍閑児童公園から浜町川(跡)を南下します。龍閑児童公園から3分ほど歩くと、早速、FILE.6でスルーしたポイントがありました。

    蔦屋重三郎「耕書堂」跡

    大河ドラマ「べらぼう」でおなじみの江戸時代の出版人、蔦屋重三郎。彼は、もともと吉原大門の近くで書店「耕書堂」を営業していましたが、1783年(天明3年)、ここ日本橋大伝馬町に移転しました。

    洒落本などを販売するだけでなく、北斎、歌麿、写楽などの絵師の作品、山東京伝、大田南畝などの戯作者の作品を多く出版しました。単なる書店店主というより、新しい才能を発掘、プロデュースする最先端カルチャーの仕掛人といった感じでしょうか。そう説明すると、安っぽく感じられますが…。

    蔦屋重三郎「耕書堂」跡。

    蔦屋重三郎「耕書堂」跡から浜町川跡の緑道をさらに南下すると、ある通りに行き当たります。人形町と明治座を結んでいる甘酒横丁です。

    甘酒横丁

    明治時代、横丁の入口付近に「尾張屋」という甘酒屋があったことから、この名で呼ばれるようになったとか。関東大震災後に拡幅工事が行われて現在の道幅になりましたが、今も甘酒横丁として親しまれています。甘味どころや卵焼き屋など古くからの商店も多く、今なお下町情緒が色濃く残っています。

    甘酒横丁で浜町川跡の緑道を離れると、大きなビルが見えてきました。数多くの著名人が公演を行っている明治座です。

    明治座

    1873年(明治6年)創業で、東京で最も長い歴史を持つ劇場です。関東大震災や東京大空襲も含め、今まで何度も消失し、再建。また、名称も改称を繰り返したものの、1896年(明治29年)に初代市川左團次丈が座主となり、明治座の名称が定着したそうです。テレビなどで明治座の名は見聞きしていましたが、こんな歴史ある劇場だとは知りませんでした。

    明治座。

    甘酒横丁から明治座に至る道は並木道でした。そして、明治座の横にも並木道が続いています。急に思い出したように書きますが、この連載は「GREEN WAY」(緑道)散策です。川の跡の路地や横丁をめぐっているようで、ちゃんと緑に縁取られた道を歩いていたのです。というわけで、明治座横の並木道から浜町公園に歩を進めます。

    明治座の脇にある浜町公園入り口の並木道。

    並木道を進んでいくと、象のイラストが描かれた案内板がありました。「ナウマンゾウの化石浜町標本発掘の地」と記されています。

    ナウマンゾウの化石「浜町標本」

    日本橋浜町でナウマンゾウの化石が見つかったのは1976年。都営新宿線の掘削工事中に、浜町駅のホーム北端から30mの地点で発見されたそうです。発掘された化石は、頭蓋や下顎骨をはじめ100点近くあり、約15万年前、東京周辺にはゾウの群れがいたこと判明しました。

    大昔にゾウがいたことは、知識として理解できます。でも、明治座を含め高層ビルが建ち並ぶ現在の日本橋浜町の様子を目にしながらだと、なかなか想像しづらいです。江戸時代からの川の跡をたどってきたら約15万年前のナウマンゾウが現れ、脳がクラクラしています。

    人形町駅や馬喰横山駅近くの地にゾウ!?

    ナウマンゾウ、しかも群れか…と、どうにか情報をかみ砕こうとしながら浜町公園の園内に進んでいきます。

    浜町公園

    関東大震災後の帝都復興事業の一環として、この連載のFILE.15で紹介した隅田公園などとともに計画・整備され、1929年に開園。中央区立の公園では最も広い面積をを有し、園内にはデイキャンプ場や運動広場、中央区立総合スポーツセンターがあります。

    浜町公園。
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    浜町公園から隅田川沿いに抜けられます。

    浜町公園は隅田川に面していて、園内を進んでいくとそのまま川沿いの遊歩道に出られます。浜町川と龍閑川の暗渠をめぐってきた今回のGREEN WAYですが、ついに江戸の大動脈である隅田川にたどり着きました。

    そう書くと計算ずくのようですが、たまたまです。ともかく、GREEN WAYとして収まりがいいのでここでフィニッシュにしようとしたのですが、公園の一角にあるお寺に目が留まりました。

    清正公寺

    豊臣秀吉に仕え、熊本城の築城や朝鮮出兵で活躍した戦国武将・加藤清正をまつっている清正公寺(せいしょうこうじ)。もともと現在の浜町公園の土地には熊本藩の下屋敷があり、その時代に敷地内に開山(寺を建立)したそうです。

    清正公寺。

    あらためてここでフィニッシュとし、浜町駅から帰路につきました。ナウマンゾウだったり戦国武将だったり、何だか時代を行ったり来たりした今回の「浜町界隈GREEN WAY」。ぼんやり歩いているだけでは気づかない東京という土地の奥深さに触れたようで、個人的にはとても興味深い道のりになりました。

    それにしても、川の跡である暗渠を歩いていると思いも寄らない場所にたどり着けるので、ますますハマりそうです。少しでも興味のある方は、前回のFILE.21「龍閑川GREEN WAY」と合わせ、ぜひ川の痕跡散策を楽しんでください。

    今回歩いたルートのデータ

    |距離約1.9km
    |累積標高差約4m

    今回のコースを歩いた様子は動画でもご覧いただけます。

    ●FILE.21「龍閑川GREEN-WAY」 to FILE.22「浜町界隈GREEN-WAY」

    斉藤正史さん

    プロハイカー

    2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。また、BE-PAL.netにて「TOKYO山頂ガイド」を連載。

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