摘果された「青みかん」のサステナブルな活用について学んできました! | サスティナブル&ローカル 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.09.09

    摘果された「青みかん」のサステナブルな活用について学んできました!

    摘果された「青みかん」のサステナブルな活用について学んできました!

    日本の家庭で親しまれている果物といえば「みかん」。 もちろん我が家も秋冬になるとよく購入するんですが、皮の剝きやすさと、スッキリした後味のせいか、いつの間にか1日に4~5個も食べていて、知らないうちに家計を圧迫していたりするんですよね。

    そんなみかんですが、上質な実を育てるには「摘果(てっか)」と呼ばれる間引き作業が必要だそうです。そして近年はサステナビリティの観点から、かつては行き場のなかった摘果みかん(青みかん)を利活用する動きが盛んになっているのだとか。

    お恥ずかしいことに私はみかんに摘果が必要なこと自体を知らなかったのですが、先日、摘果みかんのアップサイクルを行っている方から、摘果を体験できるイベントのお誘いがあったので、6歳の娘と参加してきました。

    おいしいみかんの栽培には「摘果」が必須

    アマンダリーナ代表、奥井さんの呼びかけで約70人の摘果ボランティアが集合。地元の中学生も課外授業で参加していた。

    体験の舞台は、横浜市金沢区の丘の上にある「柴シーサイドファーム」のみかん農園。朝から強烈な日差しが容赦なく照りつけるなか、総勢70人ほどの参加者が集まったそう。

    このイベントを主催するのは、横浜産の素材を使ったドレッシングを手がけるアマンダリーナ合同会社代表の奥井奈都美さん。なぜドレッシングを作る会社がミカンの摘果体験を企画しているのかというと、同社のドレッシングはここの農園で摘果された若いみかん(青みかん)を原料にしているからです。

    今回の摘果体験イベントの主催者、アマンダリーナ代表の奥井さん。今回の青みかん以外にも地元横浜で様々な資源循環の取り組みを行っている。

    農園を管理する小山さんに聞いたところ、ここには約50本の温州みかんが植えられていて、この規模のみかんを栽培する農園は横浜市でも珍しいとのこと。秋になると市場への出荷のほか、一般のお客さんがミカン狩りも楽しめるそうです。

    柴シーサイドファームを管理している小山雄輔さん。「摘果は重労働なので、みかん狩りに来られた方はぜひ遠慮なく沢山採ってください」とのこと。

    摘果をする理由は、木に実がなりすぎると養分が分散し、甘みが薄くなったり小ぶりになったりするうえ、翌年の実付きも悪くなるから。しかし、摘果作業はすべて手作業で行うしかないので、とくに炎天下では大変な作業です。

    どのみかんも美味しそうなのですが……

    朝のブリーフィングを終え、いざ摘果!…と娘と意気込んだものの、どのみかんも鮮やかな深緑色でツヤツヤ。何を基準に摘めば良いのか分からずまごついていると、ベテラン参加者と思しき方が詳しく教えてくれました。

    どの木も美しい色の青みかんがびっしり実をつけており、素人にはどれを摘果すべきなのか、自分ではいまいち判断ができず。

    「傷が付いているものや、枝の奥になっていて日当たりが悪いもの、枝が重さで垂れ下がっているもの、鈴なりになっているものは優先的に摘んで大丈夫です。あと『天成り』っていって上向きの実も味が落ちやすいから摘んでください。あっそうそう、実の大小は関係ないので遠慮せず」

    このような葉の数に対して実が多くなっているものを摘果する。
    このように皮が割れたり傷が付いているものは出荷できないので迷わず摘果。

    ほうほうなるほど、と周囲を見回すと、他の参加者の皆さんは結構なハイペースで次々と青みかんをもいでいて、カゴの中はあっという間にいっぱいに。

    私の同じように親子で参加されている方も。右の娘さんは、みかん好きの学生が集うインカレサークル、「東大みかん愛好会」に所属し、みかんの消費量を増やすための様々な活動を行っているそう。
    青みかんは、深みのある緑色と油でも塗っているような艶でとても美しい。
    あまりにもツルツルで美しい色のみかんに頬ずりし始める私の娘。気持ちは分かる。
    摘果したみかんは、ゲージを使って大小を選別し、それぞれに適した商品へと加工されます。大きいものはドレッシングやジュース、小さめのものは地元横浜の飲食店などでそのまま使用したり、皮をむいて胡椒に加工したりするそう。

    みかんの木は、葉で作られた養分によって実がなります。したがって葉の数に対してあまり多くの実がなっていると養分が不足します。理想は「葉っぱ20枚に対して実がひとつ」らしく、この基準で摘果すると全体の2割ほどの量になるそうです。

    先述の小山さん曰く、今年は例年以上に豊作だそうで、作業1時間ほどでなんと20ケース分の青みかんが集まりました。

    この日に摘んだみかん(の一部)。鮮度が落ちないよう翌日には平塚にある搾汁所へ出荷され、搾った果汁をドレッシングへ加工するという。

    青みかんで、おいしく食べる、洗う、育てる!

    このように、美味しいミカンを栽培するには摘果作業が必要不可欠ですが、じつは少し前まで摘果された大量の青ミカンは、市場に流れることはなく、未活用のまま廃棄されていたとのこと。

    アマンダリーナの奥井さんは、そうした課題を解決するため、約10年前から、この青みかんを買い取り、藤沢の工場でドレッシングに加工して販売することで、食品ロスを減らしつつ、地産地消の促進につなげる事業を行っています。

    今年の青みかんは大豊作で、私たちが手伝った1日だけで800キロ以上もあったとか。摘果後はすぐに平塚の福祉事業所へと運搬されて手作業で搾汁を行う。いわゆる農福連携の取り組みでもあるのだ。

    この日に摘果されたミカンは大きさごとに選別され、様々なものへ加工されます。果肉は搾汁してドレッシングやジュースに。果皮は胡椒や洗剤などに加工されます。また、洗剤の製造過程で出る残渣は畑へ堆肥として再利用されるなど、いわゆるサーキュラーエコノミーが実現されています。

    こちらは今回の摘果体験イベントを主催したアマンダリーナで製造している青みかんの果汁をベースに使用したドレッシング。青みかんは、横浜をはじめ、すべて神奈川県内のものを使用している。
    ドレッシングを果汁を搾り取ったあとに残る青みかんの皮は、地元の洗剤メーカー、鶴ヶ峰洗剤に引き取られ、蒸留を行って精油にし、地球にやさしい「易生分解性洗剤」へ加工される。

    お土産として小ぶりの青みかんを沢山いただいたのですが、レモンの代わりに飲み物や料理に搾ってみると、フレッシュな酸味が抜群の美味しさ。

    個人的にはこのままでジュースにして飲みたいぐらい。このところは猛暑の外出でフラフラになって家に帰ってきたときは、すぐに冷蔵庫の青みかんをカットし、直接口に絞ってビタミンをチャージするのが習慣になっております。 

    高品質を保つために摘み取られ、廃棄されていた青ミカンが、新しい価値を付加されて生まれ変わる。これからの時代に求められる素晴らしい取り組みでした。

    アマンダリーナ

    佐藤 旅宇

    フリーランスの雑誌編集&ライター

    自転車、オートバイ、車など、自由に移動できる乗り物が大好きな雑誌編集者&ライター。独身時代はキャンプをしながら日本中を走り回っていたが、現在は3人の子どもたちと、年に1度のロングトリップと週末のデイキャンプが趣味。知的障がい児を育てる父親でもあり、インクルーシブな社会の実現に向けてインスタグラム等で発信を行っている。

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