一生に一度は見たい!毎年20万人超が訪れる台湾・馬祖(マーズー)列島の「青の涙」とは? - 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.06.27

    一生に一度は見たい!毎年20万人超が訪れる台湾・馬祖(マーズー)列島の「青の涙」とは?

    一生に一度は見たい!毎年20万人超が訪れる台湾・馬祖(マーズー)列島の「青の涙」とは?
    台湾本島の西北部にある「馬祖(マーズー/ばそ)列島」をご存知でしょうか。中華民国福建省連江県に属し、「南竿(ナンガン)島」「北竿(ベイガン)島」「東莒(ドンジュー)島」「西莒(シージュー)島」「東引(ドンイン)島」の主要な5つの島と、その周辺の複数の島から成る列島です。

    この馬祖列島には、春から夏にかけて、「藍眼涙(ランイェンレイ)」と言われる「あるもの」を目当てに観光客が押し寄せます。日本語に訳すと「青の涙」。

    列島すべての人口を合わせても13000人程の小さな島々に、年間約22万人もの観光客を引き付けてやまない「青の涙」とは一体何なのでしょう?

    「藍眼涙」(青の涙)、その正体は

    馬祖列島では4月~10月にかけて、列島内の複数の海岸でこの「藍眼涙」の発光現象が見られます。特に春から夏にかけて見られる確率が高く、年に数回の「大発生」の日には波打ち際が真っ青に光るのだとか…!

    筆者が4月に馬祖列島内のひとつである東莒島の民宿に宿泊した際には、民宿のオーナーが「大発生の日には、民宿のすぐ前の福正海岸も、藍眼涙で真っ青になるよ」と教えてくれました。

    東莒島の福正海岸。藍眼涙観測地のひとつ。
    大発生の日の福正海岸(写真提供/馬祖東莒容叔芽窩民宿 撮影者/故郷民宿)。

    この美しい輝きを放つ藍眼涙の正体、それは「ノクチルカ」と言われる海洋性プランクトン、別名「夜光虫」の発光現象です。夜光虫は、体内にルシフェリンという発光物質を蓄えており、外部からの刺激(波や船の動き)によって青白く発光します。ちなみに昼は赤潮として姿を見せるのだとか。赤くなったり青くなったりと忙しい…!

    しかし自然現象ゆえ、波打ち際でこの現象に出会えるかどうかはまさに運次第。しかも大発生は年に数回とあって、馬祖を訪れた日にたまたまこの現象を見られる確率は、決して高くないといえるでしょう。

    ですが一方で、かなり高い確率で藍眼涙を見られる方法があります。それは「軍事目的で掘られた坑道内で、自ら舟を漕いで夜光虫たちを発光させる」こと。

    馬祖列島の主要5島のひとつである南竿島には、1960年代に中華民国国軍によって人力で掘られた「北海坑道」があります。坑道の長さは640m。満ち潮時には水位は8mに達し、引き潮時には4mにまで下がるという、水位の変化が大きい坑道です。この坑道は台湾海峡とつながっていて、満ち潮時には、潮の流れに乗って大量の夜光虫が坑道内に流れ込んできます。

    いざ坑道内へ

    では、実際の藍眼涙の輝きは一体どんなものなのでしょう?この目で確かめるべく、北海坑道内の藍眼涙鑑賞プログラムに参加してみました。

    北海坑道の入り口。
    前方には台湾海峡。
    軍事感たっぷりのものものしい雰囲気。

    この北海坑道、軍事目的で作られた坑道だけあって、トンネル内には軍に関する展示物がちらほら…。ただし、幸いなことにこの坑道が戦火に見舞われたことはなく、いまでは専ら観光用として使われているのだそうです。

    観光客向けの「記念メダル製造機」も坑道内に。

    夜になると、藍眼涙との遭遇を目的として多くの観光客がこの坑道に集まってきます。灯のほとんどない坑道の中で船を漕ぐアクティビティに参加するわけですから、事前のレクチャーは必須。出発時刻の20分前までには坑道内の集合場所に集まるよう、主催者から連絡がありました。

    坑道内の集合場所に行くと、いかにもベテランという雰囲気の年配スタッフが注意事項を流暢に説明してくれます。ライフジャケットは乗船から下船まで必ず身に着けておくこと、各船に1人ずついる船頭の指示に従うこと、携帯電話を落としても拾うことはできないので持ち物の管理に注意すること…。

    注意事項を一通り聞き終えたら、その場で乗船の順番が来るのを待ちましょう。スタッフからの説明は中国語で行われますが、ライフジャケットを見せながら説明してくれたり、実際に舟を漕ぐオールで動きを再現してくれたりするので、どんな説明がなされているかは、なんとなく雰囲気でわかります。

    そしていよいよ乗船。坑道内の船着き場から、16人乗りの舟が一艘ずつ、計4艘の舟が出発していきます。スタッフは手慣れたもので、観光客を16人ごとに区切って、てきぱきと舟に誘導していきます。

    階段を下りたところから乗船。
    ポップな色合いの舟。

    出発直後は、舟を定位置まで移動させるためにスタッフが漕いでいきます。船着き場付近は藍眼涙が少ない場所らしく、「みなさんで漕ぐのは、もうちょっと待ってくださいね」との指示が。

    幻想的な雰囲気の中を舟は進む。

    時間にして5分ぐらいでしょうか。坑道の中ほどまで進むと、舟は一旦ゆっくりと停止します。

    そして、「はい、漕いで~!」というスタッフの掛け声に従って、舟に乗り合わせた皆が力を合わせて、1人1本ずつ渡されたオールを渾身の力で漕いでいきます。

    すると…オールの動きに合わせて、水中にいた藍眼涙がきらきらと光る。

    こんな軌跡や。
    こんな軌跡も。

    スタッフから「大勢で一斉に大声を出すと音波が発生して、オールを漕いでいなくても藍眼涙が光ります。では叫びますよ。せーの!」と掛け声があったら、あー!でもわー!でも何でもいいので、大声を出して楽しみましょう。音波が水面に伝わって、藍眼涙がきらきらと光るさまはなかなか圧巻。

    船着き場を出発してから戻ってくるまで、約30分の船の旅。…といってもクルーズ旅行のような優雅なものではなく、自分で漕いで藍眼涙を光らせる必要がある、体育会系のアクティビティですが。力の限りに漕いでいくと、結構体力を消耗します。

    でも、その結果見られる光景はとても神秘的。ここでしか見られない、人と夜光虫が織りなす絶景を楽しみましょう。

    同じ場所に戻ってきたら、アクティビティは終了。

    オンラインで予約可能

    北海坑道では、3月1日から11月30日までの9か月間、藍眼涙の鑑賞が楽しめます。18:30から21:00まで1日4回の藍眼涙鑑賞体験プログラムが行われており、1回あたりの上限は48人。体験料金は大人1人あたり350元(約1680円)。台湾発祥のオンライン旅行会社であるKKDAYなどで、日本語で予約可能です。

    「藍眼涙を見なければ、馬祖を訪れたとはいえない」と言われるほど、馬祖の観光コンテンツとして認知されている藍眼涙。その神秘的な輝きを、ぜひ目に焼き付けてみてください。

    写真提供/馬祖國家風景區管理處、馬祖東莒容叔芽窩民宿

    市川美奈子さん

    台湾在住ライター

    静岡県出身。一児の母。民間企業を経て2013年から行政機関で勤務、2023年4月から台湾に駐在。夫を日本に残し、「ワーママ駐在員」として小学生の息子と共に台湾で暮らしている。旅行好き。離島を含む台湾各地を旅して、その土地の歴史と文化とアウトドアを楽しんでいる。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員

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