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    2025.06.28

    「尾根筋がたまらん!」オーストラリア大陸で5泊6日ハイキング【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】

    「尾根筋がたまらん!」オーストラリア大陸で5泊6日ハイキング【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】
    オーストラリア大陸の中央部というと「ウルル(旧称エアーズロック)」のイメージから、「基本的には真っ平ら」なイメージがあるかもしれません。でもじつはウルルの北東約400キロ、オーストラリア内陸部の中心都市(といっても人口2万6000人)であるアリススプリングス周辺には、いくつかの「山脈」が並行して走っています。

    そしてその1つではなんと「様々な尾根筋ハイキング」が楽しめるのです!

    どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。

    初日にいきなりクライマックス!?【ララピンタトレイル・その1】

    今回のコースの名称は「ウェストマクドーネル(West MacDonnell)国立公園内にある」「ララピンタトレイル(Larapinta Trail)」。「世界のベストハイキングコース○選」などに入ることも多い名コースです!

    2023年にヘリコプターから空撮した写真。

    2つの山脈が並行して走っているのがわかると思います。

    しかも「登ったり下ったり」ではなく「尾根筋が延々と続く」というたまらない風景。

    ※「尾根筋」:尾根となって続く稜線

    そして場所によってはこんなふうに片側が、「火曜サスペンス劇場」に出てきそうな断崖絶壁。

    さてこの「ララピンタトレイル」の全長は231キロメートル。12のセクションにわかれていて、各セクションの終わりはキャンプできるようになっているので、健脚であれば12~14日で歩き通すことができるとのこと。

    ただし「水場」らしき水場はないし、約2週間分の食料と水を背負って歩くのは困難なので、セクション終わりで食料と水を受け取れる「フードドロップ」というシステムを用いるのだそうです。

    とはいえ、今回私が参加したのはその「ララピンタトレイル」のいいところどりをした5泊6日のハイキングツアーです。以前、タスマニアの5泊6日ハイキングのときは6日分の衣類などをすべて背負わなければならなかったのですが、今回は着替えなどを入れたスポーツバッグはバスで次の宿泊地に輸送してくれるシステム。その日に必要なものを入れた「デイパック」のみを背負えばOKです。

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    とはいえこのときの最高気温は20℃と低めでしたが炎天下を歩くので水は3リットルくらい背負う必要があり、それなりの重さになります。

    参加者は11人で、ガイドは5人。うち1人か2人はバスで次の宿泊地に先乗りして、夕飯などの準備をします。1回のツアーで、最大16人の参加者を受け入れるのだとか。

    1、3、5の奇数日は15キロ前後の長めのハイクで、2、4、6の偶数日は8キロほどの短めとメリハリをつけています。とはいえ短い日でもかなりの登り下りはあります。

    広大な風景からスタート!

    初日は8時35分頃、このララピンタトレイルのスタート地点である「テレグラフテーション」を出発。ここは、インターネットどころか電話すらなかった時代の電信中継所です。

    写真の屋根のところが正式な出発地点。
    さあ、ここからがスタートです!
    最初は平らだったのですが、そのうち緩やかなアップダウンを繰り返す丘陵地帯になります。

    視界を遮る木々がほとんどない丘陵地帯を威風堂々歩くという点では、同じオーストラリアのタスマニア中央部と似ています。でもあのときは雪が残っていたりして荒涼とした感じだったのに対して、こちらは明るい。

    昔オーストラリアを開拓した人はこんな風景の中を歩いたんだろうなと思うと感慨深いものがあります。

    というかよくこのデカく、水場がほとんどない大地を探検したものだと感心します。

    この紫の花はおそらく「ブッシュトマト」で野生のトマトの一種。

    食べられるものと食べられないものがあるのはキングキャニオンでガイドのタクさんから学んだ通り。

    タク、ちゃんと「THINK TWICE」してるかな?笑

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    そんな感じで威風堂々歩いていたのですが…。

    歩きながら「なんか変だな?」という違和感がずっと抜けなくて…。頭の回転が遅い私が1時間ほどしてようやく気付いたのが、「あっ! 景色、全然赤っぽくないじゃん!」。

    というのもこのあたりのオーストラリア大陸「中央部」は鉄鉱石を多く含んだ「赤土の大地」という意味で、「レッドセーター」と呼ばれています。ところが写真のようにかなり草が生えているのです!かなりグリーンなのです!

    で、5人のガイドのリーダーであるケイトリンさんに「あんまりレッドセンターじゃないんですね」と聞くと、「ハイキングシーズン前にかなり雨が降ったので草が多い」とのこと。

    さらに生えている草の多くが「バッファローグラス」という外来種で、19世紀にオーストラリアに入ってきたのだとか。最初はただの雑草だったのですが、成長が極めて早いので「牛の餌にいいのでは?」と考えた牧場の人たちが積極的に植えたと言います。ところが…。

    栄養がなくておいしくないので牛たちは食べず、結局古くから生えている植物を駆逐して植生を壊してしまいました。しかもこのあたりの草木の中には野火によって殻がはじけることで、種が地面に落ちるものがあるのですが、バッファローグラスが生い茂っていると火の温度が高くなりすぎて、固有種の種が焼けて死んでしまのだとか。

    外来種はどこでも由々しき問題になることがあります。

    とにかくあまり「レッドセンター」っぽくない大地を進みます。

    内陸部のハイキングに必須の「秘密兵器」!

    歩き始めは風が弱かったのですが、10時くらいから無茶苦茶強くなり、また11時くらいから弱まりました。予想最高気温は20℃と歩きやすい気温なので、風がないほうがラクです。

    ところが風がなければないで、ハエが口や目や鼻や耳の水分を求めて集まってくるのです。特にオーストラリアの内陸部では5月と9~10月にハエが大量発生するので、頭からすっぽりかぶる蚊帳のような「フライ(ハエ)ネット」または「モスキート(蚊)ネット」と呼ばれるものは必需品です。

    ツアー参加前日にアリススプリングスの街でゲットしたものを嬉々として被っていますが…。

    そして本日のランチ。

    バンズにハムやサラミ、チーズ、各種野菜をガイドたちが用意してくれて、自分たちではさんでつくるサンドウィッチです。

    飲食後はトイレが気になるかと思いますが、セクションとセクションの間以外ありません。つまり昼間の間はずっとトイレなし。

    男女とも茂みで隠れて用を足します。でもご覧のように茂みがあるところが少ないので注意が必要。「大」もそのまま放置して、トイレットペーパーだけ持ち帰ればいいとのことです。

    ときおりガイドが植物の説明もしてくれます。

    エアマフラーという低木。咳止めとかに筋肉痛とかに使うそう。

    先住民のアボリジナルピープルはこれで火を焚いて「邪気」を払うのにも用いるとのこと。

    尾根筋ハイクを大満喫!

    さてそれまではずっとゆるやかな登り下りだったのですが、ガイドのケイトリンによると「ここからは急登が続くので各自のペースで無理せず登ってください」とのこと。

    急な登り坂が続くとみんな言葉が少なくなるのは「ハイキングあるある」です。

    でも沈黙が大の苦手な「頭は5歳」くんがいます。はい、私です。てなわけで「ホワイノーワンズトーキング、ジャストウォーキング(Why no one’s talking? Just walking.)」と後韻を踏んだ一発ジョークをかまして、見事な失笑を勝ち取りました。笑

    そんなこんなで急登を登っていると、先を行く参加者たちから感嘆の声。それに誘われるように登っていくと…。

    ジャーン! すごい尾根筋が待っていました。
    登り終えて後ろを振り返ったところです。
    向かって右側は普通の斜面ですが、左側はこの断崖絶壁!
    威風堂々へっぴり腰なのもご理解いただけると思います。笑

    でも両側が断崖絶壁だともう完全に足がすくみますが、右側が斜面なので気持ちはラク。爽快に歩けます。

    尾根筋がたまらん!
    左側が切り立ってる場所もたまらん!
    左右とも切り立ってない場所もたまらん!

    つまり「たまらん」の波状攻撃にさらされるわけです。「たまらん」の山脈なのです。

    けどやっぱりこういうところはビビります。
    ユーロリッジという展望台で記念撮影。

    だけどここだけでなく稜線のどこでも絶景です。たぶん記念写真を撮るために看板が作られたのでしょうね。

    「たまらん」ばかりでは芸がないので…。

    NHK朝ドラ「あんぱん」風に「たまるか~」とつぶやいてみました。

    私以外はオーストラリア人やアメリカ人やニュージーランド人や英国人なのでもちろん通じませんが。

    尾根筋ハイクがどこまでも続きます。

    フィジーの海が見える尾根筋ハイクともまた違ったすごさ。

    フィジーで「人生最高の低山ハイク」に出会った~!【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】

    そんなわけで絶景ハイクを1時間堪能したあと、ようやく尾根筋から外れます。

    もう初日からクライマックスという感じで大満足です!

    尾根筋からずれて17分後の2時53分にこの日のゴール。

    そしてバスで宿泊地に向かいます。

    寝床はキャンバス地のサファリテント。
    最大定員は2人。
    食事する「本館」にあたる場所も壁のないテント。

    気持ちいいはずですが、この日は夕方からまた強風が吹いて寒かったです。大陸の内陸部は寒暖差が激しいもの。防寒着をお忘れなく。

    とにかく。「初日からこんなクライマックスでどうするの?」と圧倒された1日が終わりました。

    でも2日目からもますますスゴくなるんです!

    【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら

    Classic Larapinta Trek in Comfort (今回実際に参加したツアー)
    https://www.australianwalkingholidays.com.au/Red-Centre/Guided/Classic-Larapinta-Trek-in-Comfort

    Australian Walking Holidays (今回のツアーを含めオーストラリア国内で100以上のウォーキング&アドベンチャーツアーを主催するツアー会社)
    https://www.australianwalkingholidays.com.au/

    Great Walks of Australia(今回参加した「クラシックララピンタトレイル」を含む、オーストラリアを代表する13の数日間ハイクをまとめたサイト)
    https://greatwalksofaustralia.com.au/

    ノーザンテリトリー政府観光局
    https://northernterritory.com/jp/ja

    柳沢有紀夫さん

    オーストラリア在住ライター (海外書き人クラブ)

    1999年からオーストラリア・ブリスベン在住に在住。オーストラリア関連の書籍以外にも『値段から世界が見える!』(朝日新書)、『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(新潮文庫)、『日本語でどづぞ』(中経の文庫)、『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著作も多数。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」のお世話係

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