
そしてその1つではなんと「様々な尾根筋ハイキング」が楽しめるのです!
どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
初日にいきなりクライマックス!?【ララピンタトレイル・その1】
今回のコースの名称は「ウェストマクドーネル(West MacDonnell)国立公園内にある」「ララピンタトレイル(Larapinta Trail)」。「世界のベストハイキングコース○選」などに入ることも多い名コースです!

2つの山脈が並行して走っているのがわかると思います。
しかも「登ったり下ったり」ではなく「尾根筋が延々と続く」というたまらない風景。
※「尾根筋」:尾根となって続く稜線

さてこの「ララピンタトレイル」の全長は231キロメートル。12のセクションにわかれていて、各セクションの終わりはキャンプできるようになっているので、健脚であれば12~14日で歩き通すことができるとのこと。
ただし「水場」らしき水場はないし、約2週間分の食料と水を背負って歩くのは困難なので、セクション終わりで食料と水を受け取れる「フードドロップ」というシステムを用いるのだそうです。
とはいえ、今回私が参加したのはその「ララピンタトレイル」のいいところどりをした5泊6日のハイキングツアーです。以前、タスマニアの5泊6日ハイキングのときは6日分の衣類などをすべて背負わなければならなかったのですが、今回は着替えなどを入れたスポーツバッグはバスで次の宿泊地に輸送してくれるシステム。その日に必要なものを入れた「デイパック」のみを背負えばOKです。
とはいえこのときの最高気温は20℃と低めでしたが炎天下を歩くので水は3リットルくらい背負う必要があり、それなりの重さになります。
参加者は11人で、ガイドは5人。うち1人か2人はバスで次の宿泊地に先乗りして、夕飯などの準備をします。1回のツアーで、最大16人の参加者を受け入れるのだとか。
1、3、5の奇数日は15キロ前後の長めのハイクで、2、4、6の偶数日は8キロほどの短めとメリハリをつけています。とはいえ短い日でもかなりの登り下りはあります。
広大な風景からスタート!
初日は8時35分頃、このララピンタトレイルのスタート地点である「テレグラフテーション」を出発。ここは、インターネットどころか電話すらなかった時代の電信中継所です。



視界を遮る木々がほとんどない丘陵地帯を威風堂々歩くという点では、同じオーストラリアのタスマニア中央部と似ています。でもあのときは雪が残っていたりして荒涼とした感じだったのに対して、こちらは明るい。

というかよくこのデカく、水場がほとんどない大地を探検したものだと感心します。

食べられるものと食べられないものがあるのはキングキャニオンでガイドのタクさんから学んだ通り。
タク、ちゃんと「THINK TWICE」してるかな?笑

歩きながら「なんか変だな?」という違和感がずっと抜けなくて…。頭の回転が遅い私が1時間ほどしてようやく気付いたのが、「あっ! 景色、全然赤っぽくないじゃん!」。
というのもこのあたりのオーストラリア大陸「中央部」は鉄鉱石を多く含んだ「赤土の大地」という意味で、「レッドセーター」と呼ばれています。ところが写真のようにかなり草が生えているのです!かなりグリーンなのです!
で、5人のガイドのリーダーであるケイトリンさんに「あんまりレッドセンターじゃないんですね」と聞くと、「ハイキングシーズン前にかなり雨が降ったので草が多い」とのこと。
さらに生えている草の多くが「バッファローグラス」という外来種で、19世紀にオーストラリアに入ってきたのだとか。最初はただの雑草だったのですが、成長が極めて早いので「牛の餌にいいのでは?」と考えた牧場の人たちが積極的に植えたと言います。ところが…。
栄養がなくておいしくないので牛たちは食べず、結局古くから生えている植物を駆逐して植生を壊してしまいました。しかもこのあたりの草木の中には野火によって殻がはじけることで、種が地面に落ちるものがあるのですが、バッファローグラスが生い茂っていると火の温度が高くなりすぎて、固有種の種が焼けて死んでしまのだとか。
外来種はどこでも由々しき問題になることがあります。

内陸部のハイキングに必須の「秘密兵器」!
歩き始めは風が弱かったのですが、10時くらいから無茶苦茶強くなり、また11時くらいから弱まりました。予想最高気温は20℃と歩きやすい気温なので、風がないほうがラクです。
ところが風がなければないで、ハエが口や目や鼻や耳の水分を求めて集まってくるのです。特にオーストラリアの内陸部では5月と9~10月にハエが大量発生するので、頭からすっぽりかぶる蚊帳のような「フライ(ハエ)ネット」または「モスキート(蚊)ネット」と呼ばれるものは必需品です。

そして本日のランチ。

飲食後はトイレが気になるかと思いますが、セクションとセクションの間以外ありません。つまり昼間の間はずっとトイレなし。
男女とも茂みで隠れて用を足します。でもご覧のように茂みがあるところが少ないので注意が必要。「大」もそのまま放置して、トイレットペーパーだけ持ち帰ればいいとのことです。
ときおりガイドが植物の説明もしてくれます。

先住民のアボリジナルピープルはこれで火を焚いて「邪気」を払うのにも用いるとのこと。
尾根筋ハイクを大満喫!
さてそれまではずっとゆるやかな登り下りだったのですが、ガイドのケイトリンによると「ここからは急登が続くので各自のペースで無理せず登ってください」とのこと。

でも沈黙が大の苦手な「頭は5歳」くんがいます。はい、私です。てなわけで「ホワイノーワンズトーキング、ジャストウォーキング(Why no one’s talking? Just walking.)」と後韻を踏んだ一発ジョークをかまして、見事な失笑を勝ち取りました。笑
そんなこんなで急登を登っていると、先を行く参加者たちから感嘆の声。それに誘われるように登っていくと…。




でも両側が断崖絶壁だともう完全に足がすくみますが、右側が斜面なので気持ちはラク。爽快に歩けます。



つまり「たまらん」の波状攻撃にさらされるわけです。「たまらん」の山脈なのです。


だけどここだけでなく稜線のどこでも絶景です。たぶん記念写真を撮るために看板が作られたのでしょうね。

NHK朝ドラ「あんぱん」風に「たまるか~」とつぶやいてみました。
私以外はオーストラリア人やアメリカ人やニュージーランド人や英国人なのでもちろん通じませんが。

フィジーの海が見える尾根筋ハイクともまた違ったすごさ。

もう初日からクライマックスという感じで大満足です!

そしてバスで宿泊地に向かいます。



気持ちいいはずですが、この日は夕方からまた強風が吹いて寒かったです。大陸の内陸部は寒暖差が激しいもの。防寒着をお忘れなく。
とにかく。「初日からこんなクライマックスでどうするの?」と圧倒された1日が終わりました。
でも2日目からもますますスゴくなるんです!
【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら!
Classic Larapinta Trek in Comfort (今回実際に参加したツアー)
https://www.australianwalkingholidays.com.au/Red-Centre/Guided/Classic-Larapinta-Trek-in-Comfort
Australian Walking Holidays (今回のツアーを含めオーストラリア国内で100以上のウォーキング&アドベンチャーツアーを主催するツアー会社)
https://www.australianwalkingholidays.com.au/
Great Walks of Australia(今回参加した「クラシックララピンタトレイル」を含む、オーストラリアを代表する13の数日間ハイクをまとめたサイト)
https://greatwalksofaustralia.com.au/
ノーザンテリトリー政府観光局
https://northernterritory.com/jp/ja