東京湾に潜んでいた要塞&秘密基地!「猿島」探検に行ってみた
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    2024.02.09

    東京湾に潜んでいた要塞&秘密基地!「猿島」探検に行ってみた

    東京湾に潜んでいた要塞&秘密基地!「猿島」探検に行ってみた
    今回紹介するのはこんな「異世界」感あふれる場所。しかも「要塞」や「秘密基地」まであり、「探検ツアー」も実施されていて、少年に戻った気分でワクワクしちゃいました。しかも「自然」もたっぷり。さてさてこのトンネルの先に何があるのか。想像しただけでワクワクしませんか?

    「魔境」感と「自然」が織りなす超不思議空間へ!

    「別世界」とか「魔境」というとすごく遠くにある場所に感じますよね。でも東京からすぐそこにありました。

    どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。今回もまた日本に一時帰国時に訪れた「猿島」の紹介です。

    なんでも日蓮上人が嵐で流れ着いたときに、この島にいた猿に助けられたという伝説からその名がついた「猿島」。とはいえ今は猿は生息していません。

    猿島というのは東京湾に浮かぶ島。湾の出口に近い横須賀市にあります。東海道新幹線も停まる東京のターミナルの一つ品川駅から京急線の特急(特急料金なし)に乗れば、横須賀中央駅に1時間弱で到着します。

    そこから徒歩15分。「三笠桟橋」という場所から船に乗ります。このとき往復の乗船券1500円だけでなく猿島公園入園料500円(料金はいずれも「横須賀市以外に在住の大人」の場合。202312月現在。以下同じ)も払います。

    乗船時に半券をちぎって決められた箱に入れます。「片道」料金がないので帰りの乗船時には残りの乗船券を見せる必要はないのですが…絶対になくさないでください。理由はのちほど説明します。

    乗船時間はわずか10分。というわけで三笠桟橋から肉眼でも確認できます。

    さてここで問題です。東京湾には自然にできた島がいくつあるでしょうか?(お台場などの人工島は除く) 答えは後ほどお知らせします。

    島内のマップ。長さ300メートル、幅100メートルほどの小さな島です。

    遊歩道の総距離も500600メートルといったところなので自由散策でも迷うことはありません。でも今回は島の南西部にある波止場から北端まで見どころを紹介してくれる「無人島・猿島 探検ツアー」というのがあるので、今回はこれに参加してみました。「探検ツアー」って聞いた時点で何を見せてくれるのか、もうワクワクが止まりません。

    最初に地図の前で島の全体像とツアーで歩くルートを説明してくれます。

    参加者には「イヤホンガイド」が配られます。イヤホンでナビゲーター(ツアーガイド)の声が聞ける装置なので、列の最後尾とかにいても安心。

    魔境感あふれる旧日本軍の要塞へ

    うねうねとした坂を上ること2分ほどで日本軍の要塞があった場所にたどり着きます。そうなんです。ここは島のほとんどが、日本軍が敵の上陸を阻むために作った要塞。初期のころは船が脅威だったため山なりに撃つ大砲が、そして第二次世界大戦の頃には空襲に備えるために高射砲が備えられたそう。でもそこには悲しい物語があるのですが、それは後ほど。

    ここからが「ザ・猿島」とも言うべきエリア。切通しの両側に作られた弾薬庫などがほぼ当時のまま残されていて、タイムスリップしたような気分になれます。

    島のメインストリートは切通し。

    ツアーは説明があっていいのですが、「人がいない写真」を撮るのがひと苦労(笑)。

    そんな切通しを進んでいくと、次に現れるのがトンネルです。

    探検ツアー中はこんな感じで、ところどころ立ち止まって説明を受けます。

    まるで異世界に迷い込んだ雰囲気。一人ぼっちだったからマジで怖いだろうな。

    弾薬庫なども見られます。

    そしてもう一つのトンネルを抜けたところで、ツアーは終了になりました。猿島の「メインストリート」ともいうべき通りを普通に歩くだけなので正直言うと「探検」要素はほとんどないんですが、「ここは何に使われていた」とか「レンガの積み方の違い」とか「弾薬庫から切通しの上にある砲台に弾を上げる方法」とかを説明してくれたので充分に価値はありました。どっちかっていうと「探検ツアー」というより「歴史探索ツアー」ですね(笑)。

    「砲台跡」に「秘密基地」。探検ツアー後も見どころ満載

    さてその「探検ツアー」終了後も見どころはあれこれあります。まずは解散地点のすぐそばにあるという砲台跡に向かいました。

    砲台跡はあるんですが高射砲そのものは置かれていません。

    さてここで先ほど書いた高射砲の「悲しい物語」を披露しましょう。

    ツアー中にナビゲーター(ツアーガイド)さんがしてくれた説明によると、猿島に置かれた(というか当時日本軍が所有していた?)高射砲の射程距離は6000メートル程度。一方、東京大空襲などに来た連合軍のB-29爆撃機の飛行高度は1万メートル(すみません。数字はどちらもうろ覚え…)。

    つまり撃っても全然届かなかったとのこと。その無力感とか虚無感はどれほどのものだったか…。

    他にも見どころはあります。階段を下りて磯に出られて、そこからの眺めは最高なのですが、私は強風で帽子を飛ばされて磯だまりに落としました(涙)。

    「オイモノ鼻」という妙な地名。

    逆に登って行き、見晴らしのいい高台に出ると、かつて展望台として使われていた建物があります。この展望台、その昔「仮面ライダー」で「ショッカーのアジト」として撮影された建物だそうです。

    ただし老朽化が進んだからか、現在は立ち入り禁止。とはいえ展望台に登らなくても、この高台から横須賀港方面の眺めもなかなかなので、ぜひ足を運んでみてください。

    ショッカーがいたころよりも木々に生い茂られていました。

    島には他にも「日蓮洞窟(古代住居跡)」とその字面を読むだけでワクワクするような場所もあるのですが、そこへの道は現在通行禁止。他にも通行禁止となっている道がいくつかあるので、早く通れるようにしてほしいものです。

    さてそんなこんなで船着き場付近に戻ってきたのですが、その横にあるビーチもなかなか気持ちがよさそうな場所。バーベキューもできるようです。

    いかにも「ここで撮影してSNSでアップしてくださいね~」というモニュメントですが…やっぱり撮影しちゃいますね。

    猿島には海水浴場もあるのですが、公式サイトによると2023年は「ここ数年で砂浜の形状が大きく変わりました。 この影響により、安全面等を踏まえ横須賀市と協議を重ねた結果、猿島海水浴場は開設しないこととしました」とのこと。2024年以降はどうなるのかな?

    総合案内所のある建物の2階から臨むボードデッキとビーチと海と対岸。ここでぼ~っとするのもなかなかいい時間です。

    下船後に威力を発揮する「乗船券」!

    バーベキューも海水浴もしないで「散策」だけなら2時間もあれば充分堪能できる猿島。ただ「せっかく横須賀まで来たんだから他の見どころも…」と思う方も多いはず。

    そんなときに威力を発揮するのがジャジャ~ン、ジョ~センケン~! ドラえもん風に叫んだつもりで書きましたけど全然伝わらないですね(笑)。はい、この記事の最初のほうに絶対なくさないでくださいと書いた「乗船券」です。

    というのは、船着き場である三笠桟橋のすぐ横に係留されている「記念館三笠」の入場料が、猿島の乗船券を見せると100円引きに。さらに乗船場所は三笠桟橋から徒歩で16分ほどかかるのですが、「YOKOSUKA軍港めぐり」の45分クルーズが半額(たとえば休日価格2000円が1000円)になるので大変お得なんです。

    この日は珍しくアメリカの空母「エンタープライズ」も寄港していました。船内アナウンスによると「クリスマス前後は軍人たちに休暇を取らせるために普段より多くの船が寄港していてねらい目」とのこと。

    こちらは自衛隊の潜水艦です。

    「猿島」という本題から外れるので写真は載せませんが、「記念館三笠」も見どころ満載で1時間では足りないくらいですよ。

    あっ、お得といえば「探検ツアー」は島に上陸後ではなく、乗船前に三笠桟橋で乗船券などといっしょに購入するのがオススメです。ツアー代が600円から100円引きになるだけでなく、往路のみですが「ほかの人たちより先に優先的に乗船」させてもらえます。つまり船内は自由席なのですが、2階の一番前の座席など見晴らしのいいところが確保できるのです。

    さて最後に「東京湾には自然にできた島がいくつあるでしょうか?」という冒頭の設問の答え。いくつだと思いますか? じつは「猿島のみ」です! これは結構意外ですよね。

    ちなみに戦後に軍隊が撤退してから猿島は無人島だそう。その理由は井戸もなく「飲み水の確保ができないため」だそうです。

    でも「夜の探検ツアー付き無人島・猿島宿泊体験」とかやったら、人気が出そうだけどなあ。

    猿島のビーチにあるもう一つのモニュメント。やっぱり猿島側の罠にはまって撮影しちゃいました。さすがは元要塞かつ元秘密基地(笑)!

    「猿島」公式ホームページ

    私が書きました!
    オーストラリア在住ライター
    (海外書き人クラブ)
    柳沢有紀夫
    1999年からオーストラリア・ブリスベン在住に在住。オーストラリア関連の書籍以外にも『値段から世界が見える!』(朝日新書)、『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(新潮文庫)、『日本語でどづぞ』(中経の文庫)、『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著作も多数。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」のお世話係

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