
ビールが料理を美味しくする理由は?

ビールは料理のお供に飲むだけではなく、優秀な調味料としても使えます。
ビールを料理に使うのは、実はヨーロッパではポピュラーです。
しかし、日本ではあまり馴染みがないため、少し抵抗があるかもしれません。ただ、料理酒やワインを使った料理があることを考えると、ビールを使った料理があっても不思議ではありません。
ビールは主に「肉の煮込み」「フリットなどの揚げ物」といった料理に使うのに適しています。まずは、それらの料理になぜビールが適しているのか、理由を解説していきます。
ビールが適している理由
煮込み料理に向いている理由
ビールが煮込み料理に向いている理由は、ビールに含まれる「アミノ酸と炭酸」が関係しています。
実は、ビールには豊富なアミノ酸が含まれています。
アミノ酸は、人が旨味を感じる栄養成分です。このアミノ酸が入ったビールと肉を一緒に煮込むことで、肉に深いコクと旨味が出ます。
また、炭酸に含まれる炭酸水素ナトリウムは、肉のタンパク質を分解する効果があります。その結果、お肉が柔らかくなるのです。

柔らかくするだけなら、炭酸水でも可能。炭酸水で、お肉を柔らかくする方法は昔から存在します。
味わいとしては、ビール特有のほろ苦さが追加されるため、大人が好きな味に仕上がります。
フリットなどの揚げ物に向いている理由
フリットなどの揚げ物料理に向いている理由には、前述の「炭酸」が関係しています。
揚げ物は、サクサク感が重要ですよね。そのサクッとした衣を作るために、炭酸が役立ってくれます。
なぜ、炭酸を加えると衣がサクッと仕上がるのか?
理由は、衣に炭酸を含ませておくと、揚げた時に炭酸ガスが余計な水分を伴って外に抜け出るからです。
水で衣を作った時よりも、余計な水分を抜いて仕上げることができるので、衣がサクサクに仕上がるというわけです。
▼参考記事
豚肩ロースのビール煮込み
ビールが料理をおいしくする理由を説明したところで、おすすめレシピをご紹介します。
材料(2人分)
豚肩ロース 300g
ビール 350ml(銘柄は自由)
玉ねぎ 1個
にんにく 1片(チューブでも可)
塩コショウ 適量
コンソメ 小さじ1
オリーブオイル 小さじ1
作り方
【1】玉ねぎを薄切りにします。にんにくをみじん切りにします。
【2】豚肩ロースに塩コショウをします。フライパンあるいは鍋にオリーブオイルを引いて豚肩ロースを入れ、強火で焼き目をつけます。
【3】お肉に焼き目がついたら、ビール・玉ねぎ・にんにく・コンソメを入れます。ビールのアルコールを飛ばすために、沸騰するまでは強火で。沸騰したら、弱火で30~60分煮込み、完成です。
ビールの銘柄は自由ですが、一般的なものを使うのがおすすめです。
筆者は黒ビールなどのコクが深いもので作るのも好きですが、最初は馴染みやすい味に仕上げるためにも、一般的な銘柄で試してみてください。
▼参考記事
牛塊肉の黒ビール煮込み
真っ黒な見た目のこの料理は、塊肉を黒ビールで煮込んだベルギーの郷土料理。水は一滴も使っていません。
ビールの効果で、塊肉も短時間で柔らかく仕上がります。その理由はビールの炭酸と酵母。このふたつにより、お肉のたんぱく質が分解され、ほろほろに。また同じくビールに含まれるアミノ酸と黒ビール特有のほろ苦さにより、旨味と味の深みも出してくれます。
スープストックなどは使わないので、最初にお肉に焼き色をしっかりつけてから煮込むのがコツ。お肉を焼くことによってうまれる香ばしさも、美味しさのひとつです。
牛肉だけではなく、豚肉や鶏肉でも作れます。今回は冷蔵庫にあった豚のスペアリブも入れて一緒に煮込みました。絶対にこのお肉でなくちゃ!なんてかたくならず、手に入れやすいお肉で作ってみてくださいね。それでは作っていきましょう。
材料
オリーブオイル 大さじ1
牛すね肉と豚スペアリブ (合わせて)500g
塩コショウ 適量
バター 15~20g
にんにく 1片
玉ネギ 2個
黒砂糖 大さじ1
バルサミコ酢 大さじ2
マスタード(粒なしタイプ) 大さじ1
黒糖蒸しパン 手のひらくらい(パン粉でもOK)
作り方
【1】肉の両面に塩コショウを振り、オリーブオイルを熱したダッチオーブンで焼きます。両面いい色になったら一度取り出しておきます。
【2】同じ鍋にバターを溶かし、みじん切りにしたにんにくと玉ネギを炒めていきます。玉ネギが色づきだしたら、お肉を戻します。
【3】玉ネギとお肉を、ざっと混ぜておきます。
【4】黒ビールを注ぎ、灰汁が出てきたら取り除きます。ほかの調味料もすべて入れ、蓋をして弱火で煮込みます。
【5】お肉が柔らかくなったら、パンをちぎり入れ、さらに煮込みます。ここまで約1時間煮込みました。
【6】好みのとろみ具合になったら完成!
パスタや、マッシュポテトと食べても美味しい!牛肉を使う場合は、すね肉がおすすめです。ダッチオーブンでじっくり煮込むことにより柔らかく、旨味たっぷりに仕上がります。
煮込み時間をかけるほど、お肉がほろほろに。火からおろしたあとも余熱で火が通るので、早めに作っておくのもいいですよ。
▼参考記事
海老のビールフリット
お酒好きであれば、キャンプに必ずと言っていいほど持っていくビール。実は優秀な調味料としても使えるのはご存じでしょうか?ビールを使ってサクサク衣に仕上がるフリットのレシピをご紹介します。
材料
海老 6尾
小麦粉 大さじ3
ビール 100ml
塩 ひとつまみ
揚げ油
作り方
【1】小麦粉・ビール・塩をよく混ぜ合わせて、衣を作りましょう。ここでのポイントは、冷たいビールを使うことです。
理由は、グルテンによる粘りを少しでも抑えるためです。
小麦粉に水分を入れて混ぜることで、グルテンが結合して粘りが出るのですが、この粘りが出た衣は、揚げ上がりの食感が悪くなってしまいます。冷たいビールを使うことで、この粘りをおさえることができるため、ぬるくなったビールを使わないことが大切です。
【2】衣に海老をくぐらせ、油でサクッと揚げれば完成です。
水で作った衣で作るよりも、衣がサクサクとして美味しいですよ。海老に限らず、ナスやズッキーニなどの野菜で作っても美味しいので、お好きな具材でぜひ試してみてください。
▼参考記事
ビア缶チキン
簡単な手順で作れて、インパクトも抜群な「ビア缶チキン」の作り方をご紹介します。
ビア缶チキンとは、丸鶏にビール缶を差し込み、バーベキューグリルなどで蒸し焼きにするアウトドア料理のこと。ビールの蒸気で蒸し焼きにすることで、外はパリッと、中はジュージーでふっくらとした食感に仕上げることができます。
見た目もインパクトがあり、キャンプやバーベキューなどで盛り上がること間違いなしの一品です。
必要な道具・材料
まずは、ビア缶チキン作りに必要な道具を紹介していきます。
ビア缶
チキンを柔らかく蒸し焼きにするために必要なビール缶です。市販されている缶ビールでOK。今回用意した800gのチキンには、350mlのビール缶がぴったりでした。
火にかけた際に吹きこぼれないよう、半分ほど別容器に移してから使用しましょう。もちろん、その場で半分飲んでしまってもOKですよ!
チキン

スーパーや精肉店、インターネットでも購入できます。
ビア缶チキンでは、部位ごとに切り分けされる前の丸鶏を使います。中抜き丸鶏だと内臓や羽などの下処理が済んでいる状態なので、すぐに調理する事ができて便利です。
冷凍されている丸鶏を使う際は、解凍後に味が薄まらないよう水分をしっかりと拭き取りましょう。
バーベキューコンロなど一式

金属製の鍋やバケツを用意しましょう。
チキンを焼くためのバーベキューコンロの他に、炭やトングなどが必要です。
また、ビア缶チキンは蒸し焼きにするのがポイントになるので、丸鶏にかぶせることができるサイズの金属製の鍋やバケツがマストアイテムになります。
なお鍋やバケツは、持ち手に木やプラスチックが使われていないものを選ぶように注意してください。

アルミホイルで蓋を作ることで代用ができます。
鍋やバケツを持っていないというときは、アルミホイルで代用ができます。
アルミホイルならサイズの調整も自由自在なので、チキンの大きさに合わせて蓋を作ることができて便利です。バケツのような形にしてチキンにかぶせれば、気軽にビア缶チキンを作ることができるので、ぜひ試してみてください。
作り方

お好みのスパイス等で下味をつけます。
【1】チキンに下味をつけていきます。まずは、チキンの水分をキッチンペーパーなどで拭き取ります。
焼き上げたときに表面をパリッとした食感に仕上げるため、全体にオリーブオイルを塗り込みます。
その後、お好みの下味をつけます。今回はアウトドアでも人気の「マキシマム」で、下味をつけていきます。

オリーブオイル、スパイスはたっぷりつけるのがおすすめ。
【2】下味をつけたら1時間〜半日ほど寝かせて、しっかりと味を馴染ませましょう。
このとき、フォークで穴を開けておくとより味が染み込みやすくなります。

ビア缶をおしりの部分に差し込んで立たせます。
【3】中抜きされているおしりの部分に、ビア缶を差し込みます。
すんなりと入らない場合もあるので、グッと押し広げながらセットしてみてください。
チキンを差したビア缶は重みで少々不安定になるので、バーベキューコンロに置く際は注意が必要です。
転倒防止のために、専用の「ビア缶チキンスタンド」も各メーカーから販売されているので、心配な場合はそちらを使用してください。

つまようじなどで首の部分を閉じるとしっかり蒸し上がります。
丸鶏は首の部分が開いているので、ビールの蒸気が逃げないようにつまようじなどで閉めましょう。

バケツをかぶせて蒸し焼きにします。
【4】準備ができたら、いよいよチキンを焼いていきます。このときのポイントは、チキンの真下に炭や火を置かないこと。
遠赤外線効果でじっくりと焼き上げたいので、少し火を離しておくのがおすすめです。
また、焼いている最中にチキンの油が落ちるので、アルミホイルなどを敷いておくと汚れを防ぐことができます。
アルミ鍋やスキレットなどを使うと受け皿にもなるほか、ビア缶をおいたときに安定するのでおすすめです。

皮の部分もパリッと焼けました。
【5】約1時間〜1時間半ほど焼いたら、ビア缶チキンのできあがりです!
ビア缶チキンは、下味を変えることで味の変化を楽しむことができます。今回はマキシマムで下味をつけましたが、塩コショウやハーブソルトで下味をつけるのも良いかもしれません。
時間に余裕があれば、前日に仕込んでおくとより味が染みて深い味わいになるでしょう。
また、ビア缶チキンはビールの蒸気で蒸す調理法なので、ビールの種類を変えることで風味が少し変化します。お気に入りの下味とビールの組み合わせを探すのも面白いかもしれません。
▼参考記事