アメリカ・ユタ州の砂漠の廃線トンネル「ティンティック鉄道跡」でオフロード・ドライブ&ハイキングを満喫! | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2025.01.18

アメリカ・ユタ州の砂漠の廃線トンネル「ティンティック鉄道跡」でオフロード・ドライブ&ハイキングを満喫!

アメリカ・ユタ州の砂漠の廃線トンネル「ティンティック鉄道跡」でオフロード・ドライブ&ハイキングを満喫!
ユタ州はアメリカの中でもゴーストタウンが多い州のひとつです。今回は19世紀から20世紀初頭にかけての鉱山ブームが残した、アメリカ西部開拓時代の一断面「ティンティック廃線トンネル」をご紹介します。

以前お伝えした「リトル・モアブ」からオフロード車のRZR(レーザー)でおよそ30分の場所にあるこのトンネル。さて、冒険心を駆り立てるこの廃線トンネルには、どんなストーリーが隠されているのでしょうか?

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鉱山ブームの名残を感じる旅

ティンティック廃線トンネルとは?

ユタ州のエルバータという町の西側に位置する「ティンティック廃線トンネル」は、州都であるソルトレイクシティからステージングエリア(オフロード・ドライブ出発前の準備エリア)まで車でおよそ1時間半。そこからレーザー(RZR)というオフロード専用車に乗りかえて、荒野をさらに30分ほど走らせた場所にあります。

1800年代、エルバータ地区は鉱山産業で繫栄しました。この地域では鉱石が採掘され、これを効率よく輸送するために鉄道網が整備されたのです。それがティンティック鉄道と今回の目的地「ティンティック廃線トンネル」です。

トンネルは、鉱山から採れた鉱石を鉄道で運び出す重要なルートとして使われました。険しい山地や荒野を貫くことで、輸送時間の短縮になったのです。

迷いながら進むユタ州の荒野

トンネル付近でランチをしようということになり、小腹が空いたままいざ出発!ユタ州の荒野でのドライブは、目的地だけが楽しみではなく、道中目に飛び込んでくる様々な光景もひっくるめての冒険です。

オフロード・ドライブ中によく見るのは、立ち入り禁止の私有地のサイン。下の写真はそのひとつで「CWMU」の貼り紙です。CWMUとはCooperative Wildlife Management Unit Boundaryの略語。地元の土地所有者と州政府が協力してつくった、特別なエリアのことです。

CWMUの黄色い貼り紙。フェンスの向こう側は立ち入り禁止地区。

具体的には、土地所有者が自分の土地をCWMUとして提供し、そこでの狩猟活動を管理する区域です。狩猟者は特別な許可証を取得する必要があり、その収益は保護活動や管理にも使われているとか。土地所有者、狩猟者、そして自然環境すべてが恩恵を受ける仕組みだと言われています。

まあ、表向きはそう言われていますが…。一部の土地所有者や裕福な狩猟者だけが特権を得ているという話も。人の数だけ真実があるので、疑問に思ったことは様ざまな角度からの視点も意識することが大切だと感じる筆者です。

フェンスで囲われていると好奇心が増し、ますます入りたくなるのが冒険好きの心理というもの。でもちゃんとルールは守りますよ。

ユタ州の荒野を象徴する低木・セージブラッシュのほんのりスパイシーで爽やかな香りにほっこりしながら、目的地の廃線トンネルへ向かってドンドン走ります。

黄色い花を咲かせるセージブラッシュ。乾燥地帯でもたくましく生きる姿は、まさに荒野のサバイバー!

冒頭でトンネルまでは、およそ30分と書きましたが、それはあくまでも進む道をちゃんと分かっているライダーということです。男友達と数回訪れている筆者の夫は、GPSなしで勘だけを頼りに走り続けたので、トンネルを探すのに1時間以上かかってしまいました。

同じ景色を見ながらグルグル走っても飽きないのが大自然の魅力!

スマホには目的地を入力せずに地図だけを表示のまま走行。

「ここさっきも通ったよね。GPSにトンネルの位置入力したら?」

とお腹がかなり減ってきたので、GPSの設定を助手席からさりげなく促しましたが、ここまで来たら意地でもGPSに頼りたくない夫。というか、道に迷っていることすら認めたがりません(笑)。

もしもの時は野宿すれば良いという野生児の夫にとって、道に迷うことも汚れることも、そして怪我をすることもすべてが「自然と一体化した気分」を味わえる「大人の遊び」なのです。

オフロード・ドライブでは汚れた車体こそ冒険の勲章。

トンネルを探していたはずが、何故か丘の上へ…。オフロード・ドライブでは、高台に到達する過程で運転スキルを試されることもあるので、登り切った後に広がる景色や達成感も魅力のひとつです。

たまたま見つけた高台でランチをすることに!石がゴロゴロある地面に直接座り、おにぎりを食べるのが最高です。5分もしないうちに、お尻は痛くなりますが。シーンとする荒野の中、おにぎりとポテトチップスを頬張っていると、横でカサカサと音が。

目と耳を茂みに集中させて、音の出どころを探しますが虫や小動物は見当たりません。夫が下した結論は、ビートル(甲虫)たちが木の幹を食べている音。よく見ると、私たちが座っていたすぐ横にあった木だけが、色が変わって枯れかかっていました。大量のビートルたちがウジャウジャと出てこなくて良かったです。

幹の中でビートルたちが食事を楽しんでいるだろうと思われる木。

お腹もいっぱいになったところで、トンネルの位置を高台から確かめ再出発。ここでもGPSの設定をしない夫です(笑)。

自然と人工物が融合した景色

リトル・モアブから、およそ1時間かけて「ティンティック廃線トンネル」にたどり着きました!トンネルの入り口が見えてきたときの夫の言葉は「ほら、迷わないって言っただろ」…。

エルバータの荒涼とした風景の中に現れた、歴史の息吹を感じるティンティック廃線トンネルの入り口。

ティンティックトンネルは、自然と人口が融合したユニークな遺構として注目されています。鉱山資源が枯渇し廃止へと追い込まれたティンティック鉄道。廃線になった後はトンネルも使われなくなり、自然の中に取り残される形となったのです。

まずはRZRで、トンネル内部をいっきに走りぬけます。内部にはかつての鉄道の名残が垣間見え、荒廃した美しさが魅力。

ひんやりとした空気とともに、まるで過去と現在を結ぶ通路のよう。

RZRでトンネルを出た瞬間の景色。

ひんやりとしたトンネル内を徒歩で歩く

愛用しているハイキング用トレイルマップのアプリ「オール・トレイルズ」では、ハイキングコースとしても紹介されている場所。出口付近の広い安全な場所にRZRをとめて、今度はゆっくりトンネル内を歩いて見ることにしました。ただオフロード車で訪れるライダーの数が圧倒的に多いので、お散歩感覚で歩いているとちょっと危ないかも。

トンネル内に足を踏み入れると、ひんやりとした空気とともに歴史を肌で感じます。自然光が差し込む光景も幻想的。というか、パニック障害で苦しんだ経験のある筆者にとっては、出口が見えない長いトンネルは、まだハードルが高いので入りませんが…。

トンネル内部のゴツゴツした岩肌に触れながら歴史を感じる夫。

トンネル内部の岩には、青や赤のペイントで何かを書いた跡が。

お化け屋敷は怖くて絶対に入らないのに、大自然と人工物が共存する景色にはなぜか惹かれる筆者。日本人でありながら、こうしたアメリカ西部の歴史を感じる風景に懐かしさを覚えるのは、西部劇が大好きでクリント・イーストウッドのファンだった、父の影響もあるかもしれません。

ステージングエリアへ帰る途中に見た、建物があったような跡。

眼下に見える鉄道の跡。

鉄道の発展とともに、大きな影響を受けてきたユタ州。州の主要道路から逸れてオフロードを走ると、あちこちに廃墟となったゴーストタウンや坑道を目にします。歴史を知ったうえで訪れると、目の前に広がる景色が穏やかでやさしい気持ちになります。

私が書きました!
アメリカ・ユタ州ライター
トロリオ牧

2001年渡米、ユタ州ウチナー民間大使。パンデミックをきっかけに「いつ死んでもOK!な生き方」を意識するようになり、17年間務めたアメリカ政府の仕事を2023年に辞職。現在はNHKラジオ出演や日本のWebメディア執筆など幅広く活動中。編著に電子書籍『型の中に答えはある』がある。夫婦でRVキャンプを楽しむのが最高の癒し時間。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。「海外書き人クラブアウォーズ2025」最優秀新人賞受賞

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