アメリカ・ユタ州の隠れた宝石「リトル・モアブ」。その険しい砂岩で楽しめるロッククローリングって?
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    2024.12.01

    アメリカ・ユタ州の隠れた宝石「リトル・モアブ」。その険しい砂岩で楽しめるロッククローリングって?

    アメリカ・ユタ州の隠れた宝石「リトル・モアブ」。その険しい砂岩で楽しめるロッククローリングって?
    未舗装の道や険しい自然の地形を、四輪駆動車などで冒険するアウトドア活動「オフローディング」。アメリカ・ユタ州には、そのオフローディング用のトレイルが数多くあります。

    以前ご紹介した場所は、未舗装のガタゴト道をレーザー(RZR)というポラリス社が製造している四輪駆動の乗り物で走り抜ける大冒険でしたが、今回は同じレーザーに乗って亀さんのようにゆっくりと、タイヤの着面地を確認しながら走るロッククローリングのお話です。

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    ロッククローリングとは?

    ロッククローリングとは、ジープやランドクルーザーのようなオフロード対応の頑丈な四輪駆動車で、自然の岩場やゴツゴツした地形をゆっくり走る外遊び!車を巧みに操って、岩や段差などの障害物を慎重に乗り越えることが目的なので、スピードよりもドライバーのテクニックと冷静さが求められます。

    泥や砂にまみれながらの、オフロード遊び大好き夫婦が今回行った場所は「リトル・モアブ」。アウトドアに詳しいBE-PALの読者なら「モアブ」という街の名前を聞いたことがあるのでは?アーチーズ国立公園の拠点としても知られるモアブの街へ行くには、ユタ州の州都ソルトレイク市から車で5時間以上かかります。でも、ソルトレイク市から2時間以内で行ける、もうひとつのモアブがあるのです!

    ユタ州最大の淡水湖・ユタ湖を眺めながらドライブ

    ソルトレイク市から日帰りでも十分楽しめる「リトル・モアブ」は、ユタ湖の下側にあります。

    リトル・モアブまで、雄大な景色を眺めながら走るドライブです。写真手前がセージブラッシュ(ヤマヨモギ)とその奥に見えるのがユタ湖。それらを見守るようにどっしりと構えるワサッチ山脈(ロッキー山脈の西側)が織りなす美景にほっこりします。

    ユタ州といえば、前掲のオフロードトレイルを紹介した記事でも取り上げましたが、雄大な眺めの北米最大の塩湖「グレートソルト湖(大塩湖)」を思い浮かべる人が多いと思います。

    実はユタ州には大小合わせると、およそ1000以上の湖や貯水池があると言われていて、その中でも有名な湖のひとつがこのユタ湖。州内で最大の淡水湖なんですよ!

    さらに車を走らせると、乾燥地域に広がる青々と茂った芝生のような光景が目に入ります。これはセンターピボット灌漑システムと呼ばれる巨大スプリンクラーを使って、限られた水資源を効率的に利用する農業です。

    家から一歩外に出ると、必ずと言って良いほどキャンピングカーとすれ違うのも、アウトドア活動の盛んなユタ州ならではです。

    アーチーズ国立公園の拠点として有名なモアブとは違い、観光ブックにも載ってない手つかずの場所がこの「リトル・モアブ」。オフロード好きにとってはまさに隠れた宝石です。モアブと比べ、ロッククローリングできる場所の規模が小さいということ以外は、モアブと殆ど変わりません。

    ちなみに日本にも同じような遊びがあるのかな?とふと疑問に思ってググってみたら、奈良県の津田レーシングが「W.E.ROCK」と呼ばれる本場アメリカのロッククローリングレースの日本版を開催していました!筆者の住むユタ州でも4月に開催されたとか!来年はぜひ行って観ようと早速夫婦で計画中。

    舗装道路から横道に入った途端、ガタゴト道に突入です。ここまで走ってくるともう、車体の前方とフロントガラスは、無数の黄色い虫の死骸でいっぱいに!

    話はそれますが…ヘルメットをかぶらずに高速道路を走るバイカーたちをよく目撃します。彼らは、この黄色い虫たちを顔全体でキャッチしているのかと思うと…絶対に口と鼻の穴の中にも、すごい勢いで虫が飛び込んではグシャッっと破裂しているのは確実です。だって、窓の閉まった車内でも、虫の破裂音が聞こえるのですから…ワイパーで落とそうとすれば、逆にもっとグシャッとなるので、アメリカで長距離のドライブ旅行をされるみなさん!黄色い虫にはワイパーはNGですよ(笑)

    オフロードを走ってると目に入るのが不法投棄です。私たち夫婦の勝手な予想ですが、これは盗難車から必要な(お金になる)部品だけを取り外した後に、持ち主が分からないように車台番号を外して荒野に放置したと思われる光景です。

    自由に選べるステージングエリア

    この日選んだステージングエリアはここ。ステージングエリアとは、アウトドア活動で出発の準備を行うための集合・待機場所のことです。日本でいうと駐車場みたいな感じです。前回の記事「ザ・ビー」のように、指定された場所があるわけではなく、基本どこに停めてもOK!もちろん他のライダーやキャンパーたちの迷惑にならないように。トレーラーからオフロード車のレーザーを降ろして、リトル・モアブへ出発です!

    あたり一帯がBLMと呼ばれる「アメリカ合衆国土地管理局」の管理する公共土地なので、基本どこに停めてもOK!

    あちこちで、RVトレーラーやキャンピングカーでキャンプをしているグループが居ました。RVパークと違って土地が広大なので、窮屈さを全く感じないのがドライキャンプ(水道や電気などの設備がない場所で行うキャンプ)の魅力のひとつ。夜はまるで無数の星が空から降ってくるような感覚になりますよ!

    家族や親せき同士だろうと思われるグループがキャンプをしていました。このゴツゴツした斜面を、小学校低学年くらいの真っ黒に日焼けした元気な子供たちが、お尻をつきながらワイルドに滑って遊んでいる光景にこちらまで笑顔になります。

    ロッククローリングで大切なスポッターとは?

    リトル・モアブもモアブと同じように岩場や砂漠の地形が特徴です。未舗装道路を砂ぼこりを立ち上げて走る爽快感とは違い、険しい岩場を亀さんのようにゆっくり走るので、運転技術は上級者向けです!もちろんプロが行う競技大会のような技術は必要ありませんが…。

    そしてここでの筆者の役目はスポッター。ちなみにスポッターとは、難しい地形を走行するときに、運転手の死角をカバーして、障害物や岩場を乗り越えるときの指示をだす人のこと。大役ですよね!正直なところ、筆者は「なんちゃってスポッター」なのです…。

    写真では岩のゴツゴツ感や、傾斜具合が伝わらないのが残念です。

    大自然で遊ぶのが大好きと周りへ言うと、オフロード車も乗りこなしてスポッターもカッコよくこなす女性ライダーのような印象を与えてしまうみたいで…でも実は筆者自身が上級者ではないのです。というか、運転はほとんどしません(笑)。

    我が家の息子のように適格な指示をだすことができないので、夫は息子や友人たちとワイルドなキャンプに行くとき以外は、極端に険しい岩場は選ばないようにしています。

    トレイル入口でライダーたちがロッククローリングの順番を待っていることもあります。

    巧みにタイヤの位置を確認しながら、砂岩を亀さんのように慎重に走ります。スローモーションの障害物競走を終えたような満足感が味わえるので、くせになりますよ!

    坂の頂上で最高の瞬間を動画に収めようと、ゴープロとスマホを持って待機する筆者ですが、レーザーから降りて徒歩で登ったので、この時点でゼーゼーと息が切れていました。はい、完全に運動不足です…。

    坂の傾斜と、横に倒れそうで倒れないレーザーの傾き具合が、写真では伝わらないのがまた残念です。

    この雄大なパノラマ景色をBE-PALの読者さんへお届けしたくて、興奮気味で砂岩を早歩きしたら、また息切れしてしまいました(笑)。

    リトル・モアブ周辺には電波塔がたくさん立っているのですが、この形がエイリアンにしか見えないのは私だけ!?余談ですがユタ州にはエリア52が存在するとか…。

    この地域は低木が多く影が少ないのが特徴。真夏は暑すぎるので訪れるのは春と秋がおすすめです!

    ユタ州の手つかずの雄大な大自然を目の前にすると、良い意味で自分が蟻んこのように思えて、モヤモヤがあってもいっきに吹っ飛ぶ単純な筆者です。「挑戦したいことは何でもドンっといけー!」みたいな感覚になりますよ。大自然の力ってスゴイですね!

    大自然との一体感にひたりながら、こうしてしばらく無言で座る夫婦の時間もオフロード遊びの楽しみのひとつです。

    ユタ州の「隠れた宝石」のままであって欲しいと願いつつも、ここにも少しずつ、変化の波が押し寄せているのを感じる旅でした。

    私が書きました!
    アメリカ・ユタ州ライター
    トロリオ牧

    2001年渡米、沖縄県出身。ユタ州ウチナー民間大使。アメリカでスーパーの棚入れ係やウェイトレス、保育士などの様々な職種を経験した後、アメリカ国防総省空軍省の仕事に就く。政府職員として17年間務めた後、パンデミックをきっかけに「いつ死んでも後悔しない人生」を強く意識するようになり2023年辞職。夫婦でRVキャンプやオフローディング、ロードトリップを楽しむのが最高の癒しじかん。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員

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