全米指折りの高級住宅地を繋ぐ渡し船「バルボア島フェリー」は100年以上の歴史に幕を閉じるか | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2024.05.02

    全米指折りの高級住宅地を繋ぐ渡し船「バルボア島フェリー」は100年以上の歴史に幕を閉じるか

    TVシリーズ『The O.C.』(ジ・オーシー)の舞台になったカリフォルニア州ニューポート・ビーチ市は超がつく高級住宅地です。

    古くはジョン・ウェインが長くここに住み、この西部劇俳優の名を冠した空港(ジョン・ウェイン空港、別名称オレンジ郡サンタアナ空港)も近くにあります。

    かつては故コービー・ブライアント、タイガー・ウッズといったスポーツ史に名を刻む超大物がニューポート・ビーチに居を構えていましたし、現在は大谷翔平選手が住んでいるというもっぱらの噂です。

    そのニューポート・ビーチ市内でも最も海に近い位置にあるバルボア半島とバルボア島を繋ぐ「渡し船」がバルボア島フェリー(The Balboa Island Ferry)です。

    「バルボア島フェリーを救え」市民運動は実を結ぶのか

    豪華ヨットとすれ違い、高級住宅街を眺める5分間の船旅

    船からの眺め。 対岸がバルボア島。

    バルボア島フェリーは1919年に操業を開始し、現在でもほぼ毎日、5分ごとに運行しています。 

    乗用車は最大3台まで。たくさんの歩行者と自転車を乗せて、行きかうヨットや高級邸宅を眺めながら、およそ300mの距離を5分くらいで対岸に渡ります。

    バルボア島には小さな遊園地があり、個性的なレストランやギフトショップなどが軒を連ねています。いかにも南カリフォルニアらしい風景と雰囲気を満喫しながら、散策やサイクリング、あるいはショッピングを楽しむ人たちでいつも賑わっています。

    そのなかで、昔ながらのゆっくりとしたペースで人と車を運ぶ渡し船には根強い人気があります。

    船の内部。

    このバルボア島フェリーが存続の危機に立たされています。ディーゼルで動くすべての船舶をゼロ・エミッションにすることが州当局から求められているからです。

    バルボア島には橋がかかっています。この渡し船がなくなったとしても、たぶん現実的な不便はさほどないでしょう。地球規模の環境対策が急務であることは言うまでもありません。

    それでも、100年以上の長い間人々に親しまれ、ニューポート・ビーチを象徴してきた歴史的遺産を惜しむ声は多く、「バルボア島フェリーを救え」の署名を求める運動20235月から行われています。

    3万人以上の署名を集めた運動の成果もあり、フェリー運営会社は所有する3艘の船をゼロ・エミッションにするための費用助成金790万ドル(約121700万円)を州当局から受け取ることが決定しています。それだけは足りませんが、大きな一歩だということです。

    珍しく積載リミットの車3台を乗せた船。

    2024年4月現在、バルボア島フェリーの船賃は歩行者が大人$1.75、子ども$.50、自転車$2.00、乗用車$3.00です。

    私が高校生のときは$.25で、コインだけを握りしめて乗船していたような記憶があるのですが、そんな大昔(懐かしの1980年代!)と比較しても仕方ありません。 

    1ドル約150円という昨今の歴史的円高状況を鑑みても、数100円程度で楽しめるわけですから、リーズナブルで貴重な観光資源と言えないでしょうか。

    乗船場周辺のヨットハーバーに建つ、ほぼ等身大(?)の自由の女神。

    乗船場で待っていると、対岸を出発した船がゆっくりと近づいてきます。 船が接岸すると、乗っていた人と車が降りるのを待ち、空っぽになった船に乗り込みます。船が動き始めてから、乗務員が船賃を集めにやって来ます。 クレジットカードは不可、支払いは現金の手渡しのみ。これも現在のアメリカでは珍しい光景のひとつです。

    魅力的ではあっても、どう見ても時代遅れの渡し船。 便利でも経済的でもありません。 

    この何もかもが急激に変貌していく世界にいつまで存続するかは誰にも分かりません。今のうちに訪れてみるのは如何でしょう。散歩やサイクリングと組み合わせると、ゆっくりとした休日を過ごすことができると思います。

    バルボア島に渡る橋からの眺め。

    バルボア島フェリー公式ウェブサイト:https://www.balboaislandferry.com/ 

    私が書きました!
    米国在住ライター(海外書き人クラブ)
    角谷剛
    日本生まれ米国在住。米国で高校、日本で大学を卒業し、日米両国でIT系会社員生活を25年過ごしたのちに、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。日本のメディア多数で執筆。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。

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