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1座目に選んだ丹沢山…記憶違いが発覚!
神奈川県にある丹沢山からぼくらの日本一周百名山制覇の旅が始まった! 選んだルートは大倉から塔ノ岳を経由して丹沢山を登るルート。丹沢山山頂にあるみやま山荘に宿泊する1泊2日の山行だ。
丹沢山には思い出があって、父と兄と3人で行ったことがある。もう20年以上前、ぼくが小学校1年生の頃のことだ。その時は山頂あたりにテント泊して、強風が続いたから山小屋に避難した。そこで食べたレトルトのミートソースに感動したのは今でも覚えてる。
出発前に兄に「丹沢山に行ったことあるよね?」と聞いたら、「それ、塔ノ岳じゃない?」って言われた。……父が残したアルバムを開くと塔ノ岳の写真があった。テント泊したのも山小屋に避難したのも塔ノ岳だった。20年前の記憶なんて、こんなもんだ。まぁ、塔ノ岳通るし、このまま丹沢山を1座目にしよう。そう決めて登山口まで車を走らせた。
夜出発し、登山口で朝まで待機
登山口には夜着くようにした。朝でも行けるんだけど、それだと4時起き。絶対寝坊する。寝坊すれば登山が遅くなってイライラする。それを妻のびあんかにぶつけて怒られる。いつもの悪循環だ。だから夜出発にしたのだ。
3時くらいに着くと、駐車場はぼくらだけ。街灯もが少なくて薄気味悪い。怖いけど寝る前にトイレに行った。荷物の準備をしてその日は寝た。
登山スタートも、びあんかの調子上がらず
朝7時くらいに起きると駐車場は8割くらい埋まっていた。ぼくは山に登る朝は必ずご飯を食べるが、びあんかは「調子があまり良くない」と言って食べなかった。無理して食べさせるのも違う気がしたのでそのまま出発することに。
いよいよ登山スタート。びあんかがストックを靴の上に置いて歩いてる。足を動かすとストックも自動的に動く。それが楽しいらしく、「手が勝手に動くのー」といつも変なことをしている。

15分くらい歩いたけど、びあんかの調子がいまいちだった。
「登りきれるか心配」そう言いながらいつもより遅いペースで歩いていた。
はしゃいでたびあんかはもういない。「ちょっと一回休憩するー」っと言って小屋の前のウッドデッキで横になってしまった。

そのまま5分ほど休憩すると、突然起き上がり、「ご飯食べる!」っと言ってご飯を食べ出した。すると、すぐに「元気でたー!」――そう言って歩き出した。そんなに早く身体に吸収されるものなのか。

大倉から塔ノ岳に登る途中、「バカ尾根」と呼ばれる尾根がある。長く単調な登りと階段が続くのでこう呼ばれている。びあんかにとっては初めてのバカ尾根。話には聞いていたけど長くて辛い。水分補給をこまめに摂りながらひたすら登る。

バカ尾根を登り切り、登山開始から4時間半ほどで塔ノ岳に登頂!
バカ尾根辛かった。

記念すべき1座目「丹沢山」制覇
塔ノ岳から丹沢山の道は高低差があまりなくここまで来れば一段落。でもまだ1時間半ほど歩かなければならない。腰を下ろさずそのまま丹沢山を目指して進んだ。
塔ノ岳を過ぎると一気に人が減った。風で木々が揺れる音を聞き、目の前を雲が通り過ぎる。曇りで空はどんよりしているが、ぼくの気持ちは晴れていた。ついに百名山の旅が始まったんだ。100座の山はそれぞれどんな表情を見せてくれるのか楽しみだ。そう思いながら歩いたこの稜線はとても気持ちが良かった。

良い気分で進んだ1時間半の稜線歩きはあっという間だった。登山口から6時間、ついに1座目の山頂、丹沢山に着いた。


山小屋で過ごす時間
早速チェックインを済ませるために小屋に入った。この山小屋は電話で予約する。その際に個室を希望できるが、ぼくが電話した時は「宿泊者多数のため個室は案内できません」と言われた。雑魚寝のつもりだったけど、「今回泊まる場所は個室です」との案内。えっ! これは嬉しい誤算だ。ぼくは心の中で静かにガッツポーズをした。横を見ると喜び全開な妻の笑顔が見えた。


小屋の中を5分ほど散策して部屋に戻るとびあんかは寝ていた。高低差もあったしここまで6時間も歩いているので疲れたのだろう。

1時間くらい経った時にムクっと起きた。夕食まで時間あるので1階の談話室に行ってみることに。そこには本がたくさんあってびあんかはその中から「えー! 何これ面白そう!」と言ってこの本を取り出した。

「ねーねー知ってる? ヒルは上から落ちて来ないんだって! 全部下から這い上がってくるんだって!」とびあんかが目を輝かせながら言ってきた。
ぼくは、首にヒルがついていたみたいな話しを聞いたことがある。そのせいで首にいるヒルは上から落ちてきた個体だと思い込んでいた。でも、それは下から諦めないで頑張って登った個体らしい。服の上を登って血を吸えないで膝くらいで諦める個体が多いらしく、びあんかは「ヒルって可愛いね!」っと楽しそうに話していた。

楽しい読書の時間を過ごしたら夕食の時間だ。夕日を見に行こうとしたけど外は雲の中だったので夕日は諦めた。この日の夕食は鴨肉。ご飯とお味噌汁おかわり自由はとてもありがたい。お肉は塩味がしっかりしていて見た目以上にご飯がよく進みおかわりをした。

夕食を食べた後、ぼくは写真の整理をし、びあんかはヒルの本の続きを読んだりゆっくり過ごした。
「明日の朝食は5時ね」と伝えたときの、びあんかの表情がこちら。

びっくりした顔をしていたけど、しばらくすると「まぁ早起きは得意だしっ!」と朝食を楽しみにしていた。テント泊なら好きな時間にご飯は食べられるけど、山小屋は違う。集団行動をしているみたいで野球部だったぼくはなんだか少し懐かしさを感じた。
明日の朝も曇りの予報。今日はお互い疲れていたため夜8時に寝ることにした。
2日目-妻の感性によりさまざまな気づきがあった
朝は4時40分に起きた。個室だったこともあり快眠できた。朝食は炊き込みご飯、味が濃いめでとても美味しかった。朝から炊き立てのご飯を食べられるのは最高だ。今日はもう大倉に降りるだけなので気持ちの余裕もあり、またおかわりをした。

支度をして6時15分に小屋を出た。外は変わらず雲の中。「昨日見えなかったものが見えるー!」っと少し離れたところからびあんかの声が聞こえた。

蜘蛛の巣に水蒸気の水滴がつき、白く目立っていた。登山道の至る所に蜘蛛の巣がある。昨日は気がつきもしなかった。
また歩くとびあんかの楽しそうな声が聞こえてきた。「雨が降ってないのに雨の音がする! 濡れないのに雨が降ってるみたい!」
耳を澄ますと確かに雨のような音が聞こえる。枝や葉っぱについた水滴が落ちているのだ。ぼくは登山は快晴一択だと思っていたけど、雲の中の登山も悪くない。森林限界ではない低山ならではの楽しみ方だ。画家のびあんかの感性はぼくとは違う。ぼくが気づかないものが見えていてとても面白い。


また1時間ほど歩き無事下山!

「初めての山小屋どうだった?」とびあんかに聞くと、「ヒル会いたかった! お布団最高!!」とのこと。
ぼくらの記念すべき1座目が終わった。まずは怪我なく終われたのが一番。いや、喧嘩しないで登れたのが一番かな?





