今回は、東京都北区でかつての石神井川の様子を探る「音無川GREEN WAY」です。
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38th ルート:音無川GREEN WAY
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スタート早々、前途多難?石神井川の遡上トレイル【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY FILE.37】 | アウトドア・外遊び 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
前回からスタートした石神井川の遡上散策。川の終点である隅田川との合流点から歩き始め、JR王子駅の下に石神井川が潜っていることを確認して、前回は歩き終えました。
しかも、地下化に伴う川の名残なのか不明ですが、石神井川の支流のようなものをJR王子駅のすぐ近くで発見しました。でも、その川の跡らしきものの正体を解明できないままでした。

今回は、その宿題を解きつつ石神井川をさらに遡上する「音無川GREEN WAY」です。
今回のターミナス(=トレイルの起点や終点となるアクセスポイント)は、JR王子駅北口です。
北口を出てすぐのところに王子駅親水公園口前の橋という長い名前の橋がかかっていて、その下を細い川が流れています。その細い川は橋の下あたりで地下に潜っていそうですが、どこかとつながっているような雰囲気もあります。

前回の宿題を解く前に新たな疑問が発生してしまいましたが、すぐ近くには親水公園があります。むやみに歩いても謎が増えるばかりなので、少し落ち着いて調べてみました。
音無親水公園
まず、かつての石神井川は北区付近では「音無川」と呼ばれていたそうです。古くから春は桜、夏は水浴び、秋は紅葉と、1年を通して行楽スポットとして地域の方に親しまれてきたとか。
そして、音無川(石神井川)は、前回も説明したように王子駅近辺で蛇行していて水害も多かったため、地下化などの河川改修工事が行われます。その工事によって、蛇行部分はいわゆる三日月湖のように残りました。その蛇行部分の名残の一部を整備したのが、この音無親水公園です。

Googleマップを見ると、音無川(石神井川)が王子駅を回り込むように蛇行していたことが分かります。そして、Googleマップでは分かりませんが、現在の音無川は王子駅と飛鳥山公園の地下を通って、ほぼ真っ直ぐに流れているのです。
ということで、前回の宿題である支流のようなものは、まさに川の名残だったのです。疑問だ、謎だ、宿題だと勝手に盛り上がってしまいましたが、初めからGoogleマップを見れば良かったのです。
でも、言い訳するわけではないですが、歩きながら見つけた不思議なモノやコトについて、あれこれ仮説や妄想をふくらませることが好きなのです。わかってみると、答えなんて意外と味気ないものだったりしますし。
ところで、音無親水公園は「かつての渓流を取り戻したい」という考えのもとで整備されています。僕が訪れた日は、多くの人でにぎわっていました。かつての音無川のように、夏にはお子さんたちが水遊びを楽しんだりするのでしょうか。単に水害対策で工事をして終了ではなく、川との関係性や距離感などにも配慮しながら整備が行われているのは良いですね。
…などと、通りすがりの人間が偉そうなことを思いつつ、公園を出て音無橋を渡ります。音無親水公園から離れると、川がコンクリートの高い壁で囲われるようになりました。川との距離が遠ざかった感覚になり、がっかりした気分です。それでも、石神井川を上流へ向けて進んでいきます。
音無橋からほんの少し歩いた場所に、一面に芝生が広がる公園のようなところがありました。ここは、旧醸造試験所第一工場があった場所だそうです。
旧酒造試験所第一工場
国による醸造技術の研究・発展を目指し、1904年(明治37年)に大蔵省醸造試験所の清酒醸造試験工場として設立。通称は「赤煉瓦酒造工場」で、日本の酒造りの近代化と酒類産業の発展に貢献したことから、国の重要文化財(建造物)に指定されています。芝生の広場は出入り自由な公園ですが、建物内は団体のみ有料で見学可能のようです。
・赤煉瓦酒造工場(日本醸造協会サイト内):https://www.jozo.or.jp/redbrick/

再び、石神井川沿いを歩いていきます。少し歩くと、石神井川沿いに歩道が見えてきました。歩道は緑が多く、次第に再び石神井川との距離が近くなりました。良い感じです。
音無さくら緑地
かつて大きく蛇行していた石神井川の旧川を利用・整備した緑地。東京23区内では珍しい、全長15mほどの本格的な吊り橋があります。
また、音無さくら緑地には「旧石神井川自然露頭」もあります。これも石神井川が大きく蛇行していたころの名残で、自然に形成された河岸の断面のことです。その古い地層からは、貝殻の化石などが発掘されたそうです。
音無さくら緑地は、よくある親水公園といった趣です。失礼ながら、特に取り立てることのない緑地かとも思ったのですが、貴重な地層が残されていることに驚きました。
吊り橋も、遊具のようなものではなく、もともとは昭和20年代に峡谷状だった川に架けられたものだそうです。その吊り橋は台風の被害にあい、現在のものは平成になってかけ直されたとか。いろいろな歴史が折り重なっての、現在の音無さくら緑地だったのですね。よくある親水公園かと思った自分を反省します。

音無さくら緑地の少し先には、別の緑地がありました。音無もみじ緑地です。
音無もみじ緑地
かつてここは洞窟もある渓谷で、江戸時代には景勝地として広く知られていたとか。現在はすり鉢状の公園として整備され、水辺近くまで降りることができます。川魚や野鳥、昆虫などの観測スポットとしても人気らしいです。

なお、先述した音無親水公園からここまでが、距離にして2km程度です。ちょうどこのあたりが、かつて石神井川が音無川と呼ばれたエリアなのかもしれません。
引き続き、川沿いの歩道を進んでいきます。音無もみじ緑地から滝野川橋、観音橋と続きます。観音橋の少し先に大きな観音様がありました。
谷津大観音
寿徳寺(じゅとくじ)へと上がる坂の入口に鎮座しているのは、1996年に建立された聖観音菩薩像(しょうかんぜおんぼさつぞう)で、通称は「谷津大観音」です。台座を含めた高さが8.5m、重さは5tもあるとのこと。なお、寿徳寺はあの新選組の近藤勇の菩提寺です。

谷津大観音の「谷津」は、石神井川沿いの谷間にある一帯を指す旧称だそうです。音無さくら緑地の吊り橋もそうですが、やはりこのあたりはかつて峡谷のような景観だったのかもしれません。
谷津大観音から10分ほど歩くと、都営三田線の新板橋駅があります。今回は、ここでフィニッシュとします。
今回の「音無川GREEN WAY」で歩いたのは約2.4kmで、距離は大したことありません。また、ぼんやり歩くだけなら、住宅街をひっそり流れる川沿いの心地よい道のりだな〜ぐらいの感想で終わったかもしれません。
別にそれでも構わないのですが、少しだけ注意深く歩いてみると、かつての川の姿や周辺の様子、歴史といったものを知ることができました。すると、僕のような通りすがりの人間であっても、その川や近隣の街に親しみを感じるようになるから不思議です。
石神井川の遡上トレイルは、まだ始まったばかりです。でも、すでにかなり面白さを感じています。先々が楽しみで仕方ありません。どうか、川岸がコンクリートでガチガチに固められていませんように!
■今回歩いたルートのデータ
|距離約2.4km
|累積標高差約10m
今回のコースを歩いた様子は動画でもご覧いただけます。
●音無川GREEN WAY




