スタート早々、前途多難?石神井川の遡上トレイル【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY FILE.37】 | アウトドア・外遊び 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2026.05.25

スタート早々、前途多難?石神井川の遡上トレイル【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.37】

スタート早々、前途多難?石神井川の遡上トレイル【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.37】
プロハイカーの斉藤正史さんが、独自の視点で東京23区内の緑道を「GREEN WAY」として捉え直し、実際に歩いた足跡を紹介します。身近なGREEN WAYでも四季折々の見どころがあり、街の意外な歴史にふれることができる、かもしれません。

今回は、東京都北区にある隅田川との合流点から石神井川をさかのぼる「石神井川終点GREEN WAY」です。
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37th ルート:石神井川終点GREEN WAY

●前回はこちら

川の跡の緑道を散歩して気づいた池袋の多彩な表情【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.36】

この「東京GREEN WAY」という連載をスタートしたのが2025年6月。それから約1年、取材や下調べで都内各所を歩いていて、あらためて「やっぱり東京には緑が多いな」と実感しています。

緑にふれることができる場所は、この連載で紹介しているような緑道や公園だけではありません。意識して歩いてみると、街路樹のような「緑の連なり」をあちこちで目にすることができます。

例えば、川沿いの道もそうです。桜の名所である目黒川や隅田川、荒川なども、川沿いに並木が延びています。特に新緑の季節などは、緑の連なりである並木に沿って心地よく歩くことができます。

両岸に桜の木が連なる目黒川。

そんなことをつらつら考えていて、思い出したのが石神井川です。以前、BE-PAL.netで行っていた都内の低い山を紹介する連載「TOKYO山頂ガイド」の取材で、何度か石神井川周辺に足を運んでいます。確か、川沿いに桜並木があったし、近隣には公園も多くありました。

さらにいうと、これは僕の勝手なイメージですが、石神井川はそれほど長大な河川には思えません。そうであるなら、源流から河口や終点まで歩くのも面白いかもしれません。河口から源流まででもOKですが。

僕の本業はロングトレイルですが、アメリカでは川に沿って整備されたトレイルのルートも少なくありません。また、ロングトレイルにはセクションハイクという楽しみ方もあります。

全行程を一気に歩くことをスルーハイクと呼ぶのに対し、長距離のトレイルを分割して歩くことをセクションハイクといいます。仮に石神井川の長さが数10kmどころか数100kmに及んだとしても、余裕のあるときにセクションハイクをして全流域を断続的に踏破することは可能なのです。

前置きが長くなりましたが、イメージ先行のぼんやりとした思いつきながら、石神井川沿いを歩いてみることにしました。今回は、題して「石神井川終点GREEN WAY」です。

今回のターミナス(=トレイルの起点や終点となるアクセスポイント)は、JR王子駅南口です。南口から外に出ると、すぐ目の前に新幹線の高架橋が見えます。

王子駅南口ターミナス。

僕は山形に暮らしているのですが、新幹線で上京する際は王子駅付近で飛鳥山公園の緑が目に留まります。すると、目的地の上野駅まで間もなくという合図なので、降車する準備をはじめるのです。

また、先述した「TOKYO山頂ガイド」でも度々取材に来ているので、勝手に王子をなじみの街のように感じています。

超メジャーな北区の飛鳥山は一度の登頂では終われない!【プロハイカー斉藤正史のTOKYO山頂ガイド File.107】

この王子駅のある北区を散策していると、たびたびアレを見かけます。東京都内唯一の路面電車である都電荒川線です。

都電荒川線

かつて東京には40路線もの路面電車が運行していましたが、次々と廃止され、唯一残されたのが荒川線です。全長12.2kmで、三ノ輪から早稲田まで30の停留場があるとか。2017年には「東京さくらトラム」という愛称も決定しています。

…などと調べて書きましたが、実は一度も乗車したことがありません。僕はいつも歩いていて、路上から荒川線を眺めてばかりです。路面電車の車窓からどんな景色が望めるのか気になるので、近いうちに乗ってみようと思います。

都電荒川線。

さて、王子駅南口から、JRの線路と並んで伸びる都電荒川線沿いにしばらく歩いていきます。JRの線路と別れる辺りから、都電荒川線の線路脇には花壇や緑が増えてきます。歩くにはもってこいの良い感じの道のりです。いや、歩いてばかりではなく、そのうち必ず都電荒川線にも乗車します…。

都電荒川線の栄町停留場。なぜ「駅」ではなく「停留場」なのでしょうか。

栄町停留場が見えたら、いったん都電荒川線と別れます。次第に昔ながらの商店街のような細い道に変わっていくのですが、その先に何とも味わいのある雰囲気のお店が見えてきました。

青木屋

1955年ごろ創業という駄菓子屋さんです。僕が子どものころに足繁く通った駄菓子屋の姿が令和の今も現役で残っていることに驚きました。ネット上にもあまり詳しい情報はありませんし、僕が店の前を通ったときは営業していませんでしたが、閉店はしていないようです。必ず再訪しなければ。

渋いたたずまいの青木屋。

青木屋から少し歩くと大きな道があり、渡った先には教科書でおなじみの東京書籍がありました。敷地内には立派な神社もありましたが、立ち入っていいのか不明なので遠慮しました(後から調べたら参拝できるようです)。

東京書籍の横に細い路地があったので、誘われるように歩を進めました。路地の先には北区立堀船中学校があり、北区立堀船第二公園へと続いていきます。

縁もゆかりも土地鑑もない住宅街を街路樹づたいに散策するの、意外と楽しいです。端から見たら怪しいかもしれませんが。堀船第二公園からさらに道なりに進むと「みどりや」というタバコ店があり、その先に新堀橋があります。

冒頭でふれて以降、ここまでまったく登場しませんでしたが、新堀橋の下を石神井川が流れています。しかも、このすぐ近くで石神井川は隅田川に注ぎます。つまり、石神井川の終点といえる場所なのです。

せっかくなら石神井川と隅田川の合流点まで行きたかったのですが、道が見当たりません。合流点は、新堀橋の上から眺めるしかなさそうです。

写真奥の突き当りが墨田川。その手前が石神井川の終わりです。

さて、ここまではイントロというかプロローグというか準備運動のようなもの。石神井川の終わりが僕のGREEN WAYの始まりであり、いよいよ本番です。この終点から源流に向け、石神井川を遡上していきます。

そう意気込んだのも、つかの間。緑におおわれた川沿いに延びる道を気持ち良く歩くイメージを勝手にふくらませていたのですが、新堀橋の近くには工事中の場所がありました。残念ながら川沿いを歩くことはできない様子で、早々に迂回して、仕方なく住宅街を進んでいきます。すると、立派なお寺が見えてきました。

西福寺

平安時代末から鎌倉時代はじめにかけ、この地域の豪族で鎌倉幕府の御家人であった豊島清光が娘を弔うために創建したという西福寺。立派な龍の彫刻がほどこされた鮮やかな山門が出迎えてくれます。

豊島氏は石神井川流域で長きに渡って権勢をふるった有力御家人です。期せずして、石神井川の歴史に関係した人物ゆかりのお寺を訪ねることができました。

西福寺。
山門の龍の彫刻。

西福寺からは北区立柳田小学校を回り込むように進むと、石神井川沿いに整備されたあすか緑地に出ます。残念ながらあすか緑地は工事中でしたが、川がよく見える土手があり、散歩道としても気も良さそうです。

緑地の工事場所などを避けながら、溝田橋、徒歩・自転車専用の堀船橋、鎗溝橋と、なるべく石神井川沿いを進んでいきます。川沿いを歩くことはできますが、コンクリートで護岸されているし、すぐそばを高速道路が走っているしで、何とも味気ない道のりです。

そのまま石神井川を遡上していくと、JR王子駅、そして飛鳥山公園に続くのですが、何と石神井川が地下に潜っていきます。いや、地下に潜ってはいないのかもしれませんが、石神井川の姿が見えなくなるのです。早くも僕のGREEN WAYがピンチなのでしょうか。

…などと少し大仰に記しましたが、調べたらあっさり判明しました。

飛鳥山分水路

もともと王子駅周辺で蛇行していた石神井川。そのため水害も多かったことから、川の分水路をつくって直線化が図られたそうです。分水路はJR各線と飛鳥山公園の地下を通り、再び本流に合流するように整備されました。そうしたことから、石神井川は王子駅周辺だけ地下を通っているのです。

JR王子駅から石神井川は地下へ。

やっぱり、地下に潜っていたんだ。そう思って石神井川が地下に姿を消す場所を眺めていたのですが、ふと横を見るとまったく水の流れていない支流の跡のようなものがありました。増水したときは、ここも川になるのでしょうか。

石神井川の跡というか支流のようなものが…。

石神井川の地下化については納得しかけたのですが、新たな疑問が…。ただ、この日は次の用事が迫っていたので、ここでいったん終了。ムズムズしますが、疑問の解明は次回に持ち越します。

■今回歩いたルートのデータ
|距離約2.7km
|累積標高差約10m

今回のコースを歩いた様子は動画でもご覧いただけます。

●石神井川終点GREEN WAY

著者画像

斉藤正史さん

プロハイカー

2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。また、BE-PAL.netにて「TOKYO山頂ガイド」を連載。

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