川の跡の緑道を散歩して気づいた池袋の多彩な表情【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY FILE.36】 | アウトドア・外遊び 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

アウトドア・外遊び

2026.04.27

川の跡の緑道を散歩して気づいた池袋の多彩な表情【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.36】

川の跡の緑道を散歩して気づいた池袋の多彩な表情【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.36】
プロハイカーの斉藤正史さんが、独自の視点で東京23区内の緑道を「GREEN WAY」として捉え直し、実際に歩いた足跡を紹介します。身近なGREEN WAYでも四季折々の見どころがあり、街の意外な歴史にふれることができる、かもしれません。

今回も前回に続き、東京都豊島区にかつて流れていた川の跡をめぐる「谷端川プラスGREEN WAY」です。
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36th ルート:谷端川プラスGREEN WAY

●前回はこちら

豊島区の住宅街に真っ直ぐ延びる川の跡をたどる緑道散策【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.35】 | アウトドア・外遊び 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

前回は、かつて豊島区、北区、板橋区、文京区にまたがって流れていた谷端川(やばたがわ)の跡に整備された緑道を歩きました。ただ、その谷端川緑道の全体のうち、4分1程度しか歩いていません。

ということで、今回はその残りを歩く「谷端川プラスGREEN WAY」です。面白そうなものが目に留まったら緑道を外れるかもしれないので、散策の余白という意味でGREEN WAYの名前に「プラス」を付しています。早速、前回のゴール地点である東京メトロ有楽町線の要町駅を出発します。

前回も触れたように、谷端川が河川としての姿を消してからて50年以上経ちます。でも、その跡地である谷端川緑道には、今も橋脚や銘板などの「河川の名残」が点在しています。要町駅から歩いて1分ほどの場所には、長崎橋(跡)がありました。

長崎橋から緑道を北に進むと、すぐに谷端川親水公園があります。北上すると、日ノ出橋跡、北荒井橋跡と続きます。さらに、東橋跡、境橋跡、上ノ橋跡、中上橋跡、御嶽橋跡、境井田橋跡、他領橋跡、熊野橋跡とあり、川越街道にたどり着きました。

御嶽橋跡近くの緑道。

ところで前回、今回と便宜的にざっくり「谷端川緑道」と呼んできました。実は、この緑道は「谷端川南緑道」と「谷端川北緑道」に別れていて、管理も主に南側を豊島区が、北側を板橋区が担っています。とはいえ、単にGREEN WAY散策を楽しむ一介のハイカーには管轄がどこかなどあまり関係ないので、ひとまとめに「谷端川緑道」と呼んでいます。

当然ですが、看板などは明確に「谷端川南緑道」となっています。

ただし、物理的にも川越街道で分断されてそのまま緑道を北上できないので、いったん迂回します。すると、川越街道の交差点のそばに異様な空間が広がっていました。

熊野町交差点レトロ空間

有名無名を問わず各種キャラクターグッズに置き物、古い看板や道具類、そして手書きの注意書きの数々…。近寄らない方が無難な怪しい雰囲気が漂っています。ただ、雑然としているようで妙に整理されている部分もあり、撮影しやすい場所にはスマホ用のスタンドまで置かれています。

気になったので調べたところ、こちらは「熊野町交差点レトロ空間」という名称で、所有者は「池袋の不動産王」ともいわれた加藤正衛さんという方だと分かりました。テレビなどでもたびたび取り上げられているそうです。ここは交通事故の多い交差点だったらしいので、やたら目立つコレクションには注意喚起などの意味合いも込められているのかもしれません。

熊野町交差点レトロ空間。

熊野町交差点レトロ空間のコレクションを見ていると時間がいくらあっても足りないので、谷端川緑道に戻ります。そう思ったのですが、すぐ隣に立派な神社がありました。

熊野町熊野神社

応永年間(1394~1428)の創建といわれる由緒ある「熊野町熊野神社」。神社そのものは趣ある佇まいですが、本殿の前に「くまくま神社」という看板が置かれていました。熊や狛犬などにちなんだオリジナルキャラクターがいて、御守りや御朱印などのグッズ(?)展開もしているようです。ファンシーにアップデートされた神社、ということなのでしょうか。

荘厳な雰囲気の熊野町熊野神社ですが…。
ファンシーなキャラクターがお出迎え。

あらためて、谷端川緑道に戻ります。川越街道から北上すると、前田上の橋跡、前田橋跡、北浦上橋跡、北浦橋跡、中丸橋跡、金井窪橋跡、西前橋跡と、再びいくつもの橋を過ぎます。

前田橋跡。

その先の豊橋跡で緑道は東に曲がり、間もなくすると東武東上線下板橋駅前の自転車置き場に着きます。その先もJR板橋駅に向かって谷端川跡の暗渠は続くようですが、今回はいったん離れて別の方向に進みます。

下板橋駅前の近くまで来ると、緑道なのか一般的な歩道なのか区別がつかなくなりました。それでも街路樹が続く通りを進んでいくと、下板橋駅の先に「池袋本町電車の見える公園」がありました。その名の通り、すぐそばを東武東上線が通っています。

ストレートな名前の電車の見える公園。

さらに道なりに歩き、JR埼京線の線路も超えて進んでいくと、上池袋図書館と上池袋さくら公園があります。

残念ながら上池袋図書館は工事中で、2026年5月末まで休館しています。そのため、工事柵などで囲われていて、目当てのものを目にすることができませんでした。実は、上池袋図書館のすぐ近くに宮沢賢治に関するフクロウの石碑があるのです。

工事中だった上池袋図書館。

「農民芸術概論綱要」碑

池袋周辺にはフクロウの石像や壁画などが点在しています。「いけふくろう」という語呂合わせだけでなく、豊島区の形が羽を広げたフクロウの姿に似ていることなども関係しているそうです。

一方、宮沢賢治の出身地である宮城県花巻市の市の鳥が「ふくろう」です。また、宮沢賢治の作品にはたびたびフクロウが登場します。そうした縁から豊島区に寄贈されたのが、上池袋図書館のすぐそばにあるフクロウの石像なのです。

その台座には宮沢賢治の「農民芸術概論綱要」で有名な「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という一文が記されているそうです。賢治の石像を目にしたかったのですが、叶いませんでした。残念。

上池袋さくら公園を出てしばらく行くと、緑道のような道がありました。そのまま歩いていくと、豊島区立池袋スポーツセンターと山手線・埼京線の線路に挟まれた、遊歩道が現れました。

そのまま進んでいくと山手線や湘南新宿ラインの線路にかかる跨線橋があります。行き交う電車を眺めつつ跨線橋を渡ると、細長い池袋駅前公園に入りました。

公園に隣接して、池袋水天宮と池袋四面塔稲荷大明神という2つの神社もありました。池袋水天宮は昭和初期から、池袋四面塔稲荷大明神は江戸時代から当地に鎮座しているそうです。多くの人でにぎわう池袋駅のすぐ近くに、こうした神社あるなんて知りませんでした。

池袋水天宮。

池袋駅前公園から歩を進めていくと、池袋駅東口に到着しました。目にすることができなかった宮沢賢治ゆかりのフクロウの石碑の代わりというわけではありませんでしたが、待ち合わせ場所として有名な「いけふくろう」の石像まで足を運び、今回の「谷端川プラスGREEN WAY」を終了とします。

池袋の超有名スポット「いけふくろう」の石像。

東京メトロの要町駅から池袋駅まで歩いた今回。有楽町線なら一駅分ですし、直線距離で1kmないのですたすた歩けば30分もかかりません。でも、かつて流れていた川の跡をたどりながら遠回りしたので、5km以上も歩くことになりました。その結果、一風変わったスポットにめぐり合ったりして、とても楽しい散策になりました。

池袋のような大きな街の場合、何度も足を運んでいるので、つい何でも知っている気になってしまいます。でも、川の跡や住宅街など、いつも通っている繁華街とは違う場所から街を眺めると、知らないことがたくさんあることに気づきます。わかった気になっている街でも、新鮮な気分で歩くことができるのです。

そんな当たり前のことをあらためて思い知った「谷端川プラスGREEN WAY」でした。

■今回歩いたルートのデータ
|距離約5.3km
|累積標高差約4m

今回のコースを歩いた様子は動画でもご覧いただけます。

●谷端川プラスGREEN WAY

●東京GREEN WAY  FILE.35 to 36

斉藤正史さん

プロハイカー

2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。また、BE-PAL.netにて「TOKYO山頂ガイド」を連載。

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