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2026.05.06

レマン湖に突き刺さる巨大フォークのほとりで堪能する、スイスの歴史探訪ウォーキング

レマン湖に突き刺さる巨大フォークのほとりで堪能する、スイスの歴史探訪ウォーキング
スイス西部でよく知られ、人々に愛されている湖といえばレマン湖(le Lac Léman)。

日本の琵琶湖よりやや小さいものの、面積が582平方kmあり西ヨーロッパ最大で、湖の中心あたりにスイスとフランスの国境を有するユニークな湖でもあります。

そして湖畔にある遊歩道は、湖や周辺の景色の美しさを堪能しながら散策が楽しめる人気の場所。ぐるっと湖を一周するその長さは200 kmあり、どのルートもお勧めなのですが、今回は私がよく散策へ訪れるお気に入りの散策路を2つご紹介します。
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自然と地域文化が溶け合うレマン湖の散策道を行く

湖に巨大フォークが?世界的「喜劇王」も親しんだヴヴェイの遊歩道

レマン湖エリアは湖が湛(たた)える広大な水量のおかげで、アルプスの内陸部より気候が穏やか。気温も若干高くなることが多いです。

そのため私が暮らす地域で天気が悪くても、レマン湖に来ると太陽が輝いている、なんてこともしばしば。そんなわけで冬から春の始め頃まで、ヴヴェイ(Vevey)という町の散策道を良く歩いていました。

冬でも穏やかな天気が多いレマン湖のほとり。

ある日も我が家の周りは霧深かったのに、ヴヴェイの湖畔道へ来るとまるで違う国に来たよう。青空が広がり、湖面は太陽の光を反射してきらきらと輝いています。

冬の間はちょっぴり寂寥感が。

散策道は整備されており、幅も広くて歩きやすくなっていますが、歩く人より湖のほとりでランチをほおばる人の方が多かったです(笑)。ベンチにサンドイッチやコーヒー、ファーストフードのテイクアウトなどを並べ、ピクニックをしている若者たちも。

日向ぼっこをしながら仲良しグループでランチなんて、なんだか遠足みたいで楽しそう。

湖のほとりに腰かけて、ランチタイムを過ごしている人がたくさん。

湖畔に座っている人たちを横目に散策していると、真横をシャーッと自転車が2台通り過ぎて行きました。ヴヴェイの遊歩道には自転車用通行帯もあるので、サイクリングをしている人の姿も良く見かけます。

うっかり自転車用レーンに足を踏み入れないよう気をつけなければ。

自転車専用レーンに注意!

ヴヴェイの湖畔を歩いていると、まず目につくのは湖に突き刺さる巨大なフォーク。

ステンレススチール製で高さ8m、重さも450~500kgほどあるそうで、2014年には「世界最大のフォーク」としてギネス世界記録に認定されました。

フォークの反対側にある通りには、かつて食品・飲料会社ネスレの旧本社だった建物があります。現在は「食」をテーマとした世界初のミュージアム「アリマンタリウム(Alimentarium)」となっています。

巨大フォークのモニュメントは、ミュージアム開館10周年記念として1995年に制作されたものなのだとか。

近くで見ると迫力のフォーク。

そしてミュージアムと巨大フォークの中間には、チャップリン像が佇んでいます。

英国出身の「喜劇王」ことチャーリー・チャップリン、そしてその家族はもともと米国に在住していましたが、1952年に映画「ライムライト」のプレミアでロンドンを訪れていた時、米国から再入国許可を取り消され、戻れなくなってしまいます。

1950年代当時、共産主義やその同調者に対する厳しい取り締まりが行われており、チャップリンも共産主義を支持しているとみなされたのでした。

そのためチャップリンとその一家は、翌年1953年1月からヴヴェイ近郊のコルジエ・シュル・ヴヴェイ(Corsier-sur-Vevey)という村に居を定め、1977年12月にこの世を去るまでチャップリンはこの地で暮らしました。

チャップリン像、そしてその後ろに見える「アリマンタリウム」ミュージアム。

チャップリン像に軽く挨拶をしたら、今度はミュージアムのある建物へ。食育に特化したミュージアムなだけあり、建物前には菜園があります。

この時は3月になるかならないか、というスイスにとってはまだ冬の季節だったので、菜園は若干殺風景に見えました。春が来て、暖かくなってきたらここも緑でいっぱいになるのでしょう。楽しみです。

暖かい季節になる前の菜園はまだ休眠中。

そのまま菜園を立ち去ろうとしたら、ふと目に入ったのは土の上に転がるコールラビ。

まだコールラビの季節ではなかったのですが……。

日本の一般的なスーパーではあまり見かけない野菜ですが、スイスではおなじみのアブラナ科の根菜です。テンサイ(砂糖大根)とヤセイカンランと呼ばれる野草の交配種で、カブや大根のように水分が多く淡泊な味がします。

こちらではサラダやスープに使われたりすることが多いのですが、我が夫のように生のまま皮をむいてスライスし、おやつとして食べる人も。ただ独特の青臭い香りがするので、好き嫌いは分かれるかもしれません。

その後は再び湖畔ウォークを続け、たっぷり初春の太陽を浴びて元気をもらったのでした。

散策中、突然目の前に舞い降りて仁王立ちをしてきた若いカモメ。

何度も再訪したくなる、色鮮やかな花々が迎えるモントルーの湖畔道

そして4月になると足しげく散策へ訪れるのが、ヴヴェイから東へ数kmほどの場所にあるモントルー(Montreux)です。

春の花で華やかな雰囲気になるモントルーの湖畔道。

モントルーのシンボルといえば、英国のロックバンド「クイーン」のボーカルだったフレディ・マーキュリー像でしょう。「クイーン」はモントルーのレマン湖畔にあった音楽スタジオを長年所有していました。アルバム収録もここで行っていたので、フレディ・マーキュリーや「クイーン」ファンの聖地にもなっています。

熱唱中のフレディ・マーキュリー像。

ところでモントルーの散策道で私が一番好きなのは、透明度の高いレマン湖に沿って色とりどりの花が咲く花壇。心を込めて大切に手入れされているのが分かります。

色とりどりの花たちがレマン湖を彩ります。

散策道から水際まで降りていけるようにもなっているので、そこで水鳥たちと遊んだり、湖水に足を浸して涼を取る人の姿もあります。

春うららな日に水辺で日光浴をする人々。

レマン湖は平均水深が150m以上あり、最も深いところでは300m以上もあります。さらに水辺近くを蒸気船が定期的に行き来しています。

レマン湖を航行する蒸気船。

そのため遊泳可のビーチと遊泳禁止区域が混在しているのでご注意を。

この辺りは「遊泳禁止(Baignade interdite)」。

さてモントルーの中心地からそのままずっと1.5kmほど歩くと、テリテ地区(Territet)にたどり着きました。

テリテ地区の散策道から道路をはさんだ反対側には「バラ公園(le Parc des Roses)」があります。

こじんまりとしていますが噴水があり、バラが咲く季節になると美しい小さなバラがたくさん咲く、地元民の憩いの場になっています。

そしてこの公園には「シシイ」ことオーストリア皇后エリザベートの像があります。

テリテ地区のバラ公園にあるエリザベート像。

スイスへ9回訪れたことがある皇后エリザベート。昔はテリテやその周辺に高級ホテルがいくつもあり、エリザベートもよくテリテに滞在していました。

夜行列車を使って十数人ものお付きの者たちと一緒にテリテへ到着、滞在中は朝軽く朝食を取ったら一人で一時間半ほど散歩へ出かけ、昼過ぎになると今度はケーブルカーでテリテからグリオン(Glion)まで登り、夕方までずっと歩き回っていたのだそう。

そして夕食に戻って来たかと思えば、食後は再びホテルのテラス内を散歩。エリザベートは美貌と体型を保つために極度なダイエットや運動をしていたことで有名ですが、旅先のスイスでもストイックな生活を続けていたようです。

その後1898年にエリザベートはスイスのジュネーブで暗殺されてしまいます。そこで彼女の死を悼み、滞在していた高級ホテルがあったこの公園内に記念像が建てられたのでした。

——このようにレマン湖の周りを散策しながら、後世に名を残した人たちも感じていた自然や季節の移り変わりを、共有すべく追体験してみてはいかがでしょうか。

小島瑞生さん

スイス在住ライター

1998年~2009年までアイルランドで暮らした後、2009年からスイス在住。スイス始め欧州の国々のさまざまな興味深い情報を雑誌やウェブサイト、ラジオ等のメディアにて発信中。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員

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