
本記事では、アウター・フットウェア・グローブ別に、洗濯・乾燥・撥水処理の具体的な方法を丁寧に解説。
洗濯に適切な水温や、脱水時間といった注意点も網羅しています。ゴアテックス製品を長く愛用するために、ぜひご一読ください。
CONTENTS
ゴアテックスはお手入れが肝心!

ゴアテックス製品は、防水性と透湿性を兼ね備えた高機能素材。登山やキャンプ、スキーなど、あらゆるアウトドアシーンで活躍します。雨や雪を防ぎつつ、内部のムレを外に逃がす性能があるため、快適な着用感が持続します。
ただし、この優れた機能性も、正しくお手入れしなければ徐々に低下してしまいます。長く快適に使うために、以下の手順で定期的なケアを行いましょう。
ゴアテックスのお手入れ方法【アウターウェア編】
用意するもの
- 液体中性洗剤
- 洗濯機
- 乾燥機またはアイロン
- タオルや手ぬぐいなどの布
- スポンジ
- 撥水スプレー(必要に応じて)
お手入れステップ【洗濯編】
- タグの洗濯表示をチェックして、洗濯機や乾燥機が使用できる素材か確認しましょう。もしも使用できないものならば、洗濯は手洗いになります。
- 洗濯前にファスナーや面ファスナーを閉じ、フードや裾にドローコードがあれば、緩めておきます。
- 汚れが目立つ部分はあらかじめスポンジで部分洗いしましょう。洗剤の半分程度の水を洗剤と混ぜたものをスポンジにつけ、汚れた箇所の上から叩くように洗います。
- 少な目の中性洗剤を使用して洗濯機で優しく洗いましょう。コースはデリケートモードや手洗いモード、弱水流など、できるだけ優しめの設定にしましょう。
- ゴアテックス素材に洗剤が残ってしまうと、かえって防水性の低下を招きます。すすぎは2回以上行ってください。脱水は生地が劣化する恐れがあるため、3分ほどの短時間が理想です。
お手入れステップ【乾燥編】
- 乾燥機が使える場合は、中温で乾燥させます(高温は避けてください)。
- 乾燥機が使えない場合は、できるだけ風通しのよい場所で、陰干しをしてください。直射日光に当たってしまうと生地が傷む恐れがあります。
お手入れステップ【撥水力復活編】
- 乾燥機またはアイロンで熱処理を行うことで、耐久撥水加工(DWR)の撥水効果をアップできます。乾燥機を使用できる場合は温風で20分ほどさらに熱処理してください。アイロンを使用する場合は、ゴアテックスのアイテムの上にタオルや手ぬぐいなどを敷き、低温でスチームを使用せずにアイロンをかけてください。高温や直接のアイロンがけは、生地が溶ける恐れがあります。
- 洗濯後、乾燥機やアイロンによる熱処理をほどこしても水をはじかなくなった場合は、必要に応じてウォッシュインタイプの撥水材、防水撥水スプレーを使用してください。スプレーの場合は15~20cmほど離して、薄く2~3回にわけて行うのが理想です。環境への影響を減らすために、できればエアロゾルスプレーではなくポンプ式スプレータイプをおすすめします。
- 撥水材、防水スプレーで処理をしたあとに、乾燥機またはアイロンで熱処理をしてください(1と同様のステップ)。
ゴアテックスのお手入れ方法【フットウェア編】
用意するもの
- 柔らかいブラシ(アッパー素材を傷つけないもの)
- 液体中性洗剤
- 撥水スプレー(必要に応じて)
- 新聞紙
- 爪楊枝などの細い棒
お手入れステップ【洗濯編】
- 靴紐を取り外し、内部の砂や小石、ゴミを振り出します。中敷きも外しておくとより清潔に保てます。ソール部分に挟まった小石も、爪楊枝などの細い棒を使用して取り除きましょう。
- ぬるま湯に中性洗剤を少し混ぜたものをスポンジに含ませ、泥汚れなどを、優しくこすり洗いします。汚れがひどい箇所は部分的にブラシをかけても構いませんが、素材が痛む恐れがあるため、強くこすらないように注意してください。洗濯機の使用は傷む原因になるため厳禁です。
- 洗剤が残らないよう、バケツに溜めたぬるま湯でしっかりとすすぎます。
お手入れステップ【乾燥編】
- 洗った後はタオルで優しく押さえるように、表面や内側の水気をふき取りましょう。
- 風通しの良い日陰で、自然乾燥させます。日光やストーブの熱など直接的な熱源は避けてください。靴の内側に新聞紙を詰めると、水分を吸収しながら形も整えられます。濡れたまま放置すると劣化やカビの原因となるためしっかりと乾燥させましょう。湿気が多く乾きにくい時期は、ブーツドライヤーの使用もおすすめです。
お手入れステップ【撥水剤使用編】
- 洗浄・乾燥後、アッパー表面に水滴が染み込むようになっていたら、撥水スプレーで撥水加工を行いましょう。スプレーは15~20cm程離して、均一に薄く吹きかけます。2~3回重ね塗りしましょう。
- 撥水ワックスやグリースなどは透湿性をそこなう可能性があるので使用しないでください。
ゴアテックスのお手入れ方法【グローブ編】
用意するもの
- 液体中性洗剤
- タオル
- 撥水スプレー(必要に応じて)
- バケツ
お手入れステップ【洗濯編】
- 洗う前にグローブの外や中の汚れを払い、砂やごみが指の部分に入っていないことを確認してください。
- ぬるま湯をバケツに入れ、中性洗剤を数滴(少量)加えて手洗いをしましょう。グローブの手のひらや指先など、汚れが溜まりやすい箇所は、指で擦ってしっかりと洗いましょう。
- 洗剤が残ると素材を劣化させる恐れがあるため、ぬるま湯で丁寧に数回すすぎ、しっかりと洗剤を落とします。
染色レザーは濡れると色移りすることがありますので、濡れた状態で、ほかの服や道具などの上に放置しないように注意してください。
お手入れステップ【乾燥編】
- 指の部分からスタートして手首のほうに順に軽く絞って水気を切ります。形が崩れないよう、無理に絞らないようにしましょう。
- 手首側を下にして、洗濯ばさみなどに挟み、風通しのよい日陰で乾燥させます。ストーブの上での乾燥やドライヤーなどの強い熱での乾燥は避けましょう。生地や縫製にダメージを与え、型崩れする可能性があります。
- 乾燥の最中に、一度グローブに手を通し、握りこぶしを作るなどして動かし、形状を整えましょう。
お手入れステップ【撥水剤使用編】
- 洗濯・乾燥後に、表面に水滴が染み込むようになっていたら、防水スプレーで撥水加工を行いましょう。スプレーは15~20cmほど離して、均一に薄く吹きかけ、2〜3回重ね塗りすると効果的です。
- レザーの手袋の場合、水性のレザーケア製品を使ってお手入れしてください。
ゴアテックスのお手入れの注意点
お湯は40度が限度
ゴアテックス素材は高温に弱いため、洗濯時のお湯の温度には十分注意が必要です。お湯の温度が高すぎると、生地に含まれる防水メンブレン(※)が熱により変質してしまい、防水性や透湿性といった機能が大きく損なわれる恐れがあります。
※メンブレンとは「膜。薄膜のこと」
洗濯やすすぎに使用する水は、必ず40度以下のぬるま湯を目安にしましょう。
洗剤に注意
ゴアテックス製品を洗う際は、必ず中性洗剤を使用しましょう。漂白剤や柔軟剤、蛍光剤が含まれている洗剤は使用NGです。
漂白剤や蛍光剤は、色落ちや素材の変質を引き起こす原因となり、柔軟剤は繊維の表面に膜を作ってしまうため、撥水性を損なう恐れがあります。
さらに、洗剤は液体タイプをおすすめします。粉末洗剤は溶け残りが生じやすく、生地に残った成分が撥水性や通気性を妨げることがあるためです。
洗濯機での脱水時間に注意
ゴアテックス製品は繊細なので、脱水の際の扱いには注意が必要です。長時間回してしまうと、生地がよじれたり、縫製部分に負担がかかって破損の原因になります。
脱水は3~5分ほどの短時間が基本。製品の素材やコンディションによって調整し、最初は様子を見ながら行うと安心です。
ゴアテックスはお手入れすれば長持ち!大切に使おう!
ゴアテックス製品は、洗濯・乾燥・撥水処理の3ステップを正しく行うことで、本来の防水性・透湿性を長期間キープできます。
また、お手入れを怠らずに続ければ、寿命を延ばすだけでなく、ニオイやカビの発生を防ぎ、見た目も美しく保てます。末永く使い続けるためにも、本記事を参考にして、定期的なメンテナンスを習慣化するよう心がけてください。