
今回の舞台は千葉県南房総市にある標高336.6mの伊予ヶ岳(いよがたけ)。「房総のマッターホルン」とも呼ばれる美しい三角形の山容が特徴で、子連れ登山にも適していますが、一部注意が必要なポイントも。実際家族と登ってみて、伊予ヶ岳の魅力と注意点をまとめました!
ファミリーで楽しめる伊予ヶ岳の魅力3選
1.気軽に登れる「低山」

標高も336.6mと、それほど高くないため、初心者や子連れでも挑戦しやすい山です。麓から山頂までは、2~3時間あれば往復できます。ただし、山頂付近は岩場が多く最後の鎖場はかなりハード。本格的な登山の雰囲気が味わえます。気軽だけれど思い出に残りやすい山だと思います。
クルマなら館山自動車道の鋸南富山ICから約15分。公共交通機関なら、JR内房線の岩井駅からバスやタクシーを利用して登山口へ。都心からのアクセスもいいので、気軽に訪れることができますよ。
2.眺めがいい!

頂上からは太平洋や房総半島の山々、タイミングが合えば富士山など、360度の展望を楽しめます。
3.周辺施設が充実、登山後の楽しみもいっぱい

登山口には駐車場やトイレ(和式ですがきれいでした)もあります。登ったのは2025年5月3日。GW中の好天日だったので混雑が心配でしたが、少し時間をずらしてランチを済ませて午後に到着。駐車場には余裕がありましたよ。
周囲には道の駅、温泉、無印良品が運営する総合交流ターミナル「里のMUJI みんなみの里」などがあり、買い物やカフェで食事など、山登り+αの楽しみもできますね。
子連れで伊予ヶ岳を登る際の注意ポイントまとめ
1.失敗が許されない「鎖場」がある!

慎重に臨めばだれでも登ることができる鎖場ですが、高所恐怖症の方、未就学児のお子さんを連れたファミリーなど、危険を感じたら無理をせず…。
かつてボストンテリアの豊がいて、しょっちゅう家族で低山トレッキングしていたころには、伊予ヶ岳も行き先の候補にあがったことがありました。しかし、今回、実際に登ってみて、この鎖場はペット連れでは不可能でした。危なすぎます。
そんなときは家族交代で登るか、手前の「女岩展望台」で引き返すのもありです。そちらからでも良い眺めが楽しめますよ。のちほど紹介しますが、登頂したけど鎖場を引き返すのが怖い!という場合は「回避ルート」もあります。
チャレンジする方は、軍手やヘルメットがあると安心。とくに軍手は持っていけばよかったと後悔したグッズです。
2.装備はしっかり

私たちは大雨の翌日に訪れました。ぬかるんでいる場所や滑る箇所もありました。トレッキングシューズはマスト。ファッションテイストなスニーカーやスポーツサンダルはダメ。
けっこう汗もかくので、速乾性のある素材のウエアを選んだほうが良いですね。2~3時間30分ほどで往復できますが、小さいお子さんがいる場合は、もう少し時間がかかる場合もあるので、行動食や十分な水分を持参すると安心です。
3.暑い季節にはヒルに注意

この季節の雨上がりや雨の日など、ヤマビルが活発になるムシムシした日は、ヒル除けのスプレーをかけたり、暑くても長袖・長ズボンを基本にしたほうがよさそうですね。
行動食、水分、虫よけ、軍手、タオル、着替えはぜひ持参で!
家族で伊予ケ岳登頂。今回は、こんな感じで楽しみました!

クルマの場合は「平群(へぐり)天神社」を目指してください。鳥居の脇に駐車場があります。

山中にトイレはないので、こちらで必ず済ませてから山に入りましょう。
伊予ヶ岳登山道をスタート


登山口から20分ほど歩くと、「富山(とみさん)」への分岐点が出てきました。こちらも南房総でポピュラーな低名山。富山の登山道付近には「南総里見八犬伝」の舞台となった伝説の洞窟があり、伊予ヶ岳との縦走ルートも人気だそう。今度登ってみたいなぁ。

ルートは短いながらも、段差あり平らな山道あり。変化に富んでいて小さいお子さんも飽きずに登れます。
東屋からの眺望

写真はないのですが、中腹に屋根のある東屋があります。ここが伊予ヶ岳の頂上まで行くか否かの「分かれ道」。これより先は鎖やロープ頼みで90度近い断崖絶壁を登る「鎖場」となります。
小さいお子さんにとっては難所でしょう。東屋から景色を楽しんで引き返すというのもありです。安全第一で楽しむことが大切です。
山頂直下の絶壁の鎖場

腕力で登ろうとする長男に、「手だけに頼っちゃダメ!足の力で身体を持ち上げて!」と下から声掛け。見ている私が怖~っ。
南峰登頂!

現在小1の次男は年中からボルダリングクラブで活動しているので、鎖場を難なく登ることができましたが、問題は小6のインドア長男。じつはこの日、彼の12歳の誕生日。”トンデモないBirthday”になるんじゃないかと私がビビってしまい…。無事に登頂しましたが帰りは「鎖場回避ルート」で下りました。
鎖場回避ルートに進む

この先に行けば「北峰」もありますよ。南峰が見える景色のいい場所なので、ぜひ立ち寄ってください。
北峰から望んだ南峰

仲間や家族と行くなら南峰と北峰、二手に分かれて撮影し合っても楽しそうですね!

富山は2つの峰からなる双耳峰。標高は北峰(金毘羅峰)が349.5m、南峰(観音峰)342m。眺めていたら次の登山の想像が膨らみました(笑)。
回避ルートもまぁまぁハード

最初はめちゃくちゃ心配した長男ですが、終盤には鎖場にも慣れてきてスピードアップしていました。その姿を見ていたら、山から学ぶことは多いと思った次第。かわいい子こそ、どんどん登山させましょう(笑)。


丁度いい切り株があったので、みんなで座って勝浦で買ってきた「めんこい亭」のサンドイッチをシェア。全身使ってお腹ペコペコ。一瞬で無くなりました。
桜広場

春には、伊予ヶ岳の山頂を背景に桜の花を眺めることができるそう。人気の撮影スポットとか。
東屋に戻る

サンドイッチを食べて休憩したり、ロープを伝いながら降りてくるマイペースな長男を待ったりと、約1時間かけて回避ルートを通り東屋に戻りました。行きと同様の鎖場を降りていたら、ここまで15分ほどでしょうか。夫は「まだここか!」とショックを受けていましたが(笑)。
河津桜の季節なら、先ほどの桜広場まで10分ほどなので、花を愛でながらランチ。それから鎖場にチャレンジして登頂しても気持ちよさそうですね。山って行ってみないとわからないこと、いろいろあるなぁ。東京の高尾山もそうですが、何回か登ってやっと全容が見えてくることがあると思います。また絶対登りたいな。
下山、洗い場へ

気軽に本格登山の雰囲気が味わえた伊予ヶ岳。眺めの良さや達成感、冒険感がバランスよく楽しめる千葉の名山でした。とはいえ絶対に無理はせず、回避ルートをチョイス。ときに途中で引き返す勇気も必要。「安全第一」で親子の思い出をいっぱい作ってくださいね。よい山時間を!
参考まで、今回のトレッキング記録をまとめました。
◎今回の伊予ヶ岳登頂データ
- 出かけた日:2025年5月3日
- メンバー:40代夫婦、12歳長男、6歳次男
- 登山時間(鎖場回避ルート選択):約2時間40分