かつてないほど手厚くウェルカムに迎えられた「アイスエイジ・トレイル」。気分よく第一歩を踏み出す! | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2026.05.07

かつてないほど手厚くウェルカムに迎えられた「アイスエイジ・トレイル」。気分よく第一歩を踏み出す!

かつてないほど手厚くウェルカムに迎えられた「アイスエイジ・トレイル」。気分よく第一歩を踏み出す!
アメリカには連邦政府によって認定されたトレイルが複数あり、そのうち「ナショナル・シーニック・トレイル」が全11ルートあります。プロハイカーの斉藤正史さんは、総距離が約17,800マイル(約28,646km)におよぶ11ルートのシーニック・トレイル全踏破に挑戦中です。

2025年秋、斉藤さんはアメリカ東北部のウィスコンシン州にある「アイスエイジ・トレイル」に挑みました。その1,200マイル(1,900km)のアイスエイジ・トレイルに挑戦した様子を、斉藤さん自身によるレポートで紹介します。
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【プロハイカー・斉藤正史の「アイスエイジ・トレイル」レポート」vol.5】

■前回はこちら

Ice Age Trail DAY 1:2025年9月12日

アイスエイジ・トレイルは支部も支援体制も充実

この連載のvol.3で、アイスエイジ・トレイルのガイドブックなどを公式サイトで購入しようとするもクレジットカード決済ができず、アライアンス(事務局)にメールで問い合わせたと述べました。

出発前に購入できず、トレイルを歩き終わるころに現地で入手したガイドブックと地図。

その際、アライアンスの方から、アイスエイジ・トレイルの事務局には19の支部があり、それぞれトレイルのメンテナンスなどのほか、ハイカーのサポートも行っているという話を伺いました。

アメリカのロングトレイルは、フェイスブックやSNSなどにそれぞれのコミュニティがあります。そうしたコミュニティでは宿泊場所や給水ポイントなどの最新情報を得られますが、それだけではありません。さまざまな面でハイカーをサポートしてくれるボランティアを「トレイルエンジェル」と呼びます。ロングトレイルの各コミュニティでは、トレイルエンジェルと知り合うこともできるのです。

ただ、アイスエイジ・トレイルの場合はオフィシャルの支部と支援体制が充実しています。そこで、自分が通過する予定の支部に相談する方がベターだよ、とアライアンスの方に勧められたのです。

僕がスタートを予定しているのは、アイスエイジ・トレイルの西の起点であるセント・クロア・フォールズです。事前に調べた限り、セント・クロア・フォールズにダイレクトにアクセスできる公共交通機関はありませんでした。

そもそもアイスエイジ・トレイルのあるウィスコンシン州は、あまり路線バスなどが充実していないようです。当初は、セント・クロア・フォールズのなるべく近くまで路線バスで行き、残りは歩こうと考えていたのですが、そうしたアクセス自体が難しそうでした。

州立公園内にあるセント・クロア・フォールズ。

そこで、アイスエイジ・トレイルのアライアンスに相談したところ、理事を務めているダナさんが対応してくださいました。しかも、単に相談に乗ってくれただけでなく、僕が泊まるミネアポリスのモーテルまで迎えに来て、セント・クロア・フォールズまでクルマで連れて行くよと申し出てくださったのです。ありがたい!

トレイルエンジェルの申し出が殺到!?

実は、出発前の成田空港で「これから渡米します」と、フェイスブックにあるアイスエイジ・トレイルのコミュニティに投稿していました。

成田からアイスエイジ・トレイルの西の玄関口ともいえるミネアポリスまで、およそ24時間あまりの移動。ミネアポリスの空港ロビーで、スマホのSIMをアメリカ用のものに入れ替えると、僕のフェイスブックのページに過去イチの通知が届いていました。

もともとSNSをそれほど積極的にやっていないこともあり、僕のフェイスブックなどの投稿に対する反響も大きくありません。投稿1件につき、せいぜい「いいね」は10ぐらい、DMもあって1、2通です。が、アイスエイジ・トレイルに挑戦するために渡米すると投稿したところ、「いいね」が700以上、DMも40通ほどあったのです。

何かヤバい写真でも投稿したのかと見直しましたが、バックパックの画像しか載せていません。上記の通り、メッセージもいたって普通です。

FBにアップした荷物の写真。人目を引く要素ゼロなのに…。

最初にアイスエイジ・トレイルのアライアンスの方とメールでやり取りしたときから感じていたことがあります。それは、アイスエイジ・トレイルを歩くハイカーに対し、こちらが気後れしてしまうほど細々と気遣ってくださるということです。そうした心遣いは、オフィシャルの事務局の方だけでなく、トレイルエンジェルの方も同様です。

僕はアイスエイジ・トレイル以前に、6つのナショナル・シーニック・トレイルを踏破しました。いずれのトレイルでも、さまざまな面でトレイルエンジェルの方に助けていただきました。

でも、アイスエイジ・トレイルではハイカーに対するサポートが手厚いというか歓待の度合いが大きいというか、僕が経験したことがない数の優しく温かい眼差しが注がれるのです。そのことは、実際にアイスエイジ・トレイルを歩き進めるごとに実感するのですが、詳しい話は追々。

アイスエイジ・トレイル挑戦中は各地で歓待を受けました。感謝!

今は2025年9月11日、アメリカ到着から間もないミネアポリスです。前回に詳しく書いた通りチェックインの際にごたつき、ようやく足を踏み入れた部屋がさまざまな面で残念な格安モーテルに投宿。

どうにか寝たものの、時差ボケなのか、深夜2時すぎに目覚めてしまいました。そこで、フェイスブックに届いたDMをチェックし、トレイルエンジェルを申し出てくださっている方の名前などをメモっていきます。

僕は何度もアメリカにきているのに、一向に英語の読み書き会話が上達しません。40通ほどのDMなどを解読するのに2時間あまりかかってしまいました。苦手な英語に接したからか、時差ボケなのか、頭痛が続いています。いや、アメリカでもほかの国でも時差ボケに苦しんだことはありません。格安モーテルの部屋で何かに憑かれたのでしょうか。

コーヒーをもらおうとモーテルのフロントに出向くと、ベーグルなどの簡易的な朝食が用意されていました。いろいろ文句をいったけど良いモーテルなのかもと思ったものの、機械が故障してコーヒーは用意できないとのこと。やっぱり、格安モーテルはどこまでも格安モーテルでした。

いよいよアイスエイジ・トレイルの第1歩

時間より早めにチェックアウトを済ませ、モーテルの外で待っていると、アイスエイジ・トレイルの理事であるダナさんが奥さまを伴って登場。ここミネアポリスからセント・クロア・フォールズまで約2時間のドライブです。道すがら車窓越しに風景に目を向けると、9月にして紅葉が始まっているところもありました。

ウィスコンシン州には、アイスエイジ・トレイルだけでなく、ノースカントリー・トレイル(NCT)も通っています。いつか、そっちのナショナル・シーニック・トレイルも歩きたいと考えているので、ダナさんにいろいろお話を伺いました。やっぱりリアルな最新情報を知るには現地の人の話が一番だな、などと思っていると、セント・クロア・フォールズがある州立公園に到着しました。

公園の駐車場に着くと、ダナさんご夫妻がターミナスまで一緒に行こうと付き添ってくれました。すこし歩くとセント・クロイ川が見え、そこにアイスエイジ・トレイルのターミナス(起点)がありました。ターミナスの標識で記念写真を撮る人などでにぎわっていました。でも、そこにいたのはハイカーではなく、ほとんどが観光客のようでした。

ターミナスから望むセント・クロイ川。

ロングトレイルを一気に歩き通すことを、スルーハイクといいます。ダナさんが周囲の人たちに「彼はアイスエイジ・トレイル1,200マイルをスルーハイクするんだ」と説明すると、観光客が励ましの声をかけてくれました。気恥ずかしさもあるけれど、やはり気分も高まります。ダナさんご夫妻にお礼をいい、ターミナスで別れました。

ターミナスのセント・クロア・フォールズにて。

「よし!」と心の中で声を発し、いよいよアイスエイジ・トレイルの第1歩を踏み出します。が、たいして歩かないうちに通行止めの看板に行き当たりました。トレイルの休憩スポットであるシェルターの工事を行っているようです

仕方なく迂回しますが、州立公園はやたら園路が充実していて、30分ほどロスト(道迷い)しました。時差ボケなのか、格安モーテルの憑きものなのか、相変わらず頭が重たい感じも続いています。

結局、自分でも心もとないと感じられるような足取りで、アイスエイジ・トレイルのスタートを切ったのでした。

歩き始めて早々に目にした工事中の案内…。
著者画像

斉藤正史さん

プロハイカー

2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。また、BE-PAL.netにて「TOKYO山頂ガイド」を連載。

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