どんな味?熱帯果実初級編のマンゴスチンとランブータンを食べてみよう! | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2025.04.03

どんな味?熱帯果実初級編のマンゴスチンとランブータンを食べてみよう!

どんな味?熱帯果実初級編のマンゴスチンとランブータンを食べてみよう!
日本のような温帯の果実は酸っぱい。野生種は苦味もあってとても食べられない。品種改良によって甘く、大きくなったが、それでも酸味が特徴だ。リンゴ、ナシ、サクランボ、ブルーベリー・・・。一方、熱帯の果実は甘い匂いを放つが、種離れが悪い。それは、種子の運び屋さんが違うからだという。大型類人猿のオランウータンが棲むボルネオはトロピカルフルーツの宝庫。初級編はマンゴスチンとランブータンだ!

温帯の果実は、鳥が食べるものから品種改良

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青物市場で熱帯果実の数々。左奥にビニール袋に入ったマンゴスチン(Garcinia mangostana)、その手前にランブータン(Nephelium lappaceum)。右にランサーとドゥク(Lansium domesticum)。マレーシア・サバ州シピタンにて。

東南アジアは、トロピカルフルーツの王国である。トロピカルフルーツと聞いて、思い起こすのはパイナップル、マンゴー、パパイアあたりだろうか。すでに日常的に日本のスーパーマーケットなどで見かける果物(くだもの)になっている。東南アジアの青物市場で感じるムッとした匂いは、色とりどりのトロピカルフルーツである。

では、温帯と熱帯の果物はどこが大きく違うのだろうか。そもそも果実は、植物が子孫の元である種子を包む入れ物である。植物学的にいうと、種子が花の雌しべの根元にある子房のなかの胚珠が受精して発生したものに対し、果実は子房やその周辺が受精後に発達したものである。

自分で移動できない植物は種子を運んでもらうために、さまざまな力を使う。風に運ばれる風散布では、滞空時間を延ばすために翼や羽毛などを発達させている。東南アジアの熱帯雨林で代表的な高木であるフタバガキの仲間は、羽子板の羽根のような果実をつける。

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ボルネオ島の低地熱帯雨林を代表するフタバガキ科植物の果実。マレーシア・サバ州ダナンバレーにて。

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ボルネオ島低地林にはフタバガキ科以外にも風散布の植物がある。マレーシア・サバ州ダナンバレーにて。

動物によって種子を運ばせるための果実もある。ひとつのかたちが果物である。種子の周りに散布の誘因であり、報酬でもある果肉を発達させて、動物に食べて運んでもらう。

種子散布の担い手が、温帯と熱帯では大きく異なる。温帯で散布の主力になるのは、鳥類と地上性の哺乳類である。とくに鳥に依存する野生植物がたいへん多い。鳥は口のなかで甘みを感じる甘味受容体を失っているので、鳥が好んで食べる野生の果実には甘みがなく、ひたすら苦くてまずい。

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温帯で種子散布の主力は鳥類だ。クロガネモチ(Ilex rotunda)の赤い果実を啄むヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis)。屋久島にて(撮影:福留千穂氏)。

もっとも花の蜜を食べるように進化した鳥のグループは、甘味受容体を新たに得ているので、甘み好きである。また鳥の多くは嗅覚が発達していないので、誘因に匂いが果たす役割はほとんどない。このような鳥が散布する果実から、より甘く、より果肉を大きくする品種改良が進んでフルーツになったのは、リンゴ、ナシ、サクランボ、ブルーベリーなどである。

ひたすら甘い熱帯果実はサルの好物!

熱帯で種子散布の担い手として重要なのは、わたしたちと同じ霊長類、つまりサルの仲間である。味覚もわたしたちと大きく違わないので、類人猿であるゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザルが好んで食べる果実は、わたしたちの口にも合う。

霊長類相手なので、匂いは重要な誘因手段である。温帯の甘酸っぱい果物に比べて、トロピカルフルーツはひたすら甘く、独特の匂いがあるものが多い。これが東南アジアの青物市場で感じる匂いの正体である。

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「熱帯果実の女王」マンゴスチン。マレーシア・サバ州コタキナバルにて。

あまり親しみのないトロピカルフルーツであるが、まずは初級編としてマンゴスチン(Garcinia mangostana)やランブータン(Nephelium lappaceum)から試してみよう。シーズンならたくさん出回る代表的なフルーツだ。どちらも部厚い果皮に包まれていて、それを剥くと果肉が現れる。

マンゴスチンは、真っ白な柔らかい、上品な甘さの果肉で「熱帯果実の女王」とも呼ばれる。果皮はタンニンが含まれていてとても苦く、下痢の特効薬とされるぐらいだ。古くからの栽培種で、原産地はマレー半島と推定されている。現在の栽培種は雑種起源の無性生殖で、雄花なしで実をつけるという。

オランウータンもレッドリーフモンキーも甘い果物が大好き!

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ランブータンをもらった、リハビリセンターのボルネオオランウータン(Pongo pygmaeus)。左の個体がランブータンを全部抱え込んで食べている。右の個体は欲しくて、しきりにアピールするが、決して分けてもらえることはない。マレーシア・サバ州セピロックにて。

ランブータンは、マレー語のランブー(髪毛あるいは毛)から名前がつけられていて、果皮に真っ赤で、細長く柔らかい突起がついているのが特徴だ。果肉は半透明で甘い。種子は1個だけ入っているが、種子離れが悪い。

これは霊長類が果肉だけ食べて種子を吐き出すことなく、飲み込んで糞として遠くまで運ばせる植物の作戦である。ボルネオオランウータン(Pongo pygmaeus)はランブータンが大好きで、厚くてまずい果皮を取り去って白い果肉部分を食べる。種子離れが悪いので、種子は呑み込んでしまう。

ランブータンの近縁種はボルネオ島にも野生種が複数あるが、味などの特徴はあまり変わらない。ランブータンの野生種(N.cuspidatum var.eriopetalum)をレッドリーフモンキー(Presbytis rubicunda)が食べるのを見たことがある。果皮を取り去って、白い果肉部分だけを食べる様子はオランウータンや人間と似ている。

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野生ランブータン(N.cuspidatum var.eriopetalum)を食べようとしているレッドリーフモンキー(Presbytis rubicunda)。この野生ランブータンとサルは、ボルネオ島固有種である。マレーシア・サバ州ダナンバレーにて。

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レッドリーフモンキーは人間やオランウータンと同じように、野生ランブータンの果皮を捨て去って白い果肉を食べる。マレーシア・サバ州ダナンバレーにて。

著者画像

湯本貴和さん

京都大学名誉教授

1959年徳島県生まれ。日本モンキーセンター所長、きょうと生物多様性センター長、京都大学名誉教授。理学博士。植物生態学を基礎に植物と動物の関係性を綿密に調査。アフリカ、東南アジア、南米の熱帯雨林を中心に探検調査は数知れず。総合地球環境学研究所教授、京都大学霊長類研究所教授・所長を務める。京大退官後も旅を続け、調査を続け、食への飽くなき追求を続けている。著書に『熱帯雨林』(岩波新書)、編著に『食卓から地球環境がみえる〜食と農の持続可能性』(昭和堂)などがある。日本初の“食と環境”を考える教育機関「日本フードスタディーズカレッジ 」の学長も務める。

特に表記のない写真はすべて湯本貴和さんの撮影

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