誰でもスマホで世界の森を再生できる!谷川俊太郎さんも応援するアプリ「weMORI」

2020.07.17

先日、環境省が発表した2020年版環境白書には、「気候危機宣言」という言葉が明記されている。これまで日本では、「気候変動」と言っていたのを「危機」とはっきり表記したのは初めてのこと。それが意味するのは、私たちは急いで環境問題に対処しなければならないということだ。

今年の環境白書では、温室効果ガスの増加とそれに伴う温暖化による豪雨災害や猛暑のリスクはさらに高まる可能性が示されている。また、生物多様性白書によれば、現在、地球上の100万種の生物が絶滅の危機に瀕している。そう言われると、「早く何かやらなきゃ!」と気持ちは急くが、何をどうやったらいいのかわからない。なにしろ、環境問題は複雑で多岐に渡る。個人でアクションを起こすには、敷居が高いのが現状だ。

そんなタイミングで、環境アクティビストの清水イアンさんが開発しているのが、自分のスマホひとつで、誰でも手軽に熱帯雨林の保護と再生に参加できるアプリ「weMORI」だ。

「weMORI」を創設した環境アクティビストの清水イアンさん。

「地球温暖化と生物多様性の減少というふたつの大きな環境問題に対して、即効性があって効果の大きい取り組みが、熱帯雨林の保全と再生です。CO2を吸収して、たくさんの生命を育む熱帯雨林を保護することが、最も即効性があるアクションと言うことができると思います。僕らは、誰でも手軽に、都会の電車の中からでも参加できるような「weMORI」というアプリを考えているんです」(イアンさん)

スマホで5秒でドネーションするだけで、世界の熱帯雨林を守れる。

このアプリは、世界の熱帯雨林の現状を知ることができ、スマホから100円から熱帯雨林の保護と再生に寄付することができる。そして、自分が寄付した金額で、どのくらいの木が救われ、CO2がどのくらい軽減できたか、という情報を活動のリターンとして、数値化してお知らせする。都会にいながら、世界の熱帯雨林の保護活動に簡単に参加できるプログラム。

清水イアンさんは、現在28歳。子供の頃から両親に連れられて、オーストラリアやボルネオの自然に触れて幼少期を過ごし、沖縄の海に親しんで育ったという経験がある。清水さんが環境問題を興味を持ったのは大学2年生のころ。

「大学で環境の歴史を学ぶ授業があって、そこで、自分にとっての大きなパラダイムシフトがありました。僕らが何の疑いもなく暮らしている今の社会は、経済を進めるために、環境の破壊を伴っている劣化社会だ、と気づいたことが、自分にとっては大きな転機だったんです」(イアンさん)

その気づきをきっかけとして、イアンさんは、大学卒業後、「350」という環境保護団体に参加する。主に金融のあり方を変えることで経済面から環境保護を実践するNPOの「350」で、イアンさんは、さらに経済活動と環境破壊の実情を知ることになる。

「環境に関する情報を知らなければ、行動に移そうと思わないでしょう。そして、少数の人が情報を知っているだけでは何も変わらない。そう考えると、僕らの世代の若い人に、まずは環境についての情報を知ってもらう必要があると思って、2年前に「SPIRAL CLUB」を結成したんです」

 

SPIRAL CLUB」は、イアンさんと同世代のメンバーが、環境に関してさまざまな情報を発信するコミュニティ。そして、今回は、危機的な環境の現状を知った人が、温暖化と生物多様性の保護のために気軽に参加できるツールとして、この「we MORI」が誕生したというわけだ。

「『環境問題は難しい』とか、『行動するのが面倒くさい』という人もいると思うんです。だけど、『環境問題は難しくないよ』、『行動するのは簡単で楽しいよ』というアプリができないかと考えている時に屋久島に行ったら、そこで出会ったのがノルウェー人のアレックスでした。屋久島の山の中で豪雨に振り込められている間、『こういうアプリを作りたいんだ』とアレックスと話をしていたら、彼はちょうどノルウェーで一番大きなマッチングアプリの会社アプリのUX(ユーザー体験)デザインを担当していたのです。『それじゃ、一緒にやろう』ということになって、このプロジェクトがスタートしたんです。今は、日本とノルウェーでSlackなどで連絡を取りながら、開発を続けています」

日本とノルウェーの若者がリモートでアプリ開発を進めているのもミレニアル世代的ならではだが、ボランディアで参加しているスタッフも、イギリス、コロンビア、シンガポール、インド、ポーランドと多国籍。ほとんどのメンバーがSNSで呼びかけて知り合ったというのも、ミレニアル世代の新しい繋がりを感じさせる。

「『weMORI』では、世界中のミレニアル世代の人に共感してもらえるコンテンツを届けられるように、アパレルブランドと共同でTシャツを作ったり、詩人の谷川俊太郎さんの新作の詩「木洩れ日」を扱ったリワードしたポスターを作ったりしているところです。これらは、今開催しているクラウドファンディングでリワードとして提供しています。」

熱帯雨林の保全に関しては、イギリスで25年続いている熱帯雨林保護団体「ワールド・ランド・トラスト」とパートナーシップを結び、保護する熱帯雨林も、ベトナム、アルゼンチン、マレーシアなど世界20か国に及ぶ。「weMORI」の寄付先の熱帯雨林も、アルゼンチン、ベトナム、マレージアなど、自分が保護したい地域を選ぶことができる。

環境省 自然環境局のHPより。

「『なぜ日本1か所の森だけではないのか?』と聞かれるんですが、まずは伐採が最も激しい熱帯雨林が存在する国を対象としているからです。僕らが考える熱帯雨林の保全は、1つは、熱帯雨林の保護――これは、その土地にお金を送って熱帯雨林を保全して、伐採大規模な開発を抑止する活動です。もうひとつは、熱帯雨林の再生――これは伐採された熱帯雨林を地元住民を巻き込んだ植樹を通して再生させる活動です。どの国の熱帯雨林がどのくらい緊急を要する状況か、状況は常に変わりますから、支援の優先順位も変わるわけです。そして、その地域をサポートするためには、世界の熱帯雨林の情報を発信していく必要があるんです」

ユーザーの興味を喚起する森林に関する記事を世界中から集約して、魅力的なコンテンツとして発信し、ユーザーはスマホで瞬時に寄付ができる。ふだんの生活を続けながら、熱帯雨林保護のアクションを行えるのは、まるで、危機に瀕している世界中の森を、ワンプッシュで救うゲームのようなワクワクする感覚も感じられる。アプリのビジュアル・イメージも、ワールドスタンダードなセンスでまとめられている。

「コロナによって、世界経済は一回、スローダウンしましたよね。そのことで、みんな、本当に大切なことは何か?不要なことは何か?を考えたと思うんです。おそらくお金の使い方も変わってくるでしょう。『weMORI』が、コロナを経た後の世界規模の意識の変化を、体現し、リードできる取り組みメディアになれば、と考えています」(イアンさん)

コロナの影響で開発がストップしていた「weMORI」のアプリケーションは、7月1日から、リリースする費用を集めるためのクラウドファンディングが開始された。リワードリターンは、谷川俊太郎さんが weMORI 応援のために執筆した新作書き下ろしの詩「木洩れ日」を扱った和紙に印刷されたリワードしたアートポスターや、残布(製造工程で余った布)をアップサイクルしたTシャツなど。世界中からたくさんの人たちが参加して、熱帯雨林を守るプロジェクト。参加したい方は、以下のリンクをご参照ください。

クラウドファンディングの情報は weMORI の公式 twitter からご覧ください。
https://twitter.com/joinwemori

清水イアン プロフィール

1992年生まれ。日・英ハーフ。環境アクティビスト。学生時代に温暖化に取り組む団体350.org の日本支部の立ち上げに参加。2018年からは、ラジオや講演などを通じて環境問題の啓発・教育を行う。2019年に 「weMORI」を立ち上げ、世界中から集まったボランティアと共に活動を進めている。

構成/尾崎靖(no name project)
写真提供/weMORI

 

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