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海に面した古い町並みに誕生
自然豊かで歴史のある港町、福井県小浜市。その昔、アメリカでオバマ大統領が誕生した時、同じ名前ということで一躍、有名になって(笑)、今でもオバマさんのシルエットが刻印された饅頭が土産物として売られています。
ダイナミックな景観の蘇洞門(そとも)やSUPを楽しめる矢代、若狭湾を一望できるエンゼルラインなど、近畿圏のアウトドアズマンにはお馴染みのエリアです。
この小浜市に、今年5月に誕生した『おばま水族館』が話題になっているというので、足を運んでみました。若狭湾に面した小浜公園のすぐ近く、国登録の文化財やレトロな建造物が点在する重要伝統的建造物群保存地区の街並みの一角にありました。


中に入るといくつも水槽が目に飛び込んできます。いきなり出迎えてくれたのは、カサゴちゃん~(さかなクン風、笑)。目が大きくて愛らしいじゃありませんか。カサゴといえば、美味しい高級魚のイメージだったけど、こうして見ると食べたくなくなります。



海水魚と淡水魚の両方を展示
1階にたくさんの水槽が展示されていますが、聞けば、ひとつの水槽を一人の学生さんが担当して管理しているそうです。それぞれの水槽には魚の簡単な説明や、観察日誌なども添えられていたりします。
一般的な水族館よりも、かなりの至近距離で観察できるところがいい。思わずしゃがんでじーっと魚を見つめてしまいます。魚はこっちのことなど知らぬ存ぜぬで悠々と泳いでいて、まあ何だか癒されるのです。時が経つのを忘れてぼーっと見入ってしまいますね。
砂地の水槽で保護色の小魚を発見! 若狭名物のカレイちゃんじゃないですか~ 体長わずか5cmほどのカワイ子ちゃんです~ 砂に潜ったり、ふわりと上の方まで浮いてきたり。よく見ていると、アクビしたりします。か、かわゆい(笑)
1階には海の魚だけでなく、淡水魚も展示されています。これは地元の子供たちも相当勉強になるでしょうね。




木造一軒家であるこの水族館、2階もあります。1階とはガラッと雰囲気が変わり、こちらは純和風な空間で、座ってゆっくりと時間をかけて観察できる設えになっています。
この日は、研修旅行に来ていた大学生の団体さんがいましたが、写真を撮るだけでなく、何人も小型水槽の前にベタッと座り込んで、無言で魚に見入っていました。
私も同様に、クッションに腰かけて水槽の中を凝視。ちょっと異質で風変わりなペットを自宅で愛でているような気分になります。これは堪りませんね。
一般的な大きな水族館だと、迫力はあるけれど、こんなにじっくり、しかもほのぼのとした気持ちで長居することはなかなかできません。古民家ならではの空気感の中、手作り感満載の可愛くユニークな展示だから、お尻に根を生えさせるのかも。


創設者は現役の大学4年生
創設者の眞壁喜一郎さんに話を聞きました。眞壁さんは福井県立大学の4年生。
――この水族館を始めることになったきっかけは?
「私は大阪の高槻で生まれ育ちました。小さいころから地元の芥川で魚を捕ったりして遊んでいて、みんなで水族館がつくれればいいなあと夢描いていました。大学1年の時に水族館の設立を思い立ち、古い施設をリノベするなどしてつくることはできないかと考え始めました。数人の仲間と構想を練り、AIにも聞きながら予算を練り、場所を探しました。ところが、自分自身どんどん知識が増えて詳しくはなるけれど、実際に外の現場では動いていないので、そのギャップに苦しんで水族館の設立は滞っていました」
――AIは便利だけど、インドアで完結してしまうんですね。
「そんなとき、同じ福井県の高浜町に水族館ができたからと、建設会社の社長さんが見に連れていってくれました。実際に外へ足を運んでみて、発想が変わりました。当初はコンクリートなどで造られた建物を探していましたが、木造の施設にシフト。2024年、福井県ワクワクチャレンジプランコンテストにも応募して、構想を具体化していきました。さらに観光まちづくり会社であるまちづくり小浜の社長さんが繋いでくれて、この木造の古民家に出合いました」
――木造一軒家とはいえ、リノベには費用がかかります。
「古民家のオーナーさんが改修費用は出してくださることになり、水槽や濾過槽、電気配線など設備を整えるための事業計画をたて、クラウドファンディングをはじめ、コンテストの賞金、県の補助金、協賛金など、なんとか工面できることができました」
――大学生による運営というのも珍しいですね。
「福井県立大学は、県内数か所にキャンパスが分かれています。ここ小浜市には、海洋・水産系学部があり、『おばま水族館』は現在、総勢40名ほどの学生が運営しています。ひとつの水槽を一人の学生が担当して管理する仕組みで、それぞれ好きな魚を学生自身が調達。自分で捕ってくることもあれば、漁師さんから譲っていただくこともあります。水槽の管理、維持はなかなか難しく、みな苦労しています」
――今日も大勢の来場者でしたが、開業後に変化はありましたか?
「オープンが5月1日とちょうどゴールデンウイークだったこともあり、初日から大変な人出で、館内は大混雑。1日500人以上来場され、嬉しい悲鳴でした。その後、周辺の飲食店からも昨年と比べて売り上げが4倍増したとのお声をいただきました」
――地元にも還元できていますね。眞壁さんは4年生ですが、卒業後は?
「漁師の仕事に就くことにしました。この水族館にも顔を出しますが、運営自体は現役の学生が代替わりしながら継いでいくことになります」

手作り感満載のユニークな水族館が、地元の学生たちによって引き継がれていくとは頼もしい限り。地元の子供たちも遊びに来ていて、学生スタッフが一緒に遊んだり、優しく対応しているのを見ると、微笑ましいだけでなく、その子供たちが将来、同じ道に進むことに繋がるのではとも思えます。
海に面した町、小浜の新名所。この秋、若狭方面へ行くならオススメです。

●おばま水族館
住所:福井県小浜市小浜香取55
開館日:木曜・金曜・土曜・日曜・祝日
定休日:月曜・火曜・水曜
営業時間:10時~16時
料金:700円(高校生以下 300円、未就学児無料)※小浜市民割引あり
取材・文/インディ藤田




