スペイン・カタルーニャ州の地中海でシーカヤック。地形と海中に「地球の過去と未来」を見た! | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

海外の旅

2026.07.03

スペイン・カタルーニャ州の地中海でシーカヤック。地形と海中に「地球の過去と未来」を見た!

スペイン・カタルーニャ州の地中海でシーカヤック。地形と海中に「地球の過去と未来」を見た!
ヨーロッパのアウトドア天国の一つスペインのカタルーニャ州。そこで様々なアクティビティを体験してきました。

その第1弾はシーカヤックです!

どうも、オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
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【柳沢有紀夫の世界は愉快!スペイン・カタルーニャ旅編1

スペインのカタルーニャ州。その州都バルセロナはサグラダファミリアを始めとしたガウディの建築や、カタルーニャ音楽堂といった観光名所で有名です。

でも「なぜBE-PALでとりあげる?」と首を傾げる方も多くいると思います。

じつはカタルーニャは地中海に面しています。州都バルセロナは日本では上記のような観光スポットで有名ですが、ヨーロッパの人たちにしてみたら「ビーチリゾート」という側面を持っていたりします。

そしてカタルーニャとフランスとの国境に連なるのはピレネー山脈。ヨーロッパの山脈といえばアルプスが真っ先に思い浮かびますが、このピレネー山脈も3000メートル以上の山々が120~200以上あると言われています(数に幅があるのは主峰のまわりの峰々を一つの山としてカウントするかしないかで変わるからです)。

というわけでカタルーニャ州、海でも山でもアクティビティが楽しめるのです。その割には日本ではまだあまり知られていないので、その魅力をたっぷり紹介したいと思います!

で、で、最初にお伝えするのは海のアクティビティ、シーカヤック。訪れたのは同州の北東部の半島にあるガダケスという街のポールリガットという港の横の砂浜です。

写真真ん中で説明してくれているのが今回のシーカヤックツアーのガイド氏。

州都バルセロナからは車で2時間強、今回の旅のスタート地点であるジローナからは約1時間20分。

どちらからも電車とバスを乗り継いだあと街中を20分強歩いて訪れることも可能ですが、所要時間は車の倍くらいかかります。今回案内してくれたドライバー氏によると「半島への道も駐車場も少ないのでバカンスシーズンの7~8月は1時間くらい渋滞することもザラだ。その季節は絶対に避けるべし」とのことです。

さてライフジャケットに身を包んでとにかく2人1組でカヤック開始!

地中海だというのにあいにくの空模様。

ガイド氏によると「バルセロナのあたりは晴れていることがほとんどだけど、このあたりはピレネー山脈も近いので天気が変わりやすく、曇りや雨のことも多い」のだとか。

今回は湾内をスタートして、岬と小島(南北約400メートル、東西約200メートル)の間の幅20メートルほどの狭い水路を通り抜けて外洋に出て、島沿いに進んだあと、島と島の間の幅10メートルほどの難所を進み、出発地点に戻ってくるというコースです。

最初は湾内なので波も穏やかです。

なんだか「おしくらまんじゅう」状態になっていますが決して寒いからではありません。

…単にみんなカヤックの操縦に不慣れなだけです。笑

地球の未来を担う「ポシドニア」とは?

さて写真でうまくとれなかったのですが、肉眼で見ると海底が明るいところと暗いところがあります。暗く見えるところがポシドニアという高さ1.5mの海草。地中海とオーストラリアで生息する固有種です。

ここで問題です! 「海藻」と「海草」という2種類の書き方がありますが、それぞれの違いを存じですか?

「海藻」はコンブ、ワカメ、ノリなど根や茎や葉の区別がはっきりしていない「藻類」。一方「海草」は根と茎と葉が区別できる「草」です。

どちらも光合成をしますが、特にポシドニアは大量の二酸化炭素を吸って酸素を放出するので、地球温暖化対策という意味でも大切な存在。「海の肺」との異名もあるそうです。

もともと地上に生えていたポシドニアはいつしか海中に住むようになったそうですが、岩ではなく砂の上でしか生きられないそう。でもその繁殖力がすさまじい。海底で地下茎を伸ばしてグイグイと成長していきます。

そしてポシドニアの一種である「ポシドニア・オーストラリス」はなんと「世界最大の生物」。西オーストラリア州の世界遺産シャーク湾というところで調べられた個体はなんと180キロメートル以上の長さがあるのだとか!

そんな説明を聞きながら、岬と小島の間の水路に向かっていきます。

あの先に何があるんだろう。…そんなワクワク感が楽しめます。

その水路を抜けると…なんともう一人のガイド氏が岩礁と岩礁の間を縫うよう進むルートを先導します。

そっ、そこを抜けるか! 右に広々とした海が広がっているというのに。

わざわざ狭いところに入り込むネコかっ! 狭いところのほうが安心するというゴキブリかっ!

やらなくてもいい無駄なチャレンジをしては父親に「ほ~ら、言わんこっちゃない」とあきれられてばかりだった柳沢有紀夫少年の姿が頭に浮かびましたが、座礁も転覆もせずに無事通過できました。

あたりまえですよね、ガイドがわざわざ先導するのだから。ちょっとスリルを味わわせてくれたのだと思います。

湾外、そして「最大の難所」へ!

とにかく岩礁と岩礁の間を抜けて、いよいよ湾外に出ます。

波がそれなりに感じられるようになります。
この写真だと波があることがおわかりいただけるでしょうか。

カヤックは今まであちこちでやりましたが、いつもラグーン内のほぼ波のないところばかり。こんなふうに波があるのもちょっとスリルがあります。ありすぎると困りますが…。

そして波はカヤック内にも結構入ってきます。
方角によっては少し青空も見えてきました。
ちなみに7~8人は乗れそうなゴムボートも同行してくれるのでいざというとき安心。

…と思ったのですが。今振り返ってみるとこのシーカヤックツアーの参加者は11人。全艘転覆したら…。

たぶん杞憂ってやつだと思います。笑

そしてやってきたのが、ガイド氏が「最大の難所」と呼ぶ場所です。「ここは危険なので私が途中まで並走しながら一艘ずつ通過してもらいます。とにかく必死にこぎ続けてください。そして難所を超えたところで両側が岩で波を遮ってくれる安全な場所があるので、そこで止まっていてください」

その説明のあと別の一艘が先行し無事に難所を通過。その次が私のカヤックの番です。漕ぎ始めてしばらくして強風が吹きすさび、荒波が押し寄せてきます。…すみません、ちょっと大げさに書いてみました。

でも他の場所よりもずっと風が強く、波が高いです。「漕ぎ続けて! 漕ぎ続けて!」とガイド氏が斜め後ろから叫び続けます。

波の飛沫がメガネにあたり視界が少し遮られますが、拭っている余裕はありません。「漕ぐのをやめないで! 漕ぎ続けて!」とガイド氏に急き立てられます!

そうすること3分、ようやく「最大の難所」を超えて、波が穏やかな場所にたどりつきました。ホッ。いや、3分と書きましたが…もしかしたら1分ほどだったかも。笑

「そこで待ってて」という言葉とともにガイド氏はまた別のカヤックの伴走のために戻っていきました。

まあ、そんな感じなので「最大の難所」通過中の写真は撮れず。涙

通り終えて笑顔を交わします。

まあ、「最大の難所」とはいえ転覆することなどそうそうないのでしょうが。「ちょうどいいスリル」を味わわせるのもガイドの腕の見せ所でしょう。

このあとはまた湾内に入り、比較的波の穏やかなところを進みます。

斜めになった地層が見えてきました。

ヨーロッパ側のプレートと大西洋側のプレートが押し合って隆起してピレネー山脈ができたときのものだそうです。

地球の過去の姿を見たり、酸素を大量供給して「海の肺」とも呼ばれる海草のポシドニアの話を聞いたり。いつも思うのですがアウトドアアクティビティは体を動かすだけでなく、頭も活性化させる「学び」の要素があるほど楽しくなります。今回のシーカヤックもまさにその通りでした。

そしていよいよゴールへ

出発点の砂浜近くに戻ってきました。

正面の白い建物は奇才の代表とも言える画家のサルバドール・ダリが住んでいたところ。

今ではその名も「サルバドール・ダリの家美術館」という美術館になっているとのことです。

ちょうど1時間半後にツアー終了。と思いきや…。
浜には枯れたポシドニアがたくさん打ちあがっていました。

はい、「海の肺」の異名をとる海草です。

ちなみにこれが堆積することで波の浸食から砂浜を守っているのだとか。死んでも役立つポシドニアです。ちょっと見習いたいです。

【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら

カタルーニャ州政府観光局(日本語サイト)
https://catalunya.jp/

ATTA (ADVENTURE TRAVEL TRADE ASSOCIATION。アトベンチャートラベルに関する世界的な業界団体。今回のイベントを主催)
https://www.adventuretravel.biz

Outdoor Adventours (今回のカタルーニャでの各アクティビティのツアー催行会社)
https://outdooradventour.com/

著者画像

柳沢有紀夫さん

オーストラリア在住ライター (海外書き人クラブ)

1999年からオーストラリア・ブリスベン在住に在住。オーストラリア関連の書籍以外にも『値段から世界が見える!』(朝日新書)、『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(新潮文庫)、『日本語でどづぞ』(中経の文庫)、『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著作も多数。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」のお世話係

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