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BOOK 01
誰の中にもそれぞれの「登山」があるかもしれない
『本当の登山の話をしよう』
服部文祥著
deco
¥2,090

「本当の登山の話」とは、何が書かれているのか。ティム・オブライエン著『本当の戦争の話をしよう』の影響を受けているのは明らかだ。サバイバル登山家として活躍する著者の30年に及ぶ登山人生でたどり着いた登山論のようなものかと本を開く。そこには著者の「登山とは何か」があった。
本書は’97〜’25年にさまざまな媒体に寄稿した作品を集めた22篇の短篇集だ。登山にまつわる話とその他のテーマが半々。話題は色んな方向へいったり、繰り返したりもするが、根底には同じものが流れている。あと数年で還暦を迎える著者の学生時代は誰もがヒマラヤを目指したとき。著者もより高みへ垂直へと進み、K2(世界で2番目の高峰)の頂にも立った。だがそんなガチガチの装備に支えられた山登りの時期は過ぎて今は現地調達で山に入る。
山野井泰史、星野道夫、フリチョフ・ナンセン、デルスー・ウザーラ、ウォルター・ウェストン。著者を形作った数々の生き方も紹介する。なかでも「今思い出しても、これほど面白いページを作れたことがない」と自賛する和田城志へのインタビューは、確かに際立っていた。本当の登山の話。著者にとっては登山だったが、我々の中にもそれぞれの「登山」があるのだろう。
BOOK 02
命を繋ぐ36術。自然遊びが生きる力になる
『超図解 災害サバイバルガイド 72時間生き抜くためのTKB』
進士 徹著
農文協
¥1,650

TKBとはトイレ、キッチン、ベッドのこと。排泄、食事、睡眠。この3つの確保は災害発生直後を生き抜くために欠かせない命綱だ。地震や津波といった脅威を掻い潜りせっかく生き延びたにもかかわらず、TKBが整わないために病気を患い落命に至ることが少なくない。本書は自然体験活動で得た知恵をサバイバル術に応用したアイデア集。トイレの作り方などを図解で示し、すぐに実践できるようになっている。本当の意味で生き抜く力とは、サバイバル術を身につけることではない、と著者はいう。自然のなかで五感を磨き、仲間と協力すること、工夫しながら生きることなのだと。災害は忘れたころにやってくる。さあ、備えよう。
※構成/須藤ナオミ
(BE-PAL 2026年4月号より)







