
頭から西の地平線に突っ込むしし座
夏至が近いこの季節は、東京では日没が19時近くで薄明が20時頃まで残ります。まだちょっと薄明が残るころ、西の空を見ると、しし座が沈もうとしています。薄明が終わるのは21時ころです。
しし座は東の空に昇ってくるときはガーッと吼えんばかりの勢いを感じますが、西の空に傾くと、頭からすごすごと沈んでいきます。獅子の表情の変化も楽しんでください。
さて6月の半ば、しし座の1等星レグルスに火星が接近しています。火星が西の方からレグルスに接近してきて、17日〜18日は1度以内まで接近します。それ以降は火星がレグルスの東のほうへ移動していきます。

どちらも明るさは1.4等くらいで、ほぼ同じ。火星は赤く、レグルスは純白です。レグルスは「獅子の心臓」とも呼ばれます。この時期だけ心臓が紅白のふたつに増えたように見えるわけです。
西に春の、東に夏の大三角がそろう空
この季節は春の星座と夏の星座の入れ替え時期でもありますが、春の大三角と夏の大三角が共存する時間帯があります。

(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)
西に傾いた春の大三角の形はまた一段と大きく見えるでしょう。昇りたての夏の大三角は、わし座のアルタイル、こと座のベガ、はくちょう座のデネブ。初々しく輝いています。
また、南の空、低いところでは、すでにさそり座がハサミをもたげています。さそり座は夏の早い時期に見ごろを迎え、この時期でも深夜0時を過ぎると西に傾きます。
梅雨の晴れ間は、雨で大気中のチリが洗い流され、空がスッキリときれいです。5月の晴天を「五月(皐月)晴れ」と呼びますが、これは元来、旧暦の5月で、現在の6月のこと。つまり「五月晴れ」とは梅雨の晴れ間のことでした。貴重な「五月晴れ」の夜は、西の空も東の空もしっかり観察してください。
構成/佐藤恵菜
