
北斗七星が空高く昇る季節を迎えました。日本では七つ星、柄杓などの呼び名で親しまれてきました。漫画『北斗の拳』でも有名な北斗七星の由来を、ちょっとだけ紐解いてみましょう。
中国から伝わった「北斗」。英語ではBig Dipper
6つの2等星と1つの3等星からなる北斗七星。あまりに目立つゆえ、世界各地でさまざまな見立てをされています。
日本で親しまれている北斗七星という呼び名は中国から伝わってきたものです。「斗」はもともと柄杓を表わす漢字です。アメリカではBig Dipper(大きな柄杓)と呼ばれることもあります。古今東西、水を汲む道具は重宝されたことがうかがわれます。ほかにも荷車、神様の乗り物といった見方もされてきました。

『北斗の拳』の死兆星は実在の星
中国の道教では、北斗七星は神格化されて「北斗星君」と呼ばれていました。人の生死や死後の世界を決める神、死を司る神と見られていたようです。
漫画『北斗の拳』には「死兆星」という星が登場します。この星が見えたら死が近い……という不吉な星でした。中国の古い星図では「輔星」(ほせい)という名で記されている実在の星です。現在の恒星名「アルコル」のことだと考えられます。上の図のミザールの連星、見えれば視力のよさの証明になるような小さな星です。
昔の天文書『晋書天文志』には、北斗七星が明るいときは王様が強いが、輔星が明るくみえるときは下剋上が起きると記されています。そうした不穏な気配が輔星にあったのでしょう。
日本では「七つ星」と呼ばれますが、七は日本人好みの数かもしれません。中国でも偶数より奇数が有り難がられるようですが、もっとも有り難い数は一番大きな奇数の九です。
そのため、北斗七星もできることなら北斗九星にしたいと思ったとしても不思議ではありません。そんなときは輔星もカウントされていたと考えられます。
死を司る北斗七星に対し、生を司る星々が「南斗六星」です。夏の星座、いて座の一部です。

九州では柄杓で水をくむおおぐま座が見られる
北斗七星のある星座はおおぐま座です。北斗七星の柄杓の線を使った北極星の探し方はよく知られたところですが、北極星がある星座はこぐま座です。
北極星の近くを回っているので、北半球における北斗七星は24時間365日、ほぼ地平線下に沈むことはありません。とはいえ緯度が下がれば、一部が地平線下に隠れます。
日本では九州以南に行くと、柄杓の杓の部分が地平線下に沈む時期があります。

見ようと思えば一年中見られる北斗七星ですが、やはり見ごろは春です。キャンプなどで暗い場所に行ったら、ミザールとアルコルの二重星が肉眼で見えるかどうかトライ。もし見えたら、いて座の南斗六星も忘れずに観察しましょう。
構成/佐藤恵菜





