
今年4月、宇宙飛行士4人を乗せた宇宙船「オリオン」が、54年ぶりに月への接近飛行を成功させたニュースは世界を沸かせました。今回はアルテミス計画と月のお話。地球からは見ることのできない月の裏側からの画像も紹介します!
日本も参画している「アルテミス計画」って何?
アルテミス計画はアメリカが主導する国際宇宙探査計画で、1972年のアポロ17号以来となる有人の月面着陸を目指し、さらに月での長期滞在を通して持続的な月探査を行なうことを目的としています。
今年4月のアルテミス計画第2弾「アルテミスⅡ」では、有人飛行で月に接近し、折り返して帰還することに成功しました。つまり54年ぶりに人類が月の裏側を肉眼で見たことになります。
また、宇宙船オリオンは4月7日に地球から距離40万6771kmの高さに達し、アポロ13号の40万171kmの記録を塗り替えました。オリオンの乗務員は人類史上もっとも遠くに行ったのです。


1960〜70年代のアポロ計画は、アメリカと旧ソ連の覇権争いの性格が強く、有人の月面着陸へのインセンティブが働いたのですが、アルテミス計画はそれとは異なります。アメリカ主導ではありますが、日本を含む世界中の宇宙機関や企業も計画に参加。月に行って帰ってくることが目的ではなく、将来的に月に基地を建設して資源の研究や開発するための調査を目的にしています。遠い将来、人が住むことも視野に入っているのです。
「アルテミスⅡ」は月の裏側の映像や最遠記録などの話題を提供してくれましたが、何より宇宙探査への希望を広げてみせてくれました。計画が順調に進めば、日本の宇宙飛行士も宇宙船に搭乗、月面着陸する予定になっています。こちらもワクワクしますね。
月の裏側にウサギがいないわけ
ところで、なぜ地球から月の裏側が見えないのでしょうか。それは月の自転と公転が完全に同期しているからです。そのため月はいつも地球に同じ面を向けているのです。いろいろな条件がありますが、地球と月のようにある程度距離が近い惑星と衛星に見られる現象です。木星の衛星イオ、土星の衛星イアペタスも同期しています。
さて、月の裏側の様子は表とはかなり違います。

私たちが見慣れている表側と比べると、全体に白っぽく見えますね。黒く見える「海」と呼ばれる部分が少なく、よってウサギもいません。
理由は、常に地球を向いている表側は地球の引力の影響を受け、火山噴火が多発したからと考えられます。噴火で流れ出た溶岩が冷えて固まった部分が、黒っぽく見える「海」です。
一方、裏側は火山活動が少なく、噴火も少なかったと考えられます。海がないので白っぽく見えますが、大小たくさんのクレーターで覆われています。
月の地表は表側も裏側も「レゴリス」と呼ばれる砂で覆われています。岩石が砕かれ微粒子レベルまで細かくなった砂です。
地球にも細かい砂ばかりの土地、砂漠があります。雨が降らず、風でひたすら擦れつづけて細かくなった砂が堆積しています。月の場合、大気はありませんが太陽風や宇宙線の影響で砂は細かく砕け続けます。隕石の影響もあるでしょう。月表面には水がありません。砂は何億年、何十億年、ひたすら砕け続けるのみ。そうして微粒子レベルまで細かくなった砂がレゴリスです。
月に住むなら北極か南極
将来的に人間が月に住むことは、今やSFの世界ではありません。では月の表側と裏側、どちらが住みやすいのでしょうか。
地球との通信のしやすさを考えると表側です。月の裏側に入ると地球との交信が難しくなります。今回の「アルテミスⅡ」でも、宇宙船が月の裏側を回る約40分間、地球との交信が遮断しました。
気候的にはどうでしょうか。大気のない月は裏も表も寒暖差が激しい過酷な地です。表も裏も大差ないでしょう。
基地を造る際に重要になるのは水源の確保と考えられます。現在、月の南極と北極付近に氷の存在がわかっています。基地建設候補地としていずれかの極地が挙げられます。
熱源資源はとしては、太陽光発電一択になるでしょう。ソーラーパネルは置き放題。風がないので置くだけでOK。一日の半分は必ず太陽の方を向き、雨の日も曇りの日もないので毎日着実に発電できます。まだまだ先の話になりそうですが、月面基地の話題もワクワクしますね。
最後に、今月も月と金星が接近します。最接近は19日、月齢2の三日月とマイナス4等の金星の共演をお楽しみください。

構成/佐藤恵菜





