誌面に収まりきらなかった貴重なインタビューの一部を動画でもご紹介していますので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。
世界でもっとも先鋭的なクライミングに対して贈られ、「登山界のアカデミー賞」と称されるピオレドールを2度受賞した中島健郎さんが、未知・未踏にこだわる理由
探検家・関野吉晴さんが、時代に風穴を開けるような「現代の冒険者たち」に会いに行き、徹底的に話を訊き、現代における冒険の存在意義を問い直す──BE-PAL4月号掲載の連載第33回は、アルパインクライマー・中島健郎さんです。
「僕自身は冒険をしているつもりはない。自分は冒険家じゃない」という中島さんの登山のどういったところが冒険的なのか、関野さんが迫ります。
関野吉晴/せきの・よしはる
1949年東京都生まれ。探検家、医師、武蔵野美術大学名誉教授(文化人類学)。一橋大学在学中に探検部を創設し、アマゾン川源流などでの長期滞在、「グレートジャーニー」、日本列島にやってきた人びとのルートを辿る「新グレートジャーニー」などの探検を行なう。
中島健郎/なかじま・けんろう
1984年奈良県生まれ。石井スポーツ所属。 関西学院大学山岳部在籍中に3度の海外遠征を経験し、未踏峰2座の登頂に成功。近年、新ルートから挑戦したシスパーレ北東壁とラカポシ南壁の登攀でピオレドールを2度受賞。山岳カメラマンとしても活躍を続けている。
学生時代の初海外も未踏峰への挑戦だった
関野 昨年夏にはパキスタンのティリッチミールの未踏の北壁の初登攀に成功しました。学生時代の初めての海外遠征も未踏峰への挑戦でした。未踏へのこだわりが強いのですか?
中島 学生のときは、海外にどんな山があるのかすら知りませんでした。未踏峰があると聞いてとても驚き、ぜひ挑戦したくなりました。ネパールのパンバリヒマール(6887m)という山なのですが、有名な山より登れるか登れないかわからない山のほうが面白そうだと思いました。どうせ行くなら面白い登山をしてみたかったんです。翌年も、後輩とふたりでネパール東部に位置するディンジュンリ(6196m)という未踏峰に挑戦しました。簡単な山ではありませんでしたが、2人だったからスピーディーに登りきることができ、こういう登山も面白いと手ごたえを感じました。やっぱり、人が入ったことのない山、記録がない山は面白いんです。
関野 そのように未知に挑むのが冒険的な行為なのだと思います。誰かがすでに登っていれば、「ここはこうしたほうがいい」といったアドバイスがもらえてしまいます。でも、未踏だともらえない。自分の経験や創意工夫を思いきり発揮できます。
中島 自分の目で見て自分で判断するしかありません。それが純粋に面白いですね。真っ白い目で山を見て、「どこから登ろうか」というところから始まります。誰も登ったことのない山に、自分が登りたいラインを引けるんです。
この続きは、発売中のBE-PAL4月号に掲載!
公式YouTubeで対談の一部を配信中!
以下の動画で、誌面に掲載しきれなかったこぼれ話をお楽しみください。