山菜は身近にある天然食材
山菜とは、野山や水辺に自生する、食べられる植物のことです。意識して目を配ってみると、山菜が身近な場所にひっそりと葉を伸ばしているのを見つけられます。
雪解けとともに山菜の旬が始まる
山菜は一年を通して収穫できますが、旬はやはり、多くの植物が芽吹く春です。至る所で若芽が育ち、さまざまな種類の山菜を楽しめます。
特に、森の中は山菜の宝庫です。キャンプやハイキングに行った際には、山菜採りを満喫してみてはいかがでしょうか。
山菜にも野菜に負けない栄養があります。近年では栽培されている山菜も多く、スーパーに並べられることも増えました。
「山菜を見分けられるだろうか?」と不安な場合は、販売されている山菜から、その姿や味を覚えておくのもよいでしょう。
春に見つかる山菜の種類
春の山菜として、タラノメ・ユキノシタ・コシアブラ・ツクシ・ゼンマイ・ワラビの6種類を紹介します。自生地や下ごしらえのコツについて、詳しく見ていきましょう。
タラノメ
『山菜の王様』とも呼ばれるタラノメは、タラノキの新芽です。タラノキは太陽の光を好むため、森の端や林道沿いで見つけられます。
タラノメには雌雄(メダラ/オダラ)があり、食用には幹や枝にとげの少ないメダラが向いています。根元部分にある『はかま』と呼ばれるガクを包丁で切り取り、約10分間水にさらしてアクを取りましょう。
比較的アクが少ないため、天ぷらや炒め物など、油を使う料理にはそのまま使って問題ありません。気になる場合は、軽く塩ゆでします。
ユキノシタ
丸く広がる葉とくっきり浮かぶ白い葉脈が美しい、観賞用としても人気の植物です。半日陰になる森の奥や、湿気が多くこけむした岩場などに自生します。
葉が柔らかいため、若芽も大きく育ったものも食べられます。食べごろは春先ですが、葉が次々と生えてくるため、観賞用であれば年間を通じて楽しめるのが特徴です。
表面の細かい産毛にホコリがからまりやすいため、よく水洗いして汚れを落としましょう。生のままだとやや青臭いため、塩ゆでしておひたしにしたり、天ぷらにするのがおすすめです。
コシアブラ
苦味とほのかな甘み、爽やかな香りが特徴で、『山菜の女王』とも呼ばれています。葉が開いていないか、開いたばかりの若芽が収穫時です。
コシアブラの木は全国の森林に自生していて、早春に若芽を付けます。収穫したコシアブラの若芽は、根元の『はかま』を取り除いて下ごしらえします。
アクは強くないため、天ぷらや炒め物なら水洗いのみで大丈夫です。おひたしや煮物に使う場合は、たっぷりの湯で好みの食感になるまでゆでましょう。
ツクシ
ツクシは野山だけではなく、田畑の近くや土手などにも生える山菜です。散歩コース沿いは避け、人や動物が分け入らない場所で収穫した方がよいかもしれません。
茎が太く穂先が詰まっていて、はかま同士の間隔が狭いものほど、新鮮な風味を感じます。ただし、少し苦味があるため、苦手な人は胞子が散った後の穂先が開いたものを選ぶとよいでしょう。
下ごしらえははかまを取り、途中で何度か水を替えながら、約1時間水にさらします。おひたしや卵とじなど和風レシピのほか、煮付けて洋風レシピの付け合わせにも合います。
ゼンマイ
全国各地の野山に自生し、独特な渦巻きが特徴的な山菜です。地中から10~20cmほど伸びて、綿毛を被ったままの葉が開いていないものを選びます。
タラの芽と同じく雌雄があり、女ゼンマイ・男ゼンマイと呼ばれます。食用に向いているのは女ゼンマイで、男ゼンマイより表面がつるりとしており、茎がやや太めです(上の写真は男ゼンマイ)。
下ごしらえは、まず綿毛を取り除いて水洗いします。沸騰させた湯に重曹または木炭を混ぜ、ゼンマイを入れて再沸騰する直前まで加熱しましょう。
火を止めてから完全に冷めるまでそのまま置き、その後水を取り替えて一晩以上浸しておきます。ゼンマイはアクが強いため、しっかりアク抜きしてから調理しましょう。
ワラビ
ワラビは、草地の日当たりのよい場所に群生しています。葉は山菜として、でんぷんの多い根はワラビ粉として食べられます。
葉がくるりと巻いた若芽が収穫時です。根元から上へ指を滑らせるようにして、軽い力でちぎれる部分で収穫します。芽を出したばかりの、茎が太いものが柔らかく食べやすいでしょう。
ワラビもアクが強いため、アク抜きが欠かせません。やり方はゼンマイと同じで、重曹または木炭を入れて沸騰させたお湯に入れ、再沸騰したら火を止めて冷まし、きれいな水に一晩さらします。
自宅でもキャンプでも!おすすめの山菜レシピ
自宅はもちろん、アウトドアでも作れる、編集部おすすめの山菜レシピを紹介します。山菜のおいしさを堪能できる、ちょっとした調理のコツを覚えておきましょう。
山菜おこわ
材料(2人分)
- 下ごしらえの済んだ山菜 適量
- もち米 1合
- 米 0.5合
- 油揚げ 適量
- ニンジン 30g
- (A)和風だし汁 250cc
- (A)しょうゆ 大さじ1
- (A)酒 小さじ2
- (A)砂糖 小さじ1
- (A)塩 ひとつまみ
作り方
- もち米と米を合わせて洗米し、1時間以上吸水させる
- 油揚げは油抜きして短冊切りにし、ニンジンは千切りにしておく
- メスティンや鍋に1と2、また(A)の調味料を全て入れる
- 強火にかけ、沸騰したら弱火にして約8分炊く
- 火を止めて10分以上蒸らし、フタを開けて軽く混ぜる
米にしっかり吸水させることで、もちもちとした食感になります。アウトドアでは和風だし汁の代わりに、手軽な顆粒だしがおすすめです。
山菜の天ぷら
材料
- 下ごしらえの済んだ山菜 適量
- 市販の天ぷら粉 適量
- 水 適量
- 揚げ油 適量
作り方
- 山菜の水分をよく切っておく
- 天ぷら粉を分量通りの水で溶いておく
- 1を2にくぐらせ、180℃に熱した油で揚げる
あっさりとした山菜は、天ぷら料理と相性抜群です。カリッと揚がった熱々の状態で、抹茶塩や山椒塩を付けて食べましょう。
ユキノシタのような薄い葉は、天ぷら粉を片側だけに付けて、さっと揚げるのがおいしく仕上げる秘訣です。
山菜調理におすすめの調理器具
山菜調理に便利な調理器具を、人気ブランド『Snow Peak(スノーピーク)』『トランギア』から2点紹介します。幅広い調理に活躍する、使い勝手のよさが魅力です。
Snow Peak(スノーピーク)「アルミパーソナルクッカーセット」
約148×80mmのLポットと、約126×76mmのSポット、各フタが4点セットになったクッカーです。4点全てをスタッキングできるため、コンパクトに収納できます。
例えば、Lポットでおこわを炊いている間に、Sポットで山菜の天ぷらを作ることもできます。そのまま食器としても利用できるサイズで、ミニマルキャンプにもぴったりです。
- 商品名:Snow Peak(スノーピーク)「アルミパーソナルクッカーセット」
- 公式サイト:商品はこちら
スノーピーク
アルミパーソナルクッカーセット
サイズ:Lポット/φ148×80mm フタL/φ155×36mm Sポット/φ126×76mm Sフタ/φ132×32mm 収納サイズ:φ155×100mm 重量:500g 容量:1,150ml(Lポット)、800ml(Sポット)、550ml(フタL)、350ml(フタS)
トランギア「ラージメスティン」
熱伝導率の高いアルミ製のため、満遍なく加熱でき、おこわもムラなく炊き上がります。軽量で持ち運びやすく、調理の幅が広いため、人気を集めるメスティンの一つです。
ラージタイプは約3.5合まで炊けるので、ファミリーキャンプにも対応できます。鍋と違って四角いため、散らかりがちなカトラリーの収納ケースとしても便利です。
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- 商品名:トランギア「ラージメスティン」
- 公式サイト:商品はこちら
まとめ
自分で採った山菜の味は格別です。必要な分だけを摘むことで、翌年もおいしい山菜を山の恵みとしていただけます。
山菜採りを始めるなら、さまざまな種類の若芽を味わえる春がおすすめです。なじみのあるツクシ・ゼンマイ・ワラビのほか、山菜の王様・女王と呼ばれるタラノメ・コシアブラも旬を迎えます。
天ぷらやおこわなら、アウトドアでもそう難しくはありません。アクが強いものもあるため、下ごしらえの方法もしっかり頭に入れておきましょう。