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    2025.07.15

    日本百名山・霧ヶ峰で夏の鳥ノビタキに会おう!オス、メス、幼鳥も写真で紹介

    日本百名山・霧ヶ峰で夏の鳥ノビタキに会おう!オス、メス、幼鳥も写真で紹介
    夏の鳥「ノビタキ」の魅力をご紹介します。『昆虫記』でファーブルも触れているようにヨーロッパでも身近な鳥。オスは顔の黒色で覚えておくと、すぐに見分けることができますよ。

    冒頭の写真はヨツバヒヨドリに止まって辺りを警戒するノビタキのオス。

    絶景すぎる夏の霧ヶ峰とビーナスライン

    車山肩
    最盛期を迎えた霧ヶ峰高原のニッコウキスゲ。高原の草花は写真中央の電気柵によってシカの食害から保護されている。

    筆者が初めて霧ヶ峰を訪れたのは1990年代の初め頃。大学のゼミの合宿の下見の時に霧ヶ峰を貫いて走る「ビーナスライン」を友人とバイクで走りました。どこまでもなだらかに続く緑の丘の絶景に感激して、ヘルメットの中でずっとニヤけ顔でいたことを思い出します。

    白樺湖と美ヶ原を結ぶ観光道路・ビーナスラインは、標高1600m~2000mの高原を眺めながらドライブが楽しめる道として人気があり、車もバイクも風景を味わうようにのんびりと走っています。実は霧ヶ峰も美ヶ原も日本百名山に数えられる名峰ですが、樹木が少なく、広大な草原が広がる風景が特徴です。

    主役は「顔黒」のノビタキとそのファミリー

    夏の高原の主役とも言えるノビタキ。「顔黒」のオスはすぐに見つかる。観察していると巣のそば、あるいは巣立ちした幼鳥の近くにいて、常に我が子を見守っていることがわかる。

    7月中旬の霧ヶ峰は、そんな高原を鮮やかな橙色で彩るニッコウキスゲやコバイケイソウの真っ白な花が見頃を迎えています。こうした高原の花々や植物には野鳥の餌となる昆虫が集まるためノビタキやホオアカ、アオジなどが多数繁殖していて、関東や関西などから多くの野鳥愛好家が集まる人気の探鳥地になっています。


    特に個体数が多いのはノビタキです。日本では夏鳥として知られ、全長は約13センチ。オスは頭と上面の翼が黒いのが特徴です。『昆虫記』を著したファーブルが、幼い頃にノビタキの巣を捕って教会の司祭に諭されたエピソードを覚えている方もいるのではないでしょうか。

    ノビタキはジョウビタキやルリビタキなどと同じく体重が軽いので、小さな花や葉の先端にちょこんと止まることができ、そんな姿がカメラマンの格好の被写体になっています。

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    ニッコウキスゲの蕾に止まって親鳥を待つノビタキの幼鳥。

    運が良ければニッコウキスゲの花の上で、ノビタキの給餌の場面に遭遇するかもしれません。親鳥を今か今かと待つ幼鳥を見つけたら、遠くから静かにその瞬間を待ってみましょう。給餌の他に、水浴び後の羽繕いや幼鳥同士のじゃれ合いなど、見ていて飽きません。

    親鳥(メス)から餌をもらうノビタキの幼鳥。親鳥に甘える幼鳥の鳴き声が高原のあちこちから聞こえてくる。

    ニッコウキスゲの群落がおもに見られるのは、おもに車山肩と富士見台というポイント。7月の上旬から中旬にかけてビーナスライン沿いの駐車場からなだらかな丘を歩いて上がるとすぐに絶景が展開します。

    シカの食害から高山植物を守るため電気柵が設けられていますから、遊歩道沿いに敷設されている電線に触れないよう注意しましょう。

    ノビタキの幼鳥の横で囀るホオアカ(左)。高原随一の美声の持ち主だ。
    時折、上空を猛禽類のノスリがゆったりと舞う姿が見られる。

    ヤナギランとノビタキとのコラボも楽しめる八島湿原

    8月に入るとピンク色のヤナギランが咲き始める。八島湿原は木道が整備されているので野鳥や植物の観察がしやすい。

    霧ヶ峰エリアを代表する探鳥地といえば、八島湿原もおすすめです。長い年月を経て泥炭層が蓄積して形成された高層湿原で、木道が整備された平坦な遊歩道を歩けば、約90分で湿原を一周することができます。

    木道を歩いていると「ジャッ、ジャッ」とノビタキの声が聞こえてきます。繁殖期は4月下旬から9月まで。初秋にはレンゲショウマやシシウド、ワレモコウなど、可憐な植物とのコラボも楽しめます。10月には南方の東南アジアなどへ向けて旅立ちます。

    緑に映えるヤナギランの花。ここでもノビタキの幼鳥は目立つ場所で親鳥の帰りを待つ。
    巣立ち後の幼鳥にクモやバッタを与えるノビタキのメス。幼鳥が独り立ちするまでの親鳥は大忙し。

    特にヤナギランの群落が点在する湿原の南西部は林縁部にも隣接していて、ノビタキやホオアカなどの草原性の野鳥の他にカッコウやアオジ、ノスリなども見られます。ちなみに、湿原一帯もシカの侵入を防ぐ柵や通電している電気柵が設けられています。

    早朝4時半ごろの霧ヶ峰、車山肩駐車場。花の開花時期は早めに到着したい。

    ニッコウキスゲやヤナギランなどの花が見頃となる7月~8月の霧ヶ峰高原の道路は混雑します。車山肩や八島ヶ原湿原の駐車場は朝8時には満車になる程です。

    そんな時期は夜半から早朝に到着できるように出発し、トイレもある駐車場で夜明けを待つのもおすすめです。朝食や昼の行動食は霧ヶ峰の最寄りの諏訪インター付近のコンビニ等で用意しておくとよいでしょう。

    中村雅和さん

    野鳥好き編集者

    幼少期から生き物や鉄道に親しむ。プロラボ、住宅地図会社の営業マン、編集プロダクション、バス運転士、自然保護団体職員などを経てフリーの編集者に。

    アクセス
    新宿から特急「あずさ」「スーパーあずさ」で上諏訪駅まで約2時間30分。
    名古屋方面から特急「しなの」で塩尻駅まで2時間、中央本線に乗り換え上諏訪駅まで約20分。
    上諏訪駅からは、白樺湖・車山高原・霧ヶ峰線路線バス(アルピコ交通)を利用し約40分、車山肩下車。

    車の場合は、中央道諏訪インターチェンジから県道40号線、霧ヶ峰インターチェンジ経由で車山肩へ。諏訪インターから約30分。

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