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    2022.10.20 #北インド・ラダック〜デリー1800キロ悪路旅山本高樹

    豊かな水と緑に恵まれているトゥルトゥクの村。

    バルティスタンの王朝の栄華が残る村

    ラダックの北に広がる渓谷地帯、ヌブラの西の果てに、トゥルトゥクという村があります。インドとパキスタンの間の暫定国境線からわずか10キロほどの場所にあるこの村は、2010年頃まで外国人の立ち入りは許可されていませんでした。

    この一帯は、パキスタン北部までまたがるバルティスタンと呼ばれる地域で、住民のほとんどは、バルティと呼ばれるイスラーム教徒です。ラダック人に比べるとエキゾチックな顔立ちの人が多く、色とりどりの布地で髪を覆った女性たちの美しさには、思わずはっとさせられます。

    鳥の木彫のインパクトが強烈な、夏の離宮の入口。

    このトゥルトゥクには、かつてバルティスタンを統治していたヤブゴ王朝の王族が用いていた夏の離宮の邸宅が、今も残っています。整備・改装されて現在は博物館として公開されているこの夏の離宮を、訪ねてみました。

    シックな彩りの木細工が巡らされている吹き抜け。

    ヤブゴ王朝にまつわる武具や装身具などが展示されている。

    台所には石鍋や金属製の壺や食器が残されている。

    夏の離宮といっても、建物自体はそれほど巨大なものではありません。ただ、緻密な木細工が施された吹き抜けや、ヤブゴ王朝に代々伝わる武器や装身具、タペストリーなど、往時の栄華を偲ばせるものが数多く残されていて、博物館としてもなかなか見応えがあります。

    離宮の壁に描かれた、ヤブゴ王朝の家系図。

    ヤブゴ王朝の末裔、ヤブゴ・ムハンマド・カーン・カチョさん。

    ヤブゴ王朝の末裔の老紳士に出会う

    夏の離宮の博物館では、一人の老紳士に出会いました。ヤブゴ・ムハンマド・カーン・カチョさんは、ヤブゴ王朝の末裔にあたる方なのだそうです。彼が英語を交えながら説明してくれたヤブゴ王朝の成り立ちは、少なくとも7世紀以前に遡るといいます。途方もない歴史の積み重ねの一端が、この辺境の小さな村に今も残されていたことに、本当に驚かされました。

    私が書きました!
    著述家・編集者・写真家
    山本高樹
    1969年岡山県生まれ、早稲田大学第一文学部卒。2007年から約1年半の間、インド北部の山岳地帯、ラダックとザンスカールに長期滞在して取材を敢行。以来、この地方での取材をライフワークとしながら、世界各地を取材で飛び回る日々を送っている。著書『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』(雷鳥社)で第6回「斎藤茂太賞」を受賞。最新刊『旅は旨くて、時々苦い』(産業編集センター)発売中。

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