撮影する場所を決めたら、三脚を設置し、すべてをマニュアルモードにしたカメラをセットしましょう。最初にピントを合わせます。ファインダーをライブビューモードにして、金星などの明るい星や、はるか遠くにある街灯の光などを、カメラを動かして液晶モニタの中心に表示させます。それを拡大表示させながら、ピントリングを調節して、できるだけくっきりと見えるようにピントを合わせます。一度ピントを合わせ終わったら、ピントリングには触らないようにします。ピントリングをテープで軽く固定してもOKです。
その他のカメラの設定としては、レンズの絞りは開放のままで。ホワイトバランスは好みにもよりますが、意外とオートでもいけますし、RAWで撮影しておけば後からでも調整できます。オーロラ撮影の設定でキモとなるのは、シャッター速度とISO感度の組み合わせです。オーロラをより明るく写そうとしても、シャッター速度が遅すぎると、オーロラの動きが速い時にうまく捉えきれません。またISO感度が高すぎると、カメラによってはノイズが増えすぎて画質が落ちてしまいます。オーロラの光の強さにもよりますが、僕自身の経験では、ISO感度は1600か3200で。シャッター速度はレンズの絞りがf4の場合、5秒から20秒の間で調整しています。 最適な設定はオーロラの状況によってもまちまちなので、実際に何枚か撮りながら、自分好みの設定を見つけましょう。
オーロラが現れはじめたら、構図を決めてカメラを固定し、あとはオーロラの動きに合わせて少しずつカメラの向きを調整したり、あえて動かさずに連続撮影したりしていきます。余裕が出てきたら、時々はピントや設定を確認して、肝心な時に失敗しないように注意しましょう。
撮影を終えた後に、屋外で冷え切ったカメラを急に暖かい室内に持ち込むと、結露によって動作不良を起こす場合があります。密閉できるカメラバッグにしまったり、空気を抜いたポリ袋に入れたりしてから、徐々に室温に戻すようにすると安心です。
さて、今回のトロムソ滞在では、オーロラ・ウォッチング・ツアーに参加するチャンスが2回ありました。まず初日に参加したのは、郊外のキャンプ地でオーロラを待つ、滞在型のツアー。この日は最初のうち雲が多くて、ツアーの参加者たちも半ばあきらめ気味でした。 ところがそのうち、雲の切れ間が多くなってきたので、試しに三脚にカメラを据えて、大きなテント越しに北の空を撮ってみると、ごくうっすらとですが、オーロラの気配が……!