大きなパンプキンの下で。ロサンゼルス郊外の「馬の町」を見下ろすハイキングに行ってきた | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

海外の旅

2026.10.25

大きなパンプキンの下で。ロサンゼルス郊外の「馬の町」を見下ろすハイキングに行ってきた

大きなパンプキンの下で。ロサンゼルス郊外の「馬の町」を見下ろすハイキングに行ってきた
この記事の原稿を書いているのは10月中旬なのですが、年中温暖な南カリフォルニアで多少なりとも「季節感」というものを感じられるといえばこの時期です。

月末のハロウィンに向けて、町のあちこちではカボチャを地面に並べた「パンプキン・パッチ」が開かれます。カボチャをくりぬいてお化けの顔を作る「ジャック・オー・ランタン」を玄関の前に置く家も増えていきます。

今回紹介するのはロサンゼルスから東へ車で1時間ほどのノーコ(Norco)という町。ここには、ふだんは閑散としているのに、ハロウィンが近づく季節だけ急に賑やかになるトレイルがあります。

その名もずばり、パンプキン・ロック・トレイル(Pumpkin Rock Trail)。丘の上にある巨大なカボチャが目印です。

カボチャは一般的には野菜として扱われますが、植物学的には果実に分類されるそうです。むろん、このトレイルにあるのは野菜でも果物でもありません。大きな岩全体がジャック・オー・ランタン風に塗られているのです。ハロウィンになると多くの人が訪れるわけは明白ですね。

とはいえ、私は空いているところが大好きなへそ曲がりな人間ですので、そう聞けばハロウィンの時期にはここには近づこうとも思いません。それでも都合の良いことに、このカボチャ岩はハロウィンの季節もそれ以外の季節も、1年中同じ姿で丘の上からノーコの町を見下ろしています。クリスマス・ツリーとは違うのです。
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くねくねしていても迷いようがない道

パンプキン・ロック・トレイル(Pumpkin Rock Trail)。

そのようなわけで、このパンプキン・ロック・トレイルに、私は9月5日に行ってまいりました。まだまだ暑く、秋の気配などは微塵もないころです。

狙い通り、トレイルはとても空いていました。無人とまではいきませんが、10分に1回くらい人とすれ違う程度です。

南カリフォルニアのトレイルはたいていがこんな感じなのですが、視界を遮る高い木があまりありません。ここでも丘陵地を登っていくコースがはるか遠くまで見渡せ、その上には例のカボチャ岩がちょこんと乗っています。

アントニオ猪木さんの名言とは多少異なり、この道を行けばどうなるものか、という不安感はそこにはありません。迷わず行けよ、行けばわかるさ、と励まされるまでもなく、一歩を踏み出す前から進むべき道ははっきりと分かっているからです。

え~、あそこまで登るの? きつそうだなあと思う人もなかにはいるかもしれませんが、まあ行けば何とかなります。またもやアントニオ猪木さんの名言を引用すると、元気があればなんでもできるのです。

トレイルヘッドからカボチャ岩までは約2㎞。やや傾斜が険しくなる部分はあるものの、家族連れでも気軽に登ることができるハイキングコースです。犬を連れて散歩していた人もいました。

コースの難易度より、注意するべきは天候でしょう。この日もそうでしたが、南カリフォルニアでは夏が終わった後も、あるいは夏が始まる前でも、気温が摂氏30度を超えて、しかも乾燥している日が珍しくないからです。上の写真で分かる通り、トレイルに日陰はほとんどありませんので、水分補給と日焼け防止の対策は必要です。

カボチャ岩は終点ではなかった

カボチャ岩。

お目当てのカボチャ岩に到着すると、やはり冗談抜きにデカイです。遠くからは風船みたいに見えましたが、手が触れる近さから見上げると、むしろ大きな壁のようにさえ感じます。

よくもまあ、これだけの大きさの岩を塗りつぶしたよな、と妙なことに感心しました。お化け顔の表面だけではなく、裏側までしっかりと色がついているのです。しかも、こんな高いところ。ペンキだかスプレーペイントだか分かりませんが、ここまで大量の塗料を持ってくるだけでも大変だったはずです。

登ってきて初めて分かったことなのですが、周囲にはカボチャ岩のほかにも同じくらい大きな岩があちこちに転がっていました。こんな砂漠のような地面に大きな岩がぼこぼこできるのは不思議ですよね。きっと地質学的な説明はできるのでしょうけど、無学な私にはまったく見当もつきません。

そしてカボチャ岩は終点ではありませんでした。町から目立つ場所にあるため、ここがゴールのように思えますが、トレイルはさらに丘の上へと続いていたのです。

カボチャ岩からさらに上へ登るトレイル。

ほかにも絵や文字が描かれている岩がたくさんありました。公的に認められたアートなのか、それとも無許可の落書きなのかは、ちょっと見には分かりません。もっとも、「○○命」とか「喧嘩上等」みたいにふざけたものは見当たらず、平和への祈りとか神への感謝とかを記したものが多い印象を受けました。その点は都会の落書きとは一味違います。

丘から見下ろす「馬の町」

話の順番が逆になりましたが、このトレイルがあるノーコという町は「Horsetown USA」、つまり「アメリカの馬の町」を自称しています。高速道路から降りると、そう書いた大きな看板が目に入ります。道路の横には未舗装の乗馬道があり、商店街の駐車場には馬をつなぐためのスペースが設けられています。住宅地には馬小屋や馬場を持つ家屋が並んでいます。

ノーコ市中の大通り。

このカボチャ岩を目指すトレイルにも、登り始めるとすぐのところに馬のオブジェがいくつも飾られていました。等身大なのかどうかは分かりませんが、かなりリアルに大きなものです。

そもそも、トレイルヘッドはジョージ・イングルス・エクエストリアン・イベント・センター(George Ingalls Equestrian Event Center)という大きな馬術イベント施設の隣にあるのです。その日は、会場でロデオの準備が進められていました。競技に使われる馬や牛がつながれているのも目にしました。

トレイルヘッド付近。

私の目にはアメリカの郊外住宅地はたいていが無個性的に映ります。南カリフォルニアはとくにそうかもしれません。

高速道路を降りると広い駐車場を備えたショッピングセンターがあり、全国チェーンのお店が目立ちます。日本にもあるマクドナルドとかスターバックスとか、その類ですね。住宅地に入ると、同じような大きさの同じようなスタイルの家屋が並んでいます。

裕福な町とそうでない町では、道路や建物の見た目が多少異なりますが、その成り立ちは金太郎飴的に似通ったものです。

そんななか、馬というものが日常の一部に溶け込んでいるノーコという町は、たいへん珍しい存在であるように思います。

ノーコ市内の交差点。ショッピングセンターの駐車場に馬を繋ぐ柵がある。

ロサンゼルスから車で1時間ほどの距離に、こんなユニークな町があるとは、意外に思う人もいるのではないでしょうか。私は思いました。

巨大なカボチャ岩を目指して丘を登り、ハイキングの行き帰りには町の中で馬を見かける。そんな少し変わった休日の過ごし方もアリではないでしょうか。

ノーコ公式ウェブサイト:
https://www.norco.ca.us/

著者画像

角谷剛さん

米国在住ライター(海外書き人クラブ)

日本生まれ米国在住。米国で高校、日本で大学を卒業し、日米両国でIT系会社員生活を25年過ごしたのちに、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。日本のメディア多数で執筆。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」(https://www.kaigaikakibito.com/)会員

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