有名なものだと富山の黒部湖。東京周辺なら奥多摩湖、相模湖、狭山湖などがあります。そして「発電」「水資源の確保(飲み水や工業用水)」「治水(洪水防止)」など用途は様々ですが、そのほとんどが谷をせき止めてつくった「ダム湖」です。
ところがドイツには巨大な人造湖なのにダム湖ではないものがあります! 谷をせきとめたのでないとしたら、さてどうやってつくられたのでしょう?
どうも、オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
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【柳沢有紀夫の世界は愉快!ドイツ・ブランデンブルク州編3】
首都ベルリンから車なら2時間、鉄道なら2時間半のゼンフテンベルクという人口約2万3000人の小さな町。ここに周囲10キロメートル以上といったかなりに広大な湖が10個ほど集まるエリアがあります。
しかもここ、今リゾート湖として開発が進められていて、新たな「アウトドアアクティビティの楽園」と注目を集めています。このあたりは日本の人造湖でもよくあるバターンですね。
それで問題は「この人造湖群がどのようにつくられたか」ですが…答えをすぐに明かしてしまってはつまらない。そこでその一つである「ゼートリッツァー湖」で楽しめる数々のアウトドアアクティビティを紹介しながら、ヒントを出していきましょう!
いきなりの絶景が楽しめる「鉄の塔」
このリゾートのシンボルとなっているのが「ロースティガー・ナーゲル」という展望塔。ドイツ語で「錆びた釘」の意味です。


高さ27メートルのところにある屋上というか展望エリアへ階段で登れるのですが、灯台などと違って「外階段」なので景色を眺めながら進めます。
ちょっと憎い演出なのが外階段は「森」側にあって、屋上展望台に着くまで「湖」はまったく目に入らないこと。


この森、実はシカやイノシシだけでなくてオオカミまでいるほど自然が豊かです。
さてこの展望塔の名称は先ほど書いたように「錆びた釘」。その名のとおり「鉄」でできています。その「鉄」がこの人造湖の元の姿と深くかかわっているというのが最初のヒント!
「あっ、わかった!」と「スーパーひとし君」を立てようとした、そこのあなた! 早いとこ、しまってください! 正解が「鉄鉱石の採掘場」だったら、「ヒント」どころか「ネタバレ」じゃないですか!
そう、「鉄」はただのヒントです。でもかなり大きなヒントです!
EVじゃなく蒸気機関車の謎
さてこのあたりに広大な人造湖が10個あると書きましたが、今のところそのうち5つが「水路」でつながっています。そしてゆくゆくは10個すべてをつなげる計画なのだとか。
つながっているということはボート遊びの際、広大な「湖水上」だけでなく狭い「水路」を通ることも可能ということ。


さらにユニークなのは水路の中には「道路下」をトンネル状にくぐるものもあること!


「水路」だけでなく「陸路」のほうも充実しています。湖のまわりをグルッと一周するサイクリングコースがあり、全長は18キロメートル。
また遊園地やテーマパークにあるロードトレイン(線路ではなく道路を走る蒸気機関車)の大型版もあります。

人が多い遊園地内をぶつからないようにのんびり走るのではなく、大自然の中を時速25キロメートルで走ります。これがまたちょうどいい爽快さ! 1周2時間かかり、途中2ヵ所で休憩します。
ただこれを見て「なんでここで蒸気機関車やねん!」とツッコミを入れた方もいるかもしれません。「最新のリゾートだとしたらEV車かハイブリッドだろう」と。
で~も。この蒸気機関車、この場所の元々と姿と大きく関係しているのです! これがヒント第2弾!
黒い湖水の謎
「ゼートリッツァー湖」には長く伸びた桟橋もあります。

そしてみなさん、お気づきになったでしょうか!

これを見て私は「はは~ん、なるほど。ここが元そういう場所だったことの何よりの証拠だっ!」と鬼の首をとったコナン君のように案内してくれた人に指摘しました!
でも返ってきた答えは「いや、鉄分が多く含まれているからですよ」。ついたあだ名が「頭は5歳くん」の私、毛利探偵並みに瞬殺されました。
でも今のがヒント第3弾です!

ところで湖のアクティビティーとして「釣り」も挙げられますよね。ところが現在はまだ禁止なのだそう。
その理由は湖としてはまだまだ新しくエコシステムが確立しなくて、魚の数も充分ではない。つまりはサステイナブルではないからです。もちろんエコシステムが完全に確立したら釣りの許可も出るだろうとのことでした。
いよいよ、この湖の「元の姿」が暴かれる!笑
さて、この人造湖は元々なんだったのか。3つの大きなヒントを出しました。「鉄と関係する」「蒸気機関車と関係する」「湖水の黒っぽい色と関係する(これは実際には私の勘違いでしたが)」。
もう自信満々でスーパーひとし君を出そうとしている方もいらっしゃるに違いありません。
そう、「製鉄の際に使われる」「蒸気機関車の燃料」「黒い色」とくれば、石炭ですね。そう、ここは「炭鉱」だったのです!
とコナンくんばりに自信満々に力説してもポカ~ンとされている方も多いかもしれません。「石炭の坑道が…なんで湖になるの?」と。
日本の炭鉱は基本的にはトンネル状ですよね。地底まで下がるエレベーターもあったりしますが。
ところが海外では地面からガシガシ掘っていく「露天掘り」ができる炭鉱もあるのです! そしてここは掘り終えた露天掘りの炭鉱の跡なのです!
ここからちょっと力説させてください! 周囲につくられたサイクリングコースが18キロメートルと書いたように、この炭鉱跡、本当に巨大なものでした。しかも今の湖の深さが60メートルですから、当時もそのくらいの穴があったはず。
で、そこをそのまま放置するのではなく「自然に戻そう」と考えたのです。いや、単に「自然に戻す」だけでなくビーチやサイクリングコースや展望タワーや小舟の停泊所を作り、「自然を楽しめる」場所にしたのです! アウトドア好きが集まるリゾートに「進化」させたのです!
水は近くを流れる河川から引いてきたり、地下水を入れたり。2005年頃からスタートさせて、目標としていた今の水位に達したのか2025年。なんと20年もの長い年月をかけたのです!

木々が藻などに絡まってしまう前に引き上げているとのこと。「注水する前にやっとけよ~」と一瞬思ったのですが、よくよく考えたら不安定な斜面にクレーンを入れるより湖水上のほうが安定していますよね。
「廃墟や跡地の再開発」というと日本では「商業施設」や「リゾートホテル」が多いですよね。でも「自然に戻し、さらにはそれを楽しめる場所」にするというチャレンジも素敵です。
しかも20年以上の大計画! 頭が下がります。
【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら!
ドイツ観光局
https://www.germany.travel/en/campaign/german-local-culture-jp/home.html
ゼートリッツァー湖
https://www.lausitzerseenland.de/de/die-seen/artikel-sedlitzer-see.html





