推しはトビハゼとまぐろ丼! 葛西臨海水族園のディープエリアに行ってきた | 日本の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

日本の旅

2026.10.20

推しはトビハゼとまぐろ丼! 葛西臨海水族園のディープエリアに行ってきた

推しはトビハゼとまぐろ丼! 葛西臨海水族園のディープエリアに行ってきた
鈴木みきさんの連載「都立公園が好き!」の第7回目。葛西臨海公園内にある都立の水族館「葛西臨海水族園」を訪れたみきさんは、目玉のクロマグロ水槽を早々にあとにして、奥のほうの「東京湾」のコーナーへ向かった。そこには、瓶をすみかにするイダテンギンポ、壁を登るトビハゼ、水をきれいにするアサリ……など、地味だけど愛嬌のある生き物たちが待っていた!
Text

谷口吉生氏設計のガラスのドームがお出迎え

「葛西臨海公園」「葛西海浜公園」ときたら、「葛西臨海水族園」。

厳密には「都立公園」ではありませんが、ここを外すなんて私にはできません!臨海公園内にありますし、同じ「都立」ですから兄妹みたいなものです。

オープンは、1989年10月10日。臨海公園・海浜公園の開園から数か月経ってからでした。当時私は高校生で憶えてはいませんが、卒業後に葛西の専門学校に通ったので、初めて訪れたのはその時のクラスメイトたちとだったのを思い出しました。もちろんデートで行ったことありますよん♪(いつ、誰とだったかは忘れましたけど…)

そんなこと知らんがなですね。気を取り直して入園しましょう~!
大人700円(都立ありがたい)。
アプローチからわくわくしますね。
知らなければ水族館には見えません。
それもそのはず、「ガラスドーム」の設計は、
「MoMA」の新館や「GINZA SIX」を手がけた谷口吉生氏。
エントランスを入ると海と空しかない空間。
展示室は地下です。
エスカレーターで、さながら海へ潜っていくよう。
出迎えてくれたのは竜宮城…
かと思うような「サンゴ礁の海」の水槽
そして、葛西臨海水族園の顔、
ドーナツ型の水槽「大洋の航海者マグロ」水槽を見下ろします。
目の前を横切っていくのは「アカシュモクザメ」。
英名「ハンマーヘッドシャーク」のほうが有名かな?
「撞木(シュモク)」は鐘を鳴らす「木槌」、英名は「ハンマー」、
名前の由来になったものにお国柄が出てて面白いですね。

30数年続くクロマグロ展示に涙する

同じ水槽には、「葛西臨海水族園といえば!」の「クロマグロ」も泳いでいます。

遊泳し続けるクロマグロの群れを水族館で展示したのは、ここ葛西臨海水族園が世界で初めて!今現在も、群れで展示しているのは唯一なんですって。

10年ほど前に相次いでクロマグロが死亡してしまうというニュースを憶えている人は多いと思います。私も心配していたひとりでしたが、ご覧のように今は群れで泳いでいる姿を見ることができます。(2028年のリニューアルを見据えて新たな個体の導入をしていないため、数が少しずつ減っているとのこと)

こんなに大きくてメカみたいなマグロたちですが、実はとてもとても繊細な生き物なんだそうです。かつての残念な出来事を乗りこえ、今まで30年以上、私たちにマグロの生態を見せ続けてくれているのは、紛れもなく高い飼育技術を持っている水族園だからこそ。その裏でどれだけのご苦労があるかと思うと、私は感動して50歳を過ぎてゆるくなった涙腺が刺激されてしまうのです。

大喜びの子供たちより大きいクロマグロ。

ゴミやアマモと暮らす東京湾の魚たち

マグロをはじめ、人気の水槽のことは、きっと様々な場所で紹介されていると思うのでこの辺で割愛させていただき、今回わたしが注目した水槽に行ってみましょう。

順路の最終章にある、「東京の海」エリア。

この「東京の海」エリアでは、伊豆七島や小笠原諸島の色とりどりの生き物たちに目を奪われがちですが、私が注目したのは「東京湾」のコーナーです。

今回はここに来る前に「葛西臨海公園」と「葛西海浜公園」で、東京湾の変遷や生き物についてたくさん知ることができました。とはいえ、水中や砂のなかにいるものに関しては、そのための準備をして技術や知識を身に付けないと実物を見るのは難しいところがあります。(私に限っていえば、まずは水と親しむところから始めないとなりませんし…ね)

やはり、文字や写真から得られることには限界があるんですよね。

「本で読んだ、図鑑で見たもの」が生きて目の前に現れた瞬間に、バババ~ッと一気に理解できたり、逆に、見たあとに説明を読むとスルスルッと頭に入ったりします。「百聞は一見にしかず」これは私が大事にしている言葉です。

苦労せず誰もが「本物」を見ることができるというのが、「~園」や「~館」の偉大さであり、重要な役割を担っていますよね。大好きです。

東京湾の運河を模した水槽。
ビンや缶、プラスチック容器などが沈んでいます。
あ、イダテンギンポが瓶のなかに隠れている!
かわいらしいけど、切ない現実です。
アマモの水槽。干潟近くの海域に生える「アマモ」、
全国的に天然の「アマモ場」は、もう貴重なそうな…。
小魚や赤ちゃんイカなどが隠れて育つ場所でもあり、
水質浄化やCO2を吸収する効果もあり、再生を試みている場所が増えているみたい。

「推し」のトビハゼ。分布の北限が東京湾

そして、ここ!

ここには私が「推し」たい、キュートな生き物がいます。

どこにいるでしょう?分かるかな?
パッと見が地味すぎるな(笑)
いましたよ。「トビハゼ」です。

埋め立てや水質汚染で一時は激減していましたが、今では意外と身近に荒川の河口付近や、隣県の干潟で見かけることもできるそうです。「葛西海浜公園」だと「東なぎさ」(一般の人は立ち入り禁止)に生息しているとのこと。見てください、この愛嬌のある顔♡

全身ソトに出ていますが、スズキ目ハゼ科のれっきとした「魚」です。

朝鮮半島、中国、台湾、日本の干潟に生息していますが、東京湾岸のトビハゼが分布域の北限なんですって。それなら温暖化で住みやすくなっているんだろうかと安直に考えましたが、調べてみると干潟の泥の乾燥化(固まってしまい巣が掘れない)や、植物が繁茂しやすくもなる(干潟ではなくなる)ため、数を増やすこととは直結していませんでした。環境のバランスって本当に難しいですね。

お腹にあるヒレが吸盤状になっていて、
葦や壁にもよじ登れます。
水族園生まれのトビハゼもいました。
ついでに…これが「江戸前」でおなじみのウナギです。
こちらはアナゴ…
高級寿司店に行く前はこんな姿です。

キャットウォークからバックヤードを観察

「東京の海」エリアに来たら、見逃してほしくない場所があります。

水槽の上を歩ける「キャットウォーク」です。

ここに上るとガラスなしで水槽を上から見ることができるだけでなく、飼育員さんしか入れないバックヤードも見ることができます。子供より大人のほうがワクワクするエリアかもしれません。

「東京の海」エリアの両端に階段があるよ。
水槽の水を循環させたり、満ち引きを調整したりする
特殊な設備も公開されている。

「キャットウォーク」の通路にも、学校の教室にあったような水槽があり、おもに干潟の生き物が近くで観察できます。小指の先にも満たない小さな生き物を探して、食い入るように水槽に張り付いていると、なんとも懐かしい気持ちになりました。

居場所の整備に忙しいトサカギンポは見ていて飽きない。
これはアサリの濾過機能を見せる実験水槽。
植物プランクトンで濁った水が……
1時間後に再訪したら透明になっていた!
アサリ、お前ってやつは!すごいんだな!
アマモにしがみついてフワフワ~と揺れるサンゴタツに癒される。
なんとも不思議な姿かたちの生き物。
どれが生き物か、分かったら通です。
オオワレカラ。
「軟甲綱」という、エビやシャコ、フナムシなどと同じグループ。

秋になるとオオサマペンギンが登場する

生まれたときから見てきた東京湾、なんなら「汚い」とまで思ってきましたが、こんなにたくさんの面白い生き物が住んでいるだなんて。かつて干潟の埋め立てに異議を唱えた人たちは、きっとこれを知っていたんだろうなぁ。自分たちのことしか知らないって、こわいことです。

私好みの地味な生き物が続いたので、最後は外のエリアに出て、水族園のアイドルを見に行きましょう。

潮の満ち引きを再現している「渚の生物」エリア。
満潮時と干潮時の差を比べるとおもしろいですよ。
いつ行っても大人気の「しおだまり」コーナー。
磯の生き物に触れることもできます。
おばちゃんも触りたいのだが、未来ある子供に譲る。
まだ何がいるのか見れたことがない(笑)
アイドル登場!

マグロのイメージが強い「葛西臨海水族園」ですが、ペンギンの数もペンギン展示場の広さも国内最大級!のびのびとすごしているペンギンを観察することができます。

この時期は、フンボルトペンギン、ミナミイワトビペンギン、オウサマペンギン、フェアリーペンギン、4種類のオールスターズが出揃っていました。南極周辺の出身のミナミイワトビペンギンとオウサマペンギンは暑さに弱く、夏の間は外に出ていないんです。ペンギンを見に行くならこれから春までがおすすめですよ。

愛嬌たっぷりの動きがなんともいえません。
南極周辺出身のオウサマペンギンと、比較的温暖なチリ沿岸出身のフンボルトペンギンが
一緒に泳いでいるのを見られるのは水族園ならでは。
水中のペンギンも見ることができる。
ツバメの滑空のごとく、ピューッと泳ぐ。
陸上にいるより機敏でかっこいい。

マグロは見てよし、食べてよし

これだけ楽しんだらお腹も空きます。

水族園内にレストランがありました。魚を見たあとに魚を食べるのは忍びない気もしますが、それも勉強です。人間が生きていくための必須科目です。さて、なにをいただこうかしら。

1階にあるレストラン「シーウィンド」。
広い!テラス席もありましたよ。
スキー場にあるような、セルフサービススタイル。

私がチョイスしたのは「まぐろ丼」。

「MSC認証」を受けたマグロを使っているということで選びました。

最近スーパーでも時々見かける「MSC認証」マーク。これは「海洋管理協議会(MSC)」が、「持続可能な漁業」によって獲られた水産物であることを認めたという印。つまり、獲り尽くすようなことはせず、環境にも配慮した漁で獲ったものですよということ。

さっきまであれだけ生きている姿を見てきましたからね、せめてね、そうさせてくださいという気持ち(笑)。いやでも冗談は抜きで、そういった自然に配慮したものを選んでいくことを、もうすでに問われている時代になっているんだろうな。

マグロもさることながら、ごはんが酢飯だったのが個人的にポイント高し。
ボリュームもあって美味しかったです。ごちそうさまでした。

ミュージアムショップで“負け戦”に挑む

大満足で水族園を去ろうかという直前、わかっちゃいましたが、絶対にあるんですよ。ギフトショップが。

ミュージアムショップ大好き人間。痛手を負わずに出てくることは不可能でしょう。でも喜んで負け戦に突っ込もうではありませんか!負けるが勝ちです。いざ!

レストランのとなり、ギフトショップ「アクアマリン」。
水族園の正門近く(改札外)にもありますよ。
一番人気は「クロマグロのぬいぐるみ」だそう。
マグロをぬいぐるみにするなんて、ここだけの発想ですよ!
ペンギンたちもあります……(気絶)。
かさりん(葛西臨海水族園)オリジナル商品がほかにもたくさん!
どうしよう~

様々な趣味嗜好の方がいる街中では逆に見つけられないグッズばかり。

「さかなくん」みたいな子が来たら歓喜して泣いちゃうかもですね。「おやまさん」の私ですら目移りして、しまいにはぬいぐるみを買うか買わないか葛藤し、抱きかかえたまましばらく固まっていましたから。

実際のたまごを参考にデザインした「ウミガラスのたまご」(中身はボーロです)は4色展開。
マニアックすぎる(笑)

アサリの水鉄砲(スポイト式)…。どんな人が買うんだ?

はーい!私です。
オウサマペンギンのヒナも…買っちゃいました!

2年後にリニューアルオープン

実は、今年で開園から37年の葛西臨海水族園が、再来年2028年にリニューアルします。

その全貌はまだ公開されていませんが、現在新しい建物を建設中です。新しくなにか目玉を増やすというよりも、いま飼育されている生き物たちがよりイキイキと過ごせる施設になる予定だとか。すごく楽しみですね!

どんな建物になるかな。情報公開を待たれたし。
思い出がある人は今のうちに訪問してみては。
帰りの京葉線ホームからのガラスドーム。
暗くなるまで楽しませてもらいました。

「臨海」「海浜」「水族園」、すべて見て回るなら早朝から出動することを強く推奨します。久々の葛西は、学びの場でした。ぜひお出かけください。

・「クワイエットアワー」

BGMを消し、来場者も静かに楽しむ日。「しずか」を楽しんでね。

隔月第二火曜日開催 13:00~16:30 (次回11月10日)

葛西臨海水族園

JR京葉線:「葛西臨海公園」下車、徒歩5分
都営バス:東京メトロ東西線「西葛西」「葛西」から「葛西臨海公園」下車、徒歩5分
東京水辺ライン(水上バス)は運航休止中

著者画像

鈴木みき

イラストレーター

1972年東京生まれ。イラストレーター、執筆家、防災士、ウィメンズヘルスアドバイザーⓇ。24歳のときに訪れたカナダで山旅の魅力にはまり、帰国後に自ら登山専門誌の取材同行モデルに応募し本格的に登山をはじめる。山小屋やスキー場のアルバイトをしながら、全国の山に取材に出かけイラストや山行記を雑誌に寄稿。コミックエッセイ『悩んだときは山に行け!』(平凡社、2009年)以降、山に関する著書を多数出版。近著に『キャンプ気分ではじめる おうち防災チャレンジBOOK』(エクスナレッジ、2023年)、『知っている山からはじめよう! 大人の日帰り登山』(講談社、2024年)、『更年期の歩き方――アラフィフ山女子、不調と向き合う』(講談社、2026年)。国内外での登山ツアーの企画同行、講演、メディア出演なども行っている。

あわせて読みたい

いま都立公園のすごさを伝えたい! まずは武蔵国分寺公園に行ってきた【鈴木みき「都立公園へ行こう!」1】

いま都立公園のすごさを伝えたい! まずは武蔵国分寺公園に行ってきた【鈴木みき「都立公園へ行こう!」1】

“あの最高峰”の前に古墳に登頂! 戸山公園は都電駅からの寄り道がおもしろい【鈴木みき「都立公園へ行こう!」2】

“あの最高峰”の前に古墳に登頂! 戸山公園は都電駅からの寄り道がおもしろい【鈴木みき「都立公園へ行こう!」2】

「そのとき」はあっけなくやってきた! 戸山公園“山手線の内側最高峰”登頂記【鈴木みき「都立公園へ行こう!」3】

「そのとき」はあっけなくやってきた! 戸山公園“山手線の内側最高峰”登頂記【鈴木みき「都立公園へ行こう!」3】

ここはホントに新宿!? ワイルドな自然と団地のギャップに萌える戸山公園【鈴木みき「都立公園へ行こう!」4】

ここはホントに新宿!? ワイルドな自然と団地のギャップに萌える戸山公園【鈴木みき「都立公園へ行こう!」4】

葛西臨海公園の「覗き窓」で水鳥のありのままの姿にドキドキする!

葛西臨海公園の「覗き窓」で水鳥のありのままの姿にドキドキする!

「葛西海浜公園を端から端まで歩いてみた」鈴木みきさん、東京唯一のラムサール条約湿地で野鳥とたわむれる

「葛西海浜公園を端から端まで歩いてみた」鈴木みきさん、東京唯一のラムサール条約湿地で野鳥とたわむれる

NEW ARTICLES

『 日本の旅 』新着編集部記事

推しはトビハゼとまぐろ丼! 葛西臨海水族園のディープエリアに行ってきた

2026.10.20

「葛西海浜公園を端から端まで歩いてみた」鈴木みきさん、東京唯一のラムサール条約湿地で野鳥とたわむれる

2026.10.18

断面映えする絵柄が出現!房総半島で見つけた郷土料理「太巻き祭り寿司」ってなに?

2026.10.15

「丹波栗」を求めて北へ。鬼伝説で知られる大江山連峰トレイルを歩いた

2026.10.13

妻籠宿・馬籠宿 東と西の分水嶺を歩く

2026.10.11

アウトドア旅の拠点・越後湯沢駅で見つけた大人のテーマパーク「ぽんしゅ館」の魅惑っぷりを語りたい!

2026.10.09

葛西臨海公園の「覗き窓」で水鳥のありのままの姿にドキドキする!

2026.10.07

【宝満山】福岡屈指の人気低山・宝満山の麓の隠れ家的酒場は下山後の一杯に外せない店!

2026.10.04