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港湾局が管理する海上公園
長い間てっきり「葛西“臨海”公園」の一部だと思っていましたが、公園のランドマークのひとつ「渚橋」(正式名称:葛西渚橋)からは「葛西“海浜”公園」、別の公園だということを今回はじめて知りました。橋を隔てて2つの公園があるというのもめずらしいのではないでしょうか。訪れたことがあるみなさん、知っていましたか?(葛西臨海公園と渚橋については連載第5回を参照)
マニアックなことをいうと、ほとんどの都立公園を所管しているのは「東京都建設局」なのですが、臨海エリアなどの海水域にある公園の一部は「東京都港湾局」の所管になるんですって。「港湾局」が所轄・管理する公園は「海上公園」とも呼ばれ、文字からも想像できるように海水域が公園にあるというのが特徴です。



東京湾にかつてあった砂浜を再生
「葛西海浜公園」は2つの人工的に造られた砂浜(なぎさ)からなる公園です。「臨海公園」と陸地では繋がっておらず、細長い2つの島が浮かんでいるように見えます。橋を渡った先にあるのが「西なぎさ」、もう片方の「東なぎさ」は野鳥保護エリアのため立ち入りできません。

公園が造られた経緯は「臨海公園」と同じですが、とくにこの「なぎさ」は、かつて東京にあった自然の海岸の再生を目指して造られました。今ではなんと「ラムサール条約」に登録されているというからビックリ。ダブルで知らなかった。いいサプライズです。

東京で唯一のラムサール条約湿地
よく耳にするけど知っているようで知らない「ラムサール条約」。おさらいしますと、正式名は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といいます。この条約にある国際ルールを守ることを約束した国が、条件を満たした湿地を登録し、法的に維持・管理していきます。日本では54か所の湿地が登録されていて、葛西海浜公園は2018年に都内で初めて登録されました。いま現在も都内唯一の「ラムサール条約湿地」です。こりゃ、都民として誇りに感じずにはいられませんね。

登録条件のひとつ「定期的に2万羽以上の水鳥がやってくる。または特定の鳥の『世界全体の個体数1%』がその場所に集まっていること」をクリアしたんですって……。なんと、これから冬にかけて2万羽以上の渡り鳥がここにやってくるらしいですよ……。これはにわかバードウォッチャー、必ずまた来なければ。

それだけの鳥が来るのなら、その鳥たちの餌となる生き物もいるということ…。つくづく、どんどん、目の前の景色が尊く感じてきます。一時は人がここにいた生き物の住む場所を奪い、汚染した環境を、また人の手で再生できたということに希望をおぼえました。やればできることなんですね、こんなことが。長きに渡り尽力された方々に感謝です。

江戸前の魚貝が獲れた砂州
「ラムサール条約湿地」に登録されている範囲は、東西なぎさから沖合2キロ先まで及びます。荒川と旧江戸川の河口に挟まれた葛西沖は浅くて広い「砂州」になっています。名前の由来はいくつかありますが、昔からこの葛西沖の砂州を「三枚州」と呼んでいたそうです。固有名詞がつくほど特別な場所だったのかもしれませんね。かつてはウナギやハゼ、佃煮に加工する子魚、ハマグリ・アサリの漁、そして海苔の養殖も盛んだったということ。「江戸前」ってやつですね。



私も裸足で歩いてみたい…と思ったのですが、なにせ海(水)がちょっと苦手。厳密にいうと「濡れたところを素足で歩くのが苦手」なのかな(自分でもよく分かりません)。しばらく「素直な欲求」と「生理的な感覚」とを戦わせましたが、靴下を脱ぐ勇気が足りませんでした。暑いくらいの絶好のお天気だったのに不甲斐ない。

シャワー完備なので(みなさんは)是非とも裸足になってください!

この日も平日にかかわらず多くの釣り人がいました。

「端まで歩きたくなる病」発症
海が苦手と言っても、見るのは大好きです。山や森より波辺を歩くほうが爽快で開放的な気分になります。この日は新たに加わった楽しみ、鳥類園にはいなかったシギ類やウミネコを時々双眼鏡を覗きながら、西なぎさの端から端まで歩きました。




ちっちゃい、かわいい、いそがしい。

向こうはディズニーランド、こっちは野鳥保護ランド。


(ひとりふたり同じ病の方とすれ違いました)



残念なことに東京に本来あった自然な海岸線は残っていません。
「たられば」を言うつもりはありませんが、タイムスリップして江戸時代の漁業が盛んだった東京湾を一度見てみたいものです。湾岸だけでなく、川の護岸工事が進む前は今より沿岸の住民は水害に悩まされていたでしょう。でも、こうした砂浜や干潟は高波や津波の消波機能も果たします。昔の開発は、なにかを得るためになにかを失ってきましたが、近年は、なにかを失っても取り戻さないといけないものもあるような、そんなことを考えながら蘇った葛西沖を眺めました。


「SUMMER VACATION おしあわせに」の文字。

こういう楽しいこと、忘れていたな。
夏の終わりの海は、ちょっと「祭りのあと」みたいな、まだ楽しみたい人の傍らで片付けが始まっている感じ。それが私には居心地がよかったです。海は夏だけじゃないですね。
これから例の、世界が認める渡り鳥で賑わうシーズンがやってきます。ぜひお出かけください。


海浜公園の生き物についての展示室になっています。


これがピーク時(12月~2月頃)には2万羽以上、
東アジア地域にいる個体数の2%が飛来するらしい…すごそう。

さて、ここまで来たら「あそこ」に寄らずに帰ることはできません。
次回は「葛西臨海水族園」です。お楽しみに。

JR京葉線:「葛西臨海公園」下車、徒歩11分
都営バス:東京メトロ東西線「西葛西」「葛西」から「葛西臨海公園」下車、徒歩11分
東京水辺ライン(水上バス)は運航休止中




