いきなり底をゴツン!アメリカ・ユタ州モアブのスティール・ベンダーは最後まで気が抜けない | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

海外の旅

2026.10.07

いきなり底をゴツン!アメリカ・ユタ州モアブのスティール・ベンダーは最後まで気が抜けない

いきなり底をゴツン!アメリカ・ユタ州モアブのスティール・ベンダーは最後まで気が抜けない
巨大な岩の上を走り、モアブらしい風景を楽しめるフィンズ・アンド・シングスやヘルズ・リベンジ。それに対して、今回挑戦したSteel Bender(スティール・ベンダー)は、ひと味違うトレイルです。

岩場を越えたと思えば砂地へ。木々の間を抜けたと思えば、今度は浅い流れを渡ります。景色も路面も次々と表情を変えるので、「次は何が待っているんだろう」とワクワクする一方、最後まで気が抜けません。

2026年4月のモアブ旅を締めくくったのは、全員にとって初めてのコース。愛車のRZRで、本格オフロードのスティール・ベンダーへ出発します。
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↓前回の記事はこちら

「地獄の復讐」という名の絶景トレイル!アメリカ・ユタ州のモアブの荒野を走る | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

仲間と走る、モアブ旅の最終日

今回のモアブ旅は、ティーンエージャーの子ども2人を含む10人で始まりました。最終日は学校の都合でひと家族が先に帰路につき、残った7人でトレイルへ向かいます。

私たち夫婦は、ダウンタウン・モアブまで歩いて行ける宿に泊まりたい派。夕食と一緒にお酒を楽しんでも、歩いて帰れる安心感があるからです。

一方、仲間たちは町から少し離れた一軒家に滞在していました。そこでこの日は早朝、広い駐車スペースのある仲間の宿に集合します。

Airbnbで借りた宿の前に並ぶ、仲間たちのオフロード車。
出発前、RZRにガソリンを入れて準備する夫。

まずは出発前の準備から。燃料を補給し、タイヤや車体を確認します。わが家のオフロード車は、ポラリス社製の2人乗りRZR。モアブの荒野を何度も一緒に走ってきた、頼もしい相棒です。

旅の最終日ですが、最後まで気分は本番そのもの。なにしろ、これから挑むのは全員にとって初めてのトレイルなのです。

名前からして手強そうな「スティール・ベンダー」

夫婦2人で走るときは、すでに経験のあるトレイルを選ぶことがほとんどです。初めての場所へ行く場合も、崖っぷちが続くなど、私たちにとって難易度が高すぎるコースは避けています。

けれど、経験のある仲間と一緒なら、少し難しいトレイルにも挑戦できます。前を走る車から路面の状態や安全な走行ラインを確認でき、難所では車を降りて互いに誘導できるからです。

赤茶けたモアブの砂岩と、手前に広がる緑の植物のコントラスト。
平坦なダートロードを進んだ先で、荷物と地図をもう一度確認。
スマートフォンにダウンロードしておいた地図を確認する仲間。

今回のコース名は、Steel Bender。直訳すれば「鋼鉄を曲げるもの」。名前の正確な由来は確認できませんでしたが、いかにも頑丈な車で挑みたくなる響きです。

私たちが愛用している地図アプリ「onX Offroad」では、難易度は10段階中7と表示されています。大きな岩や段差、急な上り下りが続き、車の性能だけでなく、運転する人の判断も試されます。

「これは手強そうだな」と思っていたら、その予感はスタートしてすぐに的中しました。
ゴツン。車体の底が岩に当たり、座席のシートを通して衝撃がお尻まで響きます。

平坦なダートロードに、少し油断していたら……。
「いきなりこれ!?」思わず身構える幕開け。
前を行く車の傾きやタイヤの位置を観察し、いよいよ次は私たちの番。

その後も、深い溝や大きな段差が次々と現れます。岩場を抜けると砂地になり、木々の間を走った先では浅い流れへ。スティール・ベンダーは、荒々しい岩だけでなく、モアブの多彩な地形を一度に味わえるトレイルでした。

岩場を上り切り、振り返った先に広がる景色。

「お尻が痛い!」全身で感じるスティール・ベンダー

「このトレイル、どうだった?」と聞かれたら、まず思い浮かぶのは、とにかくお尻が痛かったことです(笑)。

写真では、坂の角度や路面の凹凸が実際より穏やかに見えてしまいます。私は助手席に座っているだけですが、岩を一つ越えるたびに車体が跳ねたり傾いたり。その衝撃を全身で受け止めます。

途中で昼食休憩を取り、体を休めてから再び先へ進みました。

ランチはサンドイッチ。ときどき口の中で砂ぼこりがガリッ。
傾斜がきつくなると、車内にいるのは少し緊張。私は助手席を降りて撮影係に。

毎回のことですが、ドライバーって本当にすごいなと感心します。どの岩にどのタイヤを乗せるか。段差へどの角度で入るか。車体の底を岩に当てず、横へ傾きすぎないラインはどこか。

夫は目の前の地形を読みながら、ハンドルとアクセルを慎重に操作します。運転技術も頭もフル回転です。

途中、メキシコから来たというオフロードの一行に出会いました。かなり経験を積んでいるようで、難所では車を降り、タイヤを置く位置や進む方向を身ぶりで教えてくれます。そのアドバイスに助けられ、無事に通過できた場所もありました。

国も言葉も違う人同士、荒野の中で生まれたちょっとした交流。
アドバイスを受けながら難所を上り切り、今度はUターンして下りに挑戦する仲間。

荒野では、初対面でも自然に声を掛け合います。難所の先に危険がないか伝えたり、車に異常がないか確認したり、無事に越えれば手を振って喜んだり。携帯電話がつながりにくい場所も多いからこそ、そこにいる人同士で助け合う安心感があります。

難しいコースを走る面白さは、車の性能を試すことだけではありません。仲間と知恵を出し合い、一台ずつ安全に進んでいく。その時間も、オフロード旅の大切な一部なのだと思います。

この日も上空にはワタリガラス。モアブ旅の相棒です。

長年の相棒と走る、最後のトレイル

onX Offroadに表示されるスティール・ベンダーの走行時間は約3時間。ただし、走る人数や路面の状態によって所要時間は変わります。私たちは難所での待機や昼食休憩を含め、半日ほどかかりました。

最初に上ってきた“お尻が痛い”岩場を、今度は下りでゴツン、ゴツン。

初めてのトレイルを無事に走り終え、翌朝10時にモアブを出発。ソルトレイクシティ近郊の自宅まで、およそ5時間の帰路につきました。車内では早くも、次のモアブ旅の話が始まっていました。

そして、ここで読者のみなさんに一つお知らせがあります。わが家の2人乗りRZRで走る旅をBE-PALでご紹介するのは、今回が最後です。

何度見ても心ひかれる、モアブの赤茶色の岩肌とコロラド川の風景。

仲間と一緒に出かけるようになり、4人乗りRZRの安定感や使いやすさを実感する機会が増えました。そこで私たちも、次の一台へ乗り換えることにしたのです。

これまで家族のように旅をしてきた2人乗りRZRは、夫が隅々まで丁寧にメンテナンスし、新しいオーナーのもとへ旅立っていきました。

数え切れないほどの岩を越え、砂ぼこりを浴び、ときには今回のように車体の底をゴツンと打ちながら、いつも無事に私たちを連れて帰ってくれた相棒です。少し寂しさはありますが、冒険はまだ続きます。

国道191号線からアーチーズ国立公園を横目に眺めながら、帰路へ。

次回からは、新しくわが家の一員になった4人乗りRZRで出かけるオフロード旅をご紹介しますね。

著者画像

トロリオ牧さん

アメリカ・ユタ州ライター

2001年渡米、ユタ州ウチナー民間大使。アメリカでスーパーの棚入れ係やウェイトレス、保育士など、様々な職種を経験したあとアメリカ政府の仕事に就く。政府職員として17年務めるが、パンデミックをきっかけに「いつ死んでもOK!な生き方」を意識するようになり2023年辞職。夫婦でRVキャンプを楽しむのが最高の癒やし時間。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。「海外書き人クラブアウォーズ2026」グランプリ受賞。

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