綿由来のビールが誕生! オーガニックコットンブランド「プリスティン」がなぜビールを造るのか | サスティナブル&ローカル 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2026.09.21

綿由来のビールが誕生! オーガニックコットンブランド「プリスティン」がなぜビールを造るのか

綿由来のビールが誕生! オーガニックコットンブランド「プリスティン」がなぜビールを造るのか
オーガニックコットンブランド「プリスティン」を手がけるアバンティが、2026年9月14日に30周年を迎えました。そんなバースデーをお祝いするのにぴったりなビールが、創業日に発売されました。なぜ、衣料品を手がけるアバンティがビールを造るのか、そして、どんなビールなのかご紹介します。
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国産綿プロジェクトの課題を解決するために

国産の綿のお花。

アバンティは、今年、創業30年を迎えました。今でこそ、オーガニックコットンにこだわる人もいますが、創業当時、オーガニックコットンの存在についてさえ、多くの人に知られていなかったのではないでしょうか。そんな状況の中で創業し、オーガニックコットンブランドが知られるようになり、次に目指しているのは、原料であるオーガニックコットンの自給率を上げること。2021年から、「プリスティン」製品への国産綿混用率を2%にすることを目標に、国産綿復活プロジェクト『アバンティコットンクラブ』を立ち上げ、全国8圃場の協力のもと、国産綿栽培をスタート。みなさんが栽培したオーガニックコットンをアバンティが買い取る仕組みで、6年目となった今では、49圃場のみなさんが参加しています。賛同してくれるメンバーが増えることはありがたいことですが、収益性という壁にぶつかり、これを解決しない限り、持続可能な国産綿花栽培を続けることはむずかしいことに気づいたといいます。そこで、思いついたのが、綿花から酵母をとって、パンを作ること。とはいえ、酵母をとるという技術は、社内にはないため、お願いできる人を探してたどり着いたのが、花酵母の権威である東京農業大学の数岡孝幸教授です。綿花から、酵母さえ見つかれば、パンだけでなく、ビールもできるかもしれないと数岡教授がお話になられたということで、筆者が、初めて綿のビールについてのお話をうかがったのが、このタイミングでした。

「パンができるかもしれないし、そのうちビールもできるかもしれないんですよ。」(アバンティ代表取締役 奥森秀子さん)

以前、アバンティのコットンも含まれているという綿実油をお裾分けいただいたこともあり、今後、食分野にも広がっていくと、オーガニックコットンの可能性がより広がるなあと、筆者もワクワクしたことを覚えています。

酵母発見まで、喜んでは残念という想像以上に長い道のり

1日しか咲かない綿花をひとつひとつ丁寧に採取。

綿花から酵母を採取するために、1日しか咲かない綿花を採取し、クール便で大学の研究室に送り、共同研究がスタート。2023年夏に綿花を送り、酵母探索が始まりましたが、1年近く経っても良い知らせはなかったそう。

「研究が始まる段階で数岡先生からは、『わたの花は、1日しか咲かないので、一般的な花の中でも酵母を見つける難易度が高いと思います。10年かかるかもしれません』と、念を押されていたこともあり、心配でしたが、今か今かと待っていました。」(奥森さん)

多くの酵母が見つかったデータを見て大喜びの奥森さん。

そんな中、翌年、2024年に吉報が届きます。なんと、綿花からたくさんの酵母が見つかったとのこと。

「この時点では、実はビールに適した酵母かどうかまだわからない状態でしたが、もうできたかのように大喜びしました。」(奥森さん)

ビールを造るには、酵母の中でも、ビールになり得る「サッカロマイセスセレビシエ」を見つけ出さなければならないのだそう。次の報告では、たくさん見つかった酵母が「サッカロマイセスセレビシエ」であるかどうか判断する試験に進みましたが、すべてパンやビールに使用できない酵母だったという残念な結果に。ただ、凍結していた綿花の菌株から、70株ほど酵母が採取できたため、また新たに検査しますとの連絡があり、新たな酵母が見つかったことに大喜び。一喜一憂の日々を過ごします。

ビール醸造ができる酵母かどうかを東京農業大学の研究室でひとつひとつ確認。

そして、3度目。大学の研究室が卒業制作などで忙しい時期も、マルトースの資化性検査(ビール醸造で使用できるかの確認)を進めてもらい、2025年7月、ビールができる酵母があるという吉報を受け取り、オフィスみんなで大喜びしたそうです。3年にわたる研究で、オーガニックコットンの副産物としてのクラフトビールがようやく誕生です。第1号のサンプルを試飲した奥森さんは、

「すっごく、おいしい! ビールが飲めない私が、歓声をあげました。」(奥森さん)

普段、ビールを飲みなれていない人にも飲みやすいビールができあがったようです。

3年の開発期間を経て「わたのぶりゅ~」誕生

できあがった「わたのぶりゅ~」を社内で試飲する様子。

綿花から生まれたビールということが一目でわかる「わたのぶりゅ~」という名前。綿花の酵母を使用していることから、酒税法上の区分は発泡酒になりますが、麦芽比率は、99%の本格的なクラフトビールです。ブルワリー「ふたこビール」の協力のもと、『白い綿の花』と『緑の綿の花』から生まれる2種類のクラフトビールができあがりました。それぞれの綿の花酵母由来の香りや味わいの違いを比べて楽しめます。

ホワイトラベルとグリーラベルの2種類。グラスに注ぐと、色の違いがよくわかり、香りも立ちます。

ビールができるかもしれないと話を聞いてから待ちに待ったビールの誕生。先日開催された「プリスティン」の新作展示会で、筆者も試飲してきました。『わたのぶりゅ~ White Label(ホワイトラベル)』は、麹のやさしい香りと甘みが広がり、フルーティーなあと味を楽しむことができるホワイトエールです。ビール特有の苦みが苦手な人も、おいしくいただけそうです。『わたのぶりゅ~ Green Label(グリーンラベル)』は、緑綿の個性を生かしたというペールエールです。国産生ホップを使用し、さわやかな酸味とバナナのような風味も感じられます。ホワイトと比較すると、個性的ではありますが、こちらも飲みやすい印象でした。

わたのぶりゅ~ White Label / Green Label 内容量:350mL 各880円(消費税込み)

「私たちが2021年より本格的に取り組んできた、国産綿復活プロジェクト『アバンティコットン倶楽部』は、年々メンバーが増えて広がってゆく中で、綿の繊維としてだけではない可能性を広げることができました。『わたのぶりゅ~』を飲んでいただいたみなさまが、純粋にハッピーになってくださることを願います。私たちは今、綿畑にレストランとプリスティンの宿を作り、コットンの循環を感じながら気持ちの良い暮らしを体感できる場所を作ろうとしています。『わたのぶりゅ~』がこんなにおいしくできたおかげで、そこにブルワリーを作る、という構想を抱いています。」(奥森さん)

コットンの新たな可能性を探求した結果、おいしいビールができあがっただけでなく、今後の新たな循環を生み出すきっかけにもなっているようです。衣料も食料も自給率が低い日本において、こだわりの国産品が増えていくのは頼もしく、買って応援しようと思います。

プリスティン
https://pristine.jp/

著者画像

林ゆりさん

ロハスジャーナリスト。フリーアナウンサー。

関西を中心にテレビ、ラジオ、舞台などで活動後、東京に拠点を移し、執筆も始める。幼いころからオーガニックに囲まれて育ち、MYLOHASに創刊から携わる。LOHASを実践しながら、食べ物、コスメ、ファッションなど、地球にやさしく、私たちにもやさしいものについてWeb媒体やブログで発信中。日本化粧品検定1級。

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