- Text
- Source
CINEMA 01
北欧アイスランドの田舎町、ある不完全な家族の物語
『きれっぱしの愛』
(配給:NOROSHI、ギャガ)
●監督・脚本/フリーヌル・パルマソン
●出演/サーガ・ガルザルスドッティル、スベリル・グドナソンほか
●7/3~ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

芸術家のアンナ、クールな長女、わんぱく盛りの双子の兄弟、愛犬パンダ。アンナの元夫で漁師のマグヌスもやってきて食卓を囲む。緑に囲まれたサンルームに、朝の光が差し込む──。
アイスランド出身の監督が実子と愛犬をそのまま起用して描く、ある家族の物語。アンナとマグヌスはもう夫婦じゃない、けどまだ家族的。アンナは3人の子育てを一手に担いながら自分の表現と格闘し、マグヌスは元妻への未練のような思い、居場所を失くした怒りと悲しみを心に収めきれない。それぞれに揺れ動く相反する感情が、アイスランドの豊かな自然、季節の移り変わりのなかで点描されていく。ニワトリを飼ったり、みんなでハイキングに行ったり、海を見下ろす丘に3姉弟が騎士の像をつくって矢を放ったり(?)。どこか滑稽で膨大な些末事と、夕日で黄金色になる草原や疾走するウマと。不完全で、なんか笑えてしょうもない。家族こそがすべて。
CINEMA 02
娘はどこに? 五感を刺激するハラハラどきどき
『シラート』
(配給:トランスフォーマー)
●監督/オリベル・ラシェ
●脚本/オリベル・ラシェ、サンティアゴ・フィジョル
●出演/セルジ・ロペス、ブルーノ・ヌニェス・アルホナほか
●新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下ほか全国公開中

砂漠に築かれた、巨大スピーカーを積み上げた壁。そこから夜通し流れる爆音のダンス音楽、体を揺らす無数の輩がつくる波──。
レイブパーティに参加したまま失踪した娘を探し、父と息子がやってくる。でも娘は見つからない。つぎのレイブ会場に向かう参加者を追い、ふたりはモロッコの山岳地帯から砂漠の奥へと車を走らせるが……。
砂漠にならず者という〝マッドマックス”な世界観、異様にシンプルなストーリー、不穏なトランス、待ち構える衝撃の連鎖。こちらの脳みそまでくらくらに。
※構成/浅見祥子(CINEMA)
(BE-PAL 2026年7月号より)




