- Text
CONTENTS
モステントってどんなブランド?
テント界の伝説的ブランド「モス」。その魅力をおさらいしておこう。
(BE-PAL 2026年4月号より)
自然の中で人が美しく住むための構造を意識する

創業者ビル・モスは、テントを「自然の中に生まれる最小単位の建築」であると考える。軽さや価格よりも人が中でどう感じるのか、構造の美しさを優先。
代表作品である「スターゲイザー」には天窓があり、テントの中にいながら外の様子が観察できる。その自然と切り離さない住空間作りがモスの最大の魅力。
▼参考記事
テントを「人が住める芸術品」にしたモスの歴史
無骨であることが当たり前のキャンプ道具に芸術性をプラス。曲線と曲面を駆使した多くの個性的な"機能美"テントを生んだ天才アーティスト、ビル・モスを紐解くとともに、そのブランドヒストリーをチェックしよう。
(BE-PAL 2023年7月号より)
誕生から現在まで!モスの軌跡
テントをただの野営道具から、芸術品にまでのし上げた曲面の魔術師、チャールズ・ウィリアム・モス(以下モス)。幼少時から絵を描くことが大好きだった彼は、高校生のときにミシガン大学の解剖図クラスに合格。そのほか、ウィスコンシン州のレイトン美術学校やミシガン州のクランブルック芸術アカデミーで、才能を伸ばしていった。
その後、フォード・モーター・カンパニーが発行する旅行雑誌「フォード・タイムズ」の仕事に就き、採用された彼の絵は数々のアワードを受賞。絵描きとしての才能を開花させた。
ちょうどそのころ、友人とハンティングに行くときのために発明したのが「ポップテント」だ。それは柔らかなエジプト綿の幕体で、スリーブに通したポールは天頂部のハブに集められ、そのハブを押し下げるとポールがたわんでパッと開いて自立する革新的なテントだった。

また、’62年に特許申請した「パラウイング」も秀逸。ただ真四角な布ではなく、四角いシートの各辺が曲線になるように仕上げてある。これを2本のポールでウイング状に張ることで双曲放物面となり、風の吹き抜けがよく耐風性に優れ、雨がスムーズに流れる機能美タープが完成。
’75年に当時の妻マリリンと「Tent Works Ltd.(後のMoss Tent Works)」を設立したビルは、その後も意欲的にキャンプテントの開発に取り組む。

78年に高品質なエジプト綿を使った「オプティマム」という大型テント、’82年には広い天井を持つ「スターゲイザー」など、代表的モデルを次々と開発。ビル自身は’83年にモステントを退社し、別会社を設立して絵描きとしてリスタート。’94年に亡くなるまで、アリゾナで絵を教えたり、創作活動を続けた。

その後、モステントは会社を売却。2001年にはブランドが消滅してしまうことに。しかし2020年。なんと、日本にモスジャパンが誕生! オリジナルのデザイン画をはじめ、テントの設計図面、型紙、パーツ類などを受け継ぎ、メイン州カムデン時代にビルがデザインしたテントが続々と復刻されるようになった。以前は日本で展開されていなかったモデルも国内で入手可能になったのだ。
かつてデザインの原点を尋ねられたビルは、「窓の外を見てごらん。人間が手を加えた場所以外に、直線が存在するような環境なんてないだろう? あるわけがないんだ。だいたい直線は、自然の法則に合わないんだよ」と答えた。
彼が生んだ「人が住める芸術品」の機能美あふれるテントは、これからもフィールドで輝きを放ち続けるに違いない。
撮影/永易量行(ポップテント)
▼参考記事
モスを代表する伝説のテント「スターゲイザー」
MoMA永久所蔵品にも選ばれた、モスの代表作テント。天窓から外の景色や星空が楽しめる。
(BE-PAL 2026年4月号より)
MOSS TENTS(モス) THE STARGAZER
1983年よりニューヨークの近代美術館(MoMA)の永久展示品に選ばれた伝説のテント。どこを切り取っても美しい構造は唯一無二だ。
▼関連記事
▼参考記事
スケールアップした自立型シェルターテント「アンコール」
「スターゲイザー」をスケールアップし、2~4人用で過ごせるモデル。優雅なダブルアーチうお座構造で、頑丈かつ安定性も確保。
(BE-PAL 2026年4月号より)
MOSS(モス) アンコール
フロアの4辺以外、すべて曲線と曲面で構成された美しいシルエットのモデル。その存在感は、前室がないとか、出入り口がひとつしかない──というデメリットを補って余りある。復刻に当たっては保存されていた設計図等をもとに忠実に再現され、米国イーストン社製ポールを除いてほとんどが日本製で、幕体も1984年当時のオリジナルカラーを採用。
スカイライトを楽しめるモスの代表作であるスターゲイザーをスケールアップしたモデル。サイドウォールをアーチ型に設計し、居住スペースを拡大。最大4人まで快適に過ごせる。
サイド&ウォールウィンドウは開閉可能。耐水圧にも優れ、耐久性も高いので長期的に利用できる。
▼関連記事
▼参考記事
今によみがえる名品のDNA「スターレット」
こちらも魚座型のフォルムが美しい1~2人用モデル。機能性を向上させながらも、当時のオリジナルカラーを用いているのもうれしい。
(BE-PAL 2024年4月号より)
MOSS TENTS(モス) スターレット
テント界の伝説的存在である"MOSS"の復活後、その代表作"スターレット"も復刻。地を這うようなシルエットはさすがカッコよく、1984年当時のオリジナルカラーも男心をくすぐる。一方で防水性などは以前よりも向上させ、温故知新とはまさにコレだ。
曲線を描く2本のポールが2か所で交差する“魚座型”の美しいフォルムが一大特徴。開いたフライシートは下部に巻き取る独特のシステム。このあたりもモステントらしい。
撮影/中村文隆
▼関連記事
▼参考記事



















