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  • 生誕100周年!「テントは人が住める芸術品」曲面の魔術師、ビル・モスのすべて

    2023.07.27

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    メイン州のオフィスで、手描きデザインを収録したスケッチブックから「さて、次はどれを形にしようか」と思案するビル・モス。

    無骨であることが当たり前のキャンプ道具に芸術性をプラス。曲線と曲面を駆使した多くの個性的な"機能美"テントを生んだ天才アーティスト、ビル・モスを紐解く。

    モス誕生から現在までの軌跡

    1923年
    ビル・モス誕生!

    ミシガン州デトロイト生まれ。幼いころから芸術的才能に恵まれ、ミシガン大学などで美術を学ぶ。

    1975年
    ESTABLISHED
    ブランド創設

    メイン州カムデンで、キャンプテントブランド
    「モス」を立ち上げる。CEOは妻マリリン。

    1980年
    NEAアワード受賞

    「オプティマム200」が、National Endowment for the Arts(全米芸術基金)アワードを受賞する。

    1982年
    MoMAの所蔵品に

    「スターゲイザーll」がニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久所蔵品として認定される。

    1994年
    ビル・モス逝く

    10月7日、ポップテントの開発者として知られるチャールズ・ウィリアム・モス逝去。享年71。

    NOW

    テントをただの野営道具から、芸術品にまでのし上げた曲面の魔術師、チャールズ・ウィリアム・モス(以下モス)。その人生は実に華々しい。幼少時から絵を描くことが大好きだった彼は、高校生のときにミシガン大学の解剖図クラスに合格。そのほか、ウィスコンシン州のレイトン美術学校やミシガン州のクランブルック芸術アカデミーで、才能を伸ばしていった。
     
    その後、フォード・モーター・カンパニーが発行する旅行雑誌「フォード・タイムズ」の仕事に就き、採用された彼の絵は数々のアワードを受賞。絵描きとしての才能を開花させたのだ。
     
    ちょうどそのころ、友人とハンティングに行くときのために発明したのが「ポップテント」だ。それは柔らかなエジプト綿の幕体で、スリーブに通したポールは天頂部のハブに集められ、そのハブを押し下げるとポールがたわんでパッと開いて自立する革新的なテントだった。
     
    また、’62年に特許申請した「パラウイング」も秀逸。ただ真四角な布ではなく、四角いシートの各辺が曲線になるように仕上げてある。これを2本のポールでウイング状に張ることで双曲放物面となり、風の吹き抜けがよく耐風性に優れ、雨がスムーズに流れる機能美タープが完成。
     
    ’75年に当時の妻マリリンと「Tent Works Ltd.(後のMoss Tent Works)」を設立したビルは、その後も意欲的にキャンプテントの開発に取り組む。
     
    ’78年に高品質なエジプト綿を使った「オプティマム」という大型テント、’82年には広い天井を持つ「スターゲイザー」など、代表的モデルを次々と開発。
     
    ビル自身は’83年にモステントを退社し、別会社を設立して絵描きとしてリスタート。’94年に亡くなるまで、アリゾナで絵を教えたり、創作活動を続けた。
     
    その後、モステントは会社を売却。2001年にはブランドが消滅してしまうことに……。
     
    しかし2020年。なんと、日本にモスジャパンが誕生! オリジナルのデザイン画をはじめ、テントの設計図面、型紙、パーツ類などを受け継ぎ、メイン州カムデン時代にビルがデザインしたテントが続々と復刻されるようになった。以前は日本で展開されていなかったモデルも国内で入手可能になったのだ。
     
    かつてデザインの原点を尋ねられたビルは、
    「窓の外を見てごらん。人間が手を加えた場所以外に、直線が存在するような環境なんてないだろう? あるわけがないんだ。だいたい直線は、自然の法則に合わないんだよ」──と答えた。
     
    彼が生んだ「人が住める芸術品」の機能美あふれる、これからもフィールドで輝きを放ち続けるに違いない。

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    スタジオや自宅だけでなく、地元のバーでカクテルを飲みながらでも、思いついたデザインをナプキンにスケッチしていた。’60年代。

    近未来を描いた作品の表紙にもモスが!

    ’94年に映画化された『ジェネレーションズ/STAR TREK』のペーパーバック。2264年以降の未来を描いた作品の表紙にモスのテントが描かれている。

    アーティスティックなモス作品が満載!

    『BILL MOSS―FABRIC ARTIST & DESIGNER』(2013年発行)はビルの約40年にわたる仕事をまとめた写真集。

    ビル・モスの素顔を描いた元妻マリリンの自叙伝

    芸術家としてのビルとクリエイティブに過ごした日々も描かれた元妻マリリンの自叙伝、『MOUNTAIN GIRL』。

    モスが生んだ"世界発” テント&タープ3!

    1955

    世界初のワンタッチテント

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    世界初がいっぱい詰まったドーム型テントのオリジナル

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    ポールを湾曲させて使うという新発想のドーム型テントとして知られる「ポップテント」は、初のセルフスタンディングテントでもある。しかも傘を開くようにワンタッチでセットできる!

    1957

    世界初のウイングタープ

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    "双曲放物面"を用いた2本ポールで立ち上げるタープの原型

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    ビルは「ハイパーボリックパラボロイド(双曲放物面)は布に張りを持たせるのに最も適した方法」と明言。わずか2本のポールと4本のロープだけで張れるウイングタープの先駆モデルだ。

    1982

    世界初のMoMA永久所蔵テント

    ポールを魚座型にクロスさせた最初のモデル

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    弧が交差してできる形を幾何学用語でベシカピシスという。「スターゲイザー」はこの2次元の理論を3次元に応用して誕生。「居住性という機能を最も単純な方法で実現した」ことが評価され、MoMA永久所蔵品に選ばれた。

    MOSS──ロゴ物語

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    最初のロゴはパラウイングの線画入り。

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    米国旗付きロゴはカムデン時代に使われた文字でCEOマリリンのサインを採用。

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    レイニア山をバックにしたロゴはシアトルのREIに売却後のもの。

    ※構成/坂本りえ 撮影/永易量行(書影、ポップテント) 協力/モスジャパン

    (BE-PAL 2023年7月号より)

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