実際、ゴンドラを使えば手軽に標高を上げてアクセスし、モンブランを間近で見ることは可能です。ただ、正直なところ費用もそれなりにかかり、“楽に行けてしまう分、感動が少し薄れるかも?”なんて思ったりも。
そこで今回挑戦したのが、モンブランの近くに位置する山「ル・プラリオン」での絶景ハイキング。自分の足で一歩ずつ登り、ようやく辿り着いた先に現れたモンブランの姿は、想像をはるかに超える迫力でした。そんな贅沢な絶景に出会えるハイキングルートの様子を、雰囲気とともにたっぷりとお届けします。
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ヨーロッパアルプスのてっぺん、モンブランとはどんな山?

モンブランは、フランスとイタリアの国境にそびえる、標高4,806mのヨーロッパアルプス最高峰。その名は、登山をしない人でも一度は耳にしたことがあるほど有名です。
山の玄関口となるのが、フランス側の山岳リゾートの町Chamonix(シャモニー)。登山家やハイカーの聖地としても知られ、一年を通して世界中から多くの人が訪れる活気あふれる場所です。

周辺のアクセス手段も整っていて、ロープウェイのAiguille du Midi cable car(エギーユ・デュ・ミディ・ケーブルカー)を使えば、一気に標高3,842m付近まで到達できます。登山者だけでなく観光客も利用でき、手軽に氷河とモンブランを間近に望むことができます。
https://aiguilledumidi.montblancnaturalresort.com/en
ただその一方で、人気スポットだけあって観光客も多く、ロープウェイの料金も往復1万~1万5千円とそれなりにかかります。手軽に訪れられる反面、多くの観光客でにぎわうスポットでもあります。
次に紹介する「ル・プラリオン」は、そんなモンブランのスケールをじっくりと味わえる絶景ハイキング。落ち着いた雰囲気の中で、山の存在感を真正面から感じることができます。初心者でも挑戦でき、ゴンドラとはひと味違う、“登った人だけが見られる景色”が待っています。
モンブランを望む展望スポット「ル・プラリオン」
Le Prarion(ル・プラリオン)は、シャモニー谷を挟んでモンブラン山塊の南側に位置する、標高約1,969mほどの山です。正面には視界を遮るものが少なく、少し距離をとった位置からモンブラン全体のスケールを眺められるのが特徴です。
いくつかのルートでアクセスができますが、今回はSaint-Gervais-les-Bains(サン=ジェルヴェ=レ=バン)の町からハイキングをスタートしました。このエリアは観光地として整備されつつも、シャモニーよりは比較的静かで、キャンピングカー用の無料RVパークもあり、私たちのような車中泊旅の拠点としても使いやすい環境です。

トレイルはおよそ往復17km、標高差約1,000m、行程時間が5~6時間ほどになります。
ハイキング開始!森を抜け、雪のフィールドへ
ハイキングがスタートして最初の1時間は、アスファルトのくねくねした登り坂が続きます。車1台がやっと通れるほどの細い山道で、傾斜もかなり急。正直なところ、この道をキャンピングカーで上るのは現実的ではないと感じるほどで、下のRVパークに停めておいて正解でした。

道中にはいくつもの住宅や、フランスらしい可愛らしいペンションが点在していて、静かな山の暮らしを垣間見ながら歩いていきます。
やがてそうした集落を抜けると、ようやく本格的なトレイルのスタート地点に到着。ここには駐車場のほか、水場やトイレも整備されており、ハイカーにとって安心できる拠点になっています。


スタート直後から、いきなりの急登。最初の登りは少しきついものの、危険箇所や特別な技術が必要な場面はなく、ゆっくり歩けば問題なく進めるレベルです。

序盤は深い森の中を進むルートで、木々に覆われた静かな登山道が続きますが、時折その隙間からアルプスの山並みがふっと姿を現し、そのたびに足を止めたくなるような景色が広がります。


さらに標高を上げていくと、徐々に視界が開け始め、地面にはまだ雪も残るようになってきました。その先では、スキー場のゲレンデを縫うように進むルートへとつながっていきます。私たちが訪れたのは4月下旬で、スキー場はすでに閉鎖されており、ルートもある程度除雪されていました。ただ、営業中の冬シーズンはこのルートは通れない可能性が高そうです。

雪の上はザクザクと音を立てながら気持ちよく進んでいきます。場所によってはある程度の深さもありましたが、このあたりからは傾斜も比較的ゆるやかで、アイゼンなしでも問題なく歩けるレベルでした。ただし、雪の量や凍結状況によってはチェーンスパイクや軽アイゼンがあると安心できます。

こうして、森から雪のフィールドへと移り変わる景色を楽しみながら、徐々に“アルプスの世界”へと入り込んでいく感覚が高まっていきます。

貸し切りの絶景。プラリオンホテルから対面するモンブラン

標高を上げるにつれて視界が一気に開け、標高約1,860m付近にあるプラリオンホテルに到着。

そして、目の前に現れたのは、思わず足を止めてしまうほどの光景でした。視界いっぱいに広がるのは、モンブランの圧倒的な山塊。そのスケールに、しばらく言葉を失います。

モンブランが見えるとは聞いていたものの、正直ここまでとは想像していませんでした。遠くに“見える”というよりも、真正面に“迫ってくる”ような存在感。谷を挟んでいるからこそ、山全体のラインや氷河の広がりまでしっかりと捉えることができ、そのスケールの大きさを実感させられます。


その絶景の中に建つのが、プラリオンホテル。私たちが訪れたのはオフシーズン中で閉まっていましたが、シーズン中には宿泊や食事も可能で、モンブランを目の前に望む贅沢な時間を過ごすことができます。

ただ、ホテルが閉まっていたおかげで、周囲にはほかの登山者の姿もなく、静まり返った空間の中、この大パノラマをまさに“貸し切り”で味わえるという、なんとも特別な時間を過ごすことができました。

さらに先へ進めば、30分ほどでル・プラリオンの山頂へ向かうこともできますが、この時点ですでに大満足。これ以上望むものはないと感じ、今回は無理に頂上を目指さず、ここから下山することにしました。

それほどまでに、この場所からのモンブランの景色は特別で、深く印象に残る時間となりました。
穴場だからこそ味わえる、落ち着いたモンブラン体験
モンブランは、見る場所や角度によってまったく異なる表情を見せてくれる山です。ロープウェイで一気に標高を上げて迫力ある景色を楽しむのも魅力ですが、今回のように自分の足で登って辿り着く場所から眺める景色には、また違った特別さがあります。
ル・プラリオンは、比較的アクセスしやすく、初心者でも挑戦できるルートでありながら、あの圧倒的な絶景に出会える貴重な場所です。まだあまり知られていない“穴場”的な存在だからこそ、混雑を避けながらモンブランの魅力を存分に味わうことができます。




