「アイスエイジ・トレイル」スタートから6日、まだまだ本調子にはなれず… | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

山・ハイキング・クライミング

2026.06.28

「アイスエイジ・トレイル」スタートから6日、まだまだ本調子にはなれず…

「アイスエイジ・トレイル」スタートから6日、まだまだ本調子にはなれず…
アメリカには連邦政府によって認定されたトレイルが複数あり、そのうち「ナショナル・シーニック・トレイル」が全11ルートあります。プロハイカーの斉藤正史さんは、総距離が約17,800マイル(約28,646km)におよぶ11ルートのシーニック・トレイル全踏破に挑戦中です。

2025年秋、斉藤さんはアメリカ東北部のウィスコンシン州にある「アイスエイジ・トレイル」に挑みました。その1,200マイル(1,900km)のアイスエイジ・トレイルに挑戦した様子を、斉藤さん自身によるレポートで紹介します。
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【プロハイカー・斉藤正史の「アイスエイジ・トレイル」レポート」vol.10】

■前回はこちら

アイスエイジ・トレイル、地元の人が整備する気持ちの良い道を歩く | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

Ice Age Trail  DAY4−6:2025年9月15日〜17日

暑さと蚊が去って、また一難…?

前回記したように、3日目はストレートレイクという森林地帯を歩きました。その快適なエリアを抜けると、湖畔や湿地帯が続いていました。日中は汗ばむほどの気温ですし、まだまだ元気な蚊にも刺されまくりました。日が沈んでからも、テントに蚊がバンバンぶつかってきます。

アイスエイジ・トレイルのあるウィスコンシン州は北海道とほぼ同じ緯度なのですが、予想以上の残暑です。すでに歩き始めて4、5日。でも、いまだに虫刺されや汗臭いTシャツにイライラが募ります。日本での便利な生活に慣れきった心身から脱していないことを痛感します。

湿地帯を通る木道。見た目は心地よさそうですが、実際はじっとりしています。

湿地帯を抜けて再び森林地帯に入ると、ハンティングシーズンに関する注意喚起の看板を目にするようになりました。このあたりでは、10月からシカ狩りが始まり、そうなるとかなり遠回りの迂回をしなければならないようです。

これだけ豊かな自然が広がっているので、ハンティングが盛んなのもうなずけます。ただ、ようやく蚊がおとなしくなる10月になると、今度はハンティングに注意する必要があるのかと思うと、少しだけ気が重く感じるのでした。

正規のルートを目の前に迂回とか本当に面倒です…。

快適なキャンプサイトで晴れない気分…

スタートから6日目。この日は、ウィスコンシン州のウォッシュバーン郡とバロン郡にある森林地帯に入りました。この日の僕の目的地は、事前に予約を入れていたシャンディリゾートキャンプサイト。ここはトレイルのルートから1.2マイル(約2km)ほど離れていて、その道のりの大半は舗装路。森の中の道と比べたら、格段に楽しくありません。

正直、めんどくさい…とは、まったく思いませんでした。アイスエイジ・トレイルを歩き始めて初めて、つまり6日ぶりのシャワーが待っているので、足取りも軽くキャンプサイトを目指したのです。

チェックインの際にクレジットカードを渡すと、スタッフから1泊20ドルだと伝えられます。納得しかけましたが、事前に予約するとハイカーは半額になるとメールに書いてあったことを思い出しました。そのことを伝えると、スタッフは10ドル分だけ請求するように手続きをし直してくれました。ラッキー…なのか。

僕は20年以上前からロングトレイルをしていて、どうしても昔の感覚が抜けない面があります。このときも、テントサイトで1泊10ドルって高いなと思ってしまいました。でも、昨今の円安や物価高の状況を考えると、妥当な料金なのかもしれません。いずれにしろ、必要最低限の予算でやりくりしている僕にとって10ドルと20ドルでは大違いです。ラッキー!

僕が案内されたのは、キャンプサイトの一番奥。周辺には高級キャンピングカーが何台も駐まっているし、湖畔にも高級ボートがたくさん停泊しています。何で、汗まみれで疲れ切ったキャンパーをこんなリゾート地っぽい場所に泊まらせるんだと、ややふて腐れた気分になりました。

すぐ目の前には湖が広がっているし、ロケーションとしては悪くないはずです。でも、妙にやさぐれた気分だったので、水辺って朝露でテントが濡れるんだよな…などとネガティブなことを考えてしまいました。

悪くない雰囲気のテントサイトです。

気分転換を兼ねて洗濯しよう。そう考えて売店に出向くと、そこはバーも併設していました。キャンピングカーやボートのオーナーなのか、裕福そうな高齢者夫婦がたくさんいて、午後5時前からビールを傾けています。縁もゆかりもない高級リゾート地に迷い込んだかのようで、ささくれだった気分に拍車がかかります。良くない…。

やさぐれた自分をなごませるため、キャンプサイトにいたウサギに目を向けます。

この日は朝から楽しみにしていたシャワーが待っているのです。ということで、6日ぶりのシャワーでようやくひと心地がついたのでした。

日本から着続けてきたものを脱ぎ、新しいTシャツに着替えます。すると、わずかですが自宅で使っている洗剤の匂いがしました。その瞬間、ちょっとしたホームシックというか郷愁の念にかられました。日本を離れて1週間もたっていないのに、疲れているのでしょうか…。結局、この日は誰とも交流せず、早々にテントにこもって就寝しました。

7日目となる翌朝は日の出よりも早い時間に目覚め、さっさとテントを撤収。ちゃっちゃとトレイルへ戻り、何事もなかったかのように歩き始めます。実際、何事もなかったのですが…。

キャンプサイト近くで見かけた個人宅。ハロウィンの飾りに季節を移ろいを感じたり…。

この日は朝から雨。でも、小雨なのでバックパックカバーを掛けただけで、特にレインウェアなども着ないで歩きます。ちょうどいい小雨、というのも変な表現かもしれませんが、心地よく感じます。

この日の目的地は州立公園のキャンプ場で、そこそこ距離があるのでとにかく歩を進めます。道中にスーパーマーケットがあるようなので、ひさびさに食料補給もしなければ。食料の調達は必要なことなのですが、妙にテンションが上がります。

※アイスエイジ・トレイル1〜5日目の様子は動画でもご覧いただけます。

著者画像

斉藤正史さん

プロハイカー

2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。また、BE-PAL.netにて「TOKYO山頂ガイド」を連載。

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