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海外の旅

2026.03.23

台湾中部の穏やかな街、台中。街を散歩し、豪華アイスをぱくつく

台湾中部の穏やかな街、台中。街を散歩し、豪華アイスをぱくつく
旅行作家・写真家の山本高樹による、台湾写真紀行の短期連載。第3回は、新竹から南西に100キロほどの場所にある台湾中部の都市、台中(タイチョン)に滞在した時のレポートをお届けします。
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山本高樹の台湾鉄道環島旅・第3回:台中

新竹での数日の滞在の後、僕は列車に乗って、台湾中部にある街、台中に移動しました。台中市は、人口で比較すると台北市よりも多くの人々が住んでいるそうで、台湾中部で中心的な存在の都市となっています。気候は比較的穏やかで過ごしやすく、台湾人の間で、台中は住みたい街ランキングのトップによく挙げられるそうです。

台中の市街にある、昔ながらの佇まいの第二市場。

台鉄の台中駅にほど近い場所にある、安宿のドミトリーにチェックインし、大きな荷物を預けた僕は、カメラを手に、台中の街を散歩することにしました。

台中という街の名称は、日本統治時代になってからつけられたものだそうで、当時建てられた歴史的な建築物が、今も街の中で数多く保存されています。日本でも人気の台湾人作家の楊双子による小説『台湾漫遊鉄道のふたり』や『四維街一号に暮らす五人』(いずれも中央公論新社刊)は、台中を主な舞台にした作品なので、この街に興味を持っている日本の方も多いのではないでしょうか。

台中の街を流れる、柳川。

台中の街には、緑川や柳川といった川が流れていますが、近年になって川沿いの遊歩道が整備されたそうで、ぶらぶら散歩するにはもってこいのルートになっていました。街の中に川や緑があると、やっぱりなごみますね……。台風一過でからりと晴れた空の下、気持のいい散歩の日となりました。

洒落たショップが集まるリノベーションスポット、緑光計画。

街の中心部から少し離れた場所にある、緑光計画(リューグアンジーホア)というリノベーションエリアを訪ねてみました。日本統治時代に水道局の職員の宿舎だったレンガ造りの建物を修復し、雑貨店やブティック、カフェなどが集まる複合商業施設としてオープンさせたそうです。この日は結構暑かったので、この施設内にある臺虎精釀(タイフーブリューイング)のビアホールで、IPAビールを1杯、ぐびぐびといただきました(結構、いいお値段でしたが……)。

ほかにもこの近辺には、審計新村(シェンジーシンツン)や忠信市場(ヂョンシンシーチャン)といったリノベーションエリアがあり、それぞれレトロで瀟洒なショップの集まる人気のスポットとなっています。

日本人の間では、おそらく台中で一番有名なスポット、宮原眼科。

台鉄台中駅にほど近い場所にある人気のスポット、宮原眼科(ゴンユエンイエンクー)。この建物はもともと、日本統治時代の1927年に開院した、名前そのままの眼科病院だったそうです。戦後は台中市衛生院として再利用されたものの閉鎖され、その後は放置されていたのですが、パイナップルケーキやチーズケーキの製造販売で有名な日出グループがこの建物を大規模にリノベーションし、スイーツショップやレストランなどの複合施設として2011年にオープンさせました。

宮原眼科の店内に入ると、まるでファンタジー小説に登場する魔法の図書館に迷い込んだかのような、摩訶不思議なインテリアに驚かされます。チョコレートやクッキー、パイナップルケーキなど、旅のおみやげにぴったりなスイーツがずらりと並んでいて、この中から選ぶのは、楽しいけれど悩みますね……。

第四信用合作社の店内の様子。

宮原眼科でとりわけ人気なのは、外に面したカウンターで販売している冰淇淋(ビンチーリン、アイスクリーム)なのですが、いつも、ものすごい行列……。店の中で席に座ってゆっくり食べたい人には、宮原眼科からほど近い場所にある、同じ日出グループによるアイス専門店、第四信用合作社(ディースーシンヨンホーヅォーシェ)の方がいいかもしれません。こちらの店は、かつて同名の銀行があった建物をリノベーションし、同じ名前をつけて営業しているそうです。

僕もいい年こいたおっさんですが(苦笑)、台中に来たなら一度は噂の豪華アイスを食べておかねば……と決心し、店内の行列に並ぶことにしました。

第四信用合作社で注文した冰淇淋。

僕が注文した、冰淇淋と阿里山金萱烏龍茶。アイスは、さまざまなフレーバーの中から、シングル、ダブル、トリプルのいずれかで選びます。トッピングも、パイナップルケーキやチーズケーキなど、いろいろある中から選べます。アイスはどれもナチュラルで優しい味わいで、トッピングと一緒にあれこれ食べると、なかなか楽しいです。しかしこのアイス、お値段もボリュームもかなりすごかったので、この日の晩ごはんは、サンドイッチと缶ビールだけにすることにしました(笑)。

台中郊外のレインボービレッジ、彩虹眷村の今

今も訪れる観光客が絶えない、彩虹眷村。

台中の郊外に、彩虹眷村(ツァイホンジュエンツン)と呼ばれる有名な村があります。眷村とは、中国での国共内戦を経て台湾に逃れてきた国民党軍の軍人が暮らすために作られた居住地のこと。台湾各地にある眷村は、近年になって、老朽化などの理由で取り壊されて再開発される事例が増えていて、この地の眷村も、ゆくゆくは取り壊されることが決まっていました。

2008年頃、この眷村に最後まで住んでいた退役軍人の黄永阜さんは、村中の壁や地面に、極彩色のペンキで絵を描きはじめました。そのカラフルで独特なタッチの絵が話題となり、大勢の人々が村を訪れるようになりました。やがて、眷村を取り壊すのを中止して、黄さんが描いた絵をアート作品として保存すべきだ、という署名運動が起こります。最終的には台中市の判断により、所有者との同意に基づいて、彩虹芸術公園として保存されることが決まりました。

壁に描かれた、奔放なタッチと色使いの絵画の数々。

その後、彩虹眷村を巡っては、著作権や運営権などに絡んで、関係者の間でいろいろとトラブルが起こっていたそうです。そうした行き違いがエスカレートしたからか、2022年夏には、運営団体の人々によって壁画の一部がペンキで塗りつぶされてしまうという事態が発生。彩虹眷村はそれから約1年の閉鎖を経て再公開されましたが、ダメージを受けた壁画は、他のアーティストなどによって描き直されることに。なので、今の彩虹眷村には、黄さん自身が描いた絵と、それ以外の人による絵が入り混じっている状態です。塗りつぶされてしまった絵があるとは……残念ですね……。

カラフルな観光スポットとして残る眷村の建物。

彩虹眷村の壁画を描いた黄永阜さんは、2024年に100歳で亡くなったそうです。黄さんなき今、現在の彩虹眷村は、本来の姿からはいささか異なる形で存続していくことになりました。これから彩虹眷村を訪れてみようかなと考えている方は、そういった事情にも少し思いを巡らせながら、見学するとよいかもしれません。彩虹眷村は、月曜日を除く9時から17時まで、無料で公開されています。

山本 高樹さん

著述家・編集者・写真家

1969年岡山県生まれ、早稲田大学第一文学部卒。2007年から約1年半の間、インド北部の山岳地帯、ラダックとその周辺地域に長期滞在して取材を敢行。以来、この地方での取材をライフワークとしながら、世界各地を取材で飛び回る日々を送っている。著書『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』(雷鳥社)で第6回「斎藤茂太賞」を受賞。近著に『雪豹の大地 スピティ、冬に生きる』(雷鳥社)、『流離人(さすらいびと)のノート』(金子書房)など。

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