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    2026.01.20

    風景と文化の交差点——ニューメキシコ州アルバカーキ【100周年を迎えるルート66の点と線・その5】

    風景と文化の交差点——ニューメキシコ州アルバカーキ【100周年を迎えるルート66の点と線・その5】
    ルート66の全体図を地形レベルで見ると、大まかに言って、東半分は緑色、西半分は茶色に色分けされます。

    出発点のシカゴからイリノイ州を縦断し、ミズーリ州を斜めに横切り、オクラホマ州に入るころまでは、グレートプレーンズの大草原が広がります。

    そこから西に向かうにつれ、緑色で塗りつぶされていた地図がだんだんと茶色へ色を変えていきます。険しいロッキー山脈の南側を通り、西部劇で見られるような乾燥した高原、そして砂漠地帯の先が太平洋岸です。

    ニューメキシコ州最大の都市、アルバカーキはルート66全体の3分の2程度を過ぎた位置にあります。地形図で見るならば茶色の部分です。

    大きな余白にポツンとあるように見える都市ですが、単なる通過点でも田舎町でもありません。意外に思うかもしれませんが、多層的な歴史と文化が重なり合う、奥の深い場所なのです。
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    ●前回はこちら

    歴史と文化が交錯する街——オクラホマ州タルサ【100周年を迎えるルート66の点と線・その4】 | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

    ルート66全体図。アルバカーキは中央よりやや西側に寄っている。

    アメリカ合衆国より古い都市

    ところで、アルバカーキって単語の綴りは分かりますか? A-L-B-U-Q-U-E-R-Q-U-E。やたら長いだけではなく、元々はスペイン語です。間違えても恥ではありません。アメリカ人にとっても難しい単語で、よくスペリングのクイズに出てくるくらいなのです。

    これと同じ名前の都市はスペインにもあります。と言うか、そちらがオリジナルです。現在のニューメキシコ州とされる一帯はカリフォルニア州も含めて16世紀ころからスペイン領だったのです。むろんアメリカ合衆国などというものが地球上のどこにも存在しなかった時代です。

    メキシコがスペインから独立すると(1821年)、ニューメキシコはメキシコ領になります。さらにアメリカ・メキシコ戦争(1846-1848年)を経て、今度はアメリカ領になり、やがて合衆国47番目の州となります。

    アルバカーキにはかつての宗主国であったスペイン文化だけではなく、さらにその前からこの土地に住んでいたプエブロ族やナバホ族など北米先住民たちのコミュニティが州内に多く存在し、街の文化や食、建築様式などに彼らの影響が色濃く残っています。

    アルバカーキから北へ100㎞ほどに位置する州都サンタフェはさらに古く、京都や奈良のように歴史的建造物に囲まれた街です。歴史好きの人なら訪れる価値はあります。宮沢りえの写真集をイメージして行くと、あてが外れるかもしれませんが。

    サンタフェ中心部。

    かつてルート66で栄えたアルバカーキ中心部

    アルバカーキは標高約1,600メートルの高原にあります。乾いた空気と強い日差し、そして、でっかいアメリカでもとくに広大としか言いようがない空と大地の真っ只中です。

    毎年10月に熱気球の国際イベント(Albuquerque International Balloon Fiesta)がここで開催されていると言えば、その風景を想像できるでしょう。

    “2002 Albuquerque International Balloon Fiesta — DSCN0251” by Corvair Owner is licensed under CC BY-SA 2.0.

    ルート66が整備された1920〜30年代、アルバカーキは西へ向かう人々にとって重要な補給地でした。乾いた大地を前に、ここで一息つき、次の行程に備えた旅人も少なくなかったはずです。

    アルバカーキ市内でルート66の面影を最も色濃く感じられるのが、ダウンタウンのセントラル・アベニュー周辺です。ここはかつてのルート66を旅した人たちで賑わいました。現在も「Historic Route 66」の標識が点在し、当時のバーやホテルなどの建物が大切に保存されています。

    この辺りはアルバカーキの中心部に位置しています。ホテルやレストランには事欠きません。街歩きをしながら、ルート66の雰囲気を味わうには格好の場所でしょう。

    セントラル・アベニュー。

    ルート66を鉄道で旅する

    ルート66の旅といえば、長時間・長距離のドライブが王道ですが、何らかの理由で車の運転を避けたい人もいるでしょう。そんな人には、鉄道というもうひとつの選択肢があります。

    長距離鉄道アムトラックが運行する「サウスウェスト・チーフ」はシカゴからロサンゼルスまでを結ぶ寝台列車です。そう、ルート66と同じ出発点と終着点です。ただし、こちらはほぼ直線に近く、つまりシカゴを出てからしばらくはルート66よりやや北側を走ります。

    そのサウスウェスト・チーフがルート66と合流するのがアルバカーキです。ここからロサンゼルス近郊のサンバーナーディーノまで、線路はルート66とほぼ並行して走ります。途中停車駅はギャラップ、フラッグスタッフ、キングマン、ニードルス、バーストウ、ビクトービル…どれもルート66上の町として知られています。

    アルバカーキ駅はセントラル・アベニューから徒歩圏内にあります。アムトラックや地域鉄道、長距離バスのターミナルも兼ねた大きな建物です。

    アルバカーキからロサンゼルスまでは約18時間。お酒を飲みながら、車窓からアメリカ西部の雄大な景色を眺める。眠くなったら寝ればいい。そんな車ではできないスタイルの旅もまた魅力的かもしれません。

    アルバカーキ駅。

    アルバカーキからの寄り道

    ルート66からは離れますが、アルバカーキはニューメキシコ観光の拠点としても便利な都市です。前述した旧都サンタフェには地域鉄道(New Mexico Rail Runner Express)が運行しています。所要時間は片道約1時間半。筆者は2泊しましたが、日帰りも可能ですね。

    サンタフェとは別方向、アルバカーキから南東へ250㎞ほどの町フォート・サムナーにある「ビリー・ザ・キッド博物館」もおススメです。

    ビリー・ザ・キッド、本名ヘンリー・マッカーティ。21人を殺して、21歳で殺された、伝説のアウトローです。そう書くと、とんでもない悪人のようですが、義賊やヒーローとして西部劇で人気の人物です。

    多くの映画で題材になりましたので、その名を聞いたことがある人もいるでしょう。最近、でもありませんが、エミリオ・エステベス主演の『ヤングガン』(1988年公開)、『ヤングガン2』(1990年公開)などは日本でもよく知られていますね。

    ビリー・ザ・キッド博物館の看板。

    博物館は高速道路からも外れた、かなり辺鄙な場所にあります。ここだけは車で行くしかないでしょう。納屋を改造したような建物の内部には、古い写真や家具などの他、これでもかーというほどの数の古い銃が飾られています。そのなかにはビリー・ザ・キッドが使用したものもあります(と書いてありました)。

    私はとくに西部劇のファンではなく、銃器にもまったく興味はありませんが、それでも西部開拓時代というアメリカ史の1断面を垣間見た気分になりました。

    建物の裏にはビリー・ザ・キッドの墓石もあります。破壊行為が相次いだため、現在は鉄柵に囲われています。

    ビリー・ザ・キッドの墓石。

    そこからさらに南へ進めば、以前この連載でも紹介したホワイトサンズ国立公園があります。真っ白な石膏の砂丘が広がる非現実的な光景に訪れる価値があることは言うまでもありませんが、そこに辿り着くまでの大平原を行くドライブもまた貴重な旅の思い出になるでしょう。アルバカーキからは片道約4時間の道のりです。

    ここはスキー場!?アメリカ・ニューメキシコ州の大平原に突如現れる「ホワイトサンズ国立公園」

    角谷剛さん

    米国在住ライター(海外書き人クラブ)

    日本生まれ米国在住。米国で高校、日本で大学を卒業し、日米両国でIT系会社員生活を25年過ごしたのちに、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。日本のメディア多数で執筆。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」(https://www.kaigaikakibito.com/)会員

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