
この動物ドッキリクイズシリーズでも過去に紹介してきた黒熊、マウンテンライオン、コヨーテ、リス、そしてガラガラヘビも、みなヨセミテの大自然を構成する動物たちです。
さて、ヨセミテ国立公園局の公式インスタグラムで意外な発表(*1)をしました。「ヨセミテ公園内でもっとも多く人に被害を与える野生動物はミュールジカである」というのです。
ミュールジカは、大きな耳と優しげな瞳を持つ、見た目にも愛らしいシカの仲間です。ヨセミテに限らず北米大陸の西側に広く分布しています。ロサンゼルス郊外にある私の近所でも時々見かけます。
シカは大人しくて平和的な印象があり、実際に臆病な動物なのですが、驚くと蹄や角を使って身を守ろうとするらしいです。事故の多くは観光客がエサを与えようと不用意に近づいたときに起こるとのこと。ミュールジカは奈良の鹿よりは体も大きく、また人に慣れてもいないため、同じように接してはいけないようです。
ということで、ミュールジカにまつわるクイズ4問です!
【第1問】ミュールジカの名前の由来は?
a)大きな足
b)大きな耳
c)大きな角
d)長い尻尾
奈良で鹿せんべいに群がってくるのはニホンジカ。ディズニーのアニメ映画『バンビ』に登場するのはエルク。ミュールジカはそれらとは違う種類の鹿なのですが、なぜその名で呼ばれているのでしょうか?
ヒント:「ミュール」(mule)とはラバのことです。雄のロバと雌のウマを交雑して生まれる雑種の動物です。俗語でガンコな人を指すこともあります。

正解は「b)大きな耳」です。 ミュールジカは体高約90センチメートル前後、体重50〜100キログラム程度。体は茶色っぽい色で、オスには枝分かれした立派な角があります。その大きな耳がまるでラバのように見える(そうかな?)ことから、ミュールジカと呼ばれているのだそうです。
【第2問】ミュールジカの生息地として適さない地形は?
a)高地
b)森林
c)平原
d)砂浜
ミュールジカは北米大陸の西側半分に広く分布しています。そこには海も山も砂漠も平原もあります。ミュールジカが生息していない地形は上のうちのどれでしょうか?

正解は「d)砂浜」です。ミュールジカは草や葉、低木の枝、果実、ドングリなどを食べる雑食で、さまざまな自然環境で生きていけます。しかし、どうやら魚介類はあまり食べないようです。川や湖、ときには海を泳ぐこともできるそうなのですが、海岸の砂浜に定住することはないらしいです。
【第3問】ミュールジカの主な活動時間帯は?
a)日中
b)早朝と夕方
c)深夜
d)いつでも
私は自宅近くでもミュールジカに遭遇した経験が何度かありますが、同じところに住んでいても一度もミュールジカなんて見たことないよ、と言う人も多くおられます。具体的に例を挙げるなら私の妻がそうです。
どうやら私が活動する時間帯はミュールジカのそれと似通っているようなのですが、それは一日のうちのどれでしょうか?

正解は「b)早朝と夕方」です。ミュールジカはその時間帯にもっとも活発に行動する傾向があります。この活動パターンは、捕食者を避けながらエサを探すための適応と考えられています。日中は草むらや林の陰で静かに隠れていることが多いそうです。暑さを避ける意味もあるのかもしれません。
私はトレイルランナーでもありますので、涼しい時間帯に屋外を走ることがよくあります。まだ夜が明けない時間にいそいそと山に向かうこともしょっちゅうです。ミュールジカに出くわすのはそんなとき。早起きは三文の徳とはよく言ったものです。
そんなシンドイことようせんわ、というインドアタイプの妻はミュールジカに会う機会を逃しているのです。
【第4問】ミュールジカの天敵は?
a)熊
b)ワシ
c)コヨーテ
d)シカ同士
ミュールジカに遭遇しても不用意に近づかない方がよいことは前述した通りなのですが、彼らの方もあまり人間を警戒しているようには見えません。襲ってくることはありませんが、とくに逃げ出すこともありません。
私がスマホで写真を撮るくらいに接近することは容易です。そんな彼らでも、見かけた途端に一目散に逃げ出すはずの天敵とは上のうちのどの動物でしょうか?

正解は「c)コヨーテ」です。 他にもマウンテンライオンやボブキャットなどの肉食獣が好んでミュールジカを狙うようです。
コヨーテは生息範囲がきわめて広く、またミュールジカと同じように早朝や夕方の時間帯に活発になります。まさに天敵です。逆に言えば、もしミュールジカを見かけたら、その近くにはコヨーテやマウンテンライオンが潜んでいる可能性があるのだと覚えておきましょう。
*1. ヨセミテ国立公園局公式インスタグラムの投稿:
https://www.instagram.com/p/DJAlhK4tCCU/