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ビーパル小僧の「野遊び」自由研究 第5回 南の海からやってきた熱帯魚を見に行く!
イシダイやカサゴといったレギュラー陣に加えて、黒潮に乗って季節来遊魚も到来。秋の磯は一年でもっとも賑わう。
「季節来遊魚」とは、夏から秋にかけて南方の海域から暖流によって北側の海域へと運ばれてくる魚たちのこと。
水温が下がる冬にはその多くが死んでしまうため、以前は「死滅回遊魚」と呼ばれていた。しかしその旅は回遊というには一方通行で「死滅」の語感もきついことから最近は季節来遊魚の呼称が一般的になった。
代表的なのはチョウチョウウオ類とスズメダイ類などで、太平洋側の磯や漁港で姿を見られる。紀伊半島、伊豆半島、三浦半島、房総半島などの黒潮が接岸する海域はとくに遭遇率が高く、遅い時季まで観察できる。
泳いで観察するなら、波の穏やかな浅い磯がおすすめ。海中には雑多な小魚が密集するポイントがあるので、スノーケリングで魚群を探し、そのなかから熱帯魚を見つけ出す。
基本の採集方法はタモ網を使った二刀流だ。透明で大きめのタモを岩陰に添え、柄の長いもう本のタモを駆使して大きいタモへと魚を追い込む。
採集中は、活かしビクを引いて泳ぎ、捕まえた魚を収める。陸にあげたあとはエアレーションをするか、頻繁に水換えしながら観察しよう。
3点セットとウェットスーツでGO!

10月中は〜5㎜厚のウェットスーツにマスク、スノーケル、フィンがあれば半日程度は泳げる。採集に使うタモは魚に意識されないナイロン製がおすすめ。
魚が酸欠にならないように泳ぎ保持する

写真左のような活かしビク(細かいメッシュを装備した容器)に入れて泳ぐ。陸にあげたらポンプで酸素を送る。
見つけた獲物ははさみ撃ち

小さいタモで追い込む!
魚を見つけたらプレッシャーをかけて岩陰に追い込む。続けて岩陰の端に大きい網を当てて保持し、小さい網で追って大きい網へと追い込む。大きい網を動かさないことが成功の秘訣。
太平洋岸の「波の穏やかな浅い磯」へ!

沖縄などにいた小さな熱帯魚が、夏の間に黒潮に乗って房総近辺まで北上。水は熱しにくく冷めにくい性質のため、夏の後も急には海水温が下がらない。房総以南の太平洋側の海は、10月になっても22〜23度Cを保っているため、秋までは多くの熱帯魚が生き残ることができる。
屋外スタジオで記録

魚が捕れたら撮影しよう! 100均や釣具店で売られている薄いアクリルケースに入れ、背景に白い板を置くと図鑑風のきれいな写真を記録できる。つい持ち帰りたくなるが、淡水のアクアリウムと比べて海水の水槽は水質の維持が難しい。飼育設備も高額になるので入門者には撮影が手軽でおすすめ。

秋の磯で出会えた魚たち
上の6種が季節来遊魚。黒潮にさからう泳力がないので生まれ故郷の海には戻れず、流れ着いた磯で一生を終える。
ソラスズメダイ

千葉・新潟以南に分布。低温に強く、関東の海でも死なずに冬を越す。
チョウハン

漢字では蝶斑。あるいは歌舞伎に登場する熊坂長範に見立てたとも。
フウライチョウチョウウオ

放浪を意味する学名をもち、そこから風来と名付けられた。逃げ足が速い。
トゲチョウチョウウオ

本州の磯ではポピュラーな種。岩陰に逃げ込むので比較的捕まえやすい。
アケボノチョウチョウウオ

チョウチョウウオやトゲチョウチョウウオに遅れて盛夏過ぎに来遊。
チョウチョウウオ

海中で鮮やかなオレンジ色が目立つ。夏の早い時期から来遊し数も多い。
オヤビッチャ

房総半島以南に分布。九州ではヘキの呼び名で親しまれ、食卓にも上る。
イシダイ

成魚は70㎝以上に達し、潮通しの良い磯を好むが幼魚は浅場に多い。
サザナミフグ

房総半島以南に分布。最大で45㎝ほどに成長する。観賞魚になることも。
カサゴ

北海道南部から九州に分布。浅い磯の代表選手。どんな料理でも美味。
タカノハダイ

青森県以南に分布。浅い磯に多い。食用になるが個体によってはくさい。
※構成/藤原祥弘 撮影/矢島慎一、松沢陽士(ソラスズメダイ、チョウハン)
(BE-PAL 2026年11月号より)

